伝わる文章のライティング技術 コラム原稿(5)力になるメール。相手が嬉しいフィードバックを書く
仕事をしていると、時々、大変、嬉しいメールやメッセージを受け取ることがあります。励まされ、気持ちが明るくなるようなメールです。そこには、内容と表現に共通点があります。
今回は、「わかりやすく」や「簡潔」からちょっと離れて、読み手の力になるメールの書き方をテーマにしました。
皆さんは、読み終わった時に、嬉しい気持ちになるメールを受け取った経験はありますか? 友だちや家族ではなく、上司や同僚、仕事の関係者からのメールで考えてみてください。頑張ったことを労うメールであったり、仕事の成果物についての感想やコメントを伝えるメールであったり。そうしたメールには、次のような特徴があるものです。
・伝えたいという意思や行動が表現されている
・読み手の視点に立って、気持ちを伝えてくれている
私たち日本人は、気持ちを伝える行動は控えめです。欧米人のように、ビジネスの相手にも握手をしたり、ハグをしたりしません。そのために、感謝の気持ちや、自分が感じたことを言葉で伝えるのも、やや苦手な人が多いのではないでしょうか。むしろ、ビジネスの場では個人の感情を伝えるのは、好ましくないと思っているかもしれません。
しかし、気持ちのこもった、励みになるメールを受け取ると、それは嬉しい体験になります。「また、この人と一緒に仕事をしたい」と思います。成果物への的確なコメントが書かれていれば、「次も、仕事をお願いしたい」とも考えます。
例えば、仕事の関係者からあるオンラインのイベントに招待されたとします。イベント後に、そのお礼をメールで送るとしたら、どう書きますか? 以下は、一般的なお礼メール文の例です。
●お礼のメール例
件名:〇〇オンラインイベント 招待のお礼
**様
いつもお世話になっております。昨日の「〇〇オンラインイベント」にご招待
いただき、ありがとうございました。
大変、参考になりました。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
〇〇 〇〇(名前と所属など)
問題はないのですが、受け取った読み手の心を動かすには、工夫が足りないなと思います。私ならもう少し情報を加えて、次のように書きます。
●気持ちを伝える、お礼のメール例
件名:感謝します!:〇〇オンラインイベント 招待のお礼と感想
**様
いつもお世話になっております。昨日の「〇〇オンラインイベント」にご招待
いただき、ありがとうございました。
仕事の進め方の工夫や、オンラインで役立つツールの紹介が、大変、参考になりました。
無料で使えるサービスについては、早速、試してみようと考えています。
仕事仲間にも知らせて、グループで活用してみるつもりです。
有意義な機会をいただき、感謝しています!今後ともどうぞよろしくお願いします。
〇〇 〇〇(名前と所属など)
具体的にどのような点が参考になったのかを書いています。仕事の関係者が知らせてくれたということは、何らかのフィードバックを期待してのことだと考え、仕事仲間にも知らせてみようと、次のアクションも伝えています。また、「有意義な機会をいただき、感謝しています!」と、気持ちを伝える工夫もしています。
最初のメールのように一般的な書き方のお礼で終わるのではなく、相手にも参考になることを考えて書いているのが、後のメール文です。このようなメールを受け取ったら、「招待して良かったな。役に立ったな」と嬉しくなることでしょう。
メールの文章をどう書くか、内容と書き方には正解はありません、だからこそ、当たり前の文章に、自分なりの情報を付け加え、気持ちを伝える工夫をしましょう。良いフィードバックに知恵を絞り、心を使わなくてはなりません。だからこそ、工夫の甲斐があり、仕事のチャンスを広げることにもなります。「どう思われるかな…」と心配したり、躊躇したりしないで、嬉しい気持ちを伝える文章を積極的に発信していきましょう。
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