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社員が元気!→会社が儲かる!経営者が知るべき健康経営の力

「社員が元気だと会社が儲かる!」健康経営の本質をお話しします

「健康経営」という言葉がまだ世間であまり知られていなかった2016年、私は沖縄県から健康経営に関する調査と啓発活動のお仕事をいただきました。これがきっかけで、健康経営に本格的に関わるようになりました。

沖縄といえば「健康長寿の島」というイメージがありますが、実際には生活習慣の変化の影響を受け、平均寿命が全国の下位に落ち込んでしまっています。当時、そんな現状を少しでも改善しようと、「企業の中で健康に取り組む」という動きが始まった時期でした。

地域では以前から健康増進の取り組みが続けられていましたが、働き盛りの世代が日中は仕事で地域にいないこともあり、なかなか効果を上げられないという課題がありました。そこで、「企業を通じて健康を支える健康経営」が注目されるようになったのです。

この約8年間で、私は2度の健康経営に関する調査に携わりながら、実践健康経営指導士や予防医療診断士の資格を取得しました。また、自社での健康経営の実践や講演、サポート活動、さらに指導士の育成にも関わってきました。

今回はこれらの経験をもとに、健康経営の本質について、「社員が元気だと会社が儲かる!」という視点でお話ししたいと思います。少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。



①健康経営とは何か?

「健康経営」という言葉をご存じでしょうか?経済産業省では健康経営を次のように定義しています。

「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。

さらに、健康経営は「国民の健康寿命の延伸」を目指す日本再興戦略や未来投資戦略の一環としても位置づけられています。

沖縄は昔から「健康長寿の島」として知られていますが、最近では生活習慣の変化により、健康に関するさまざまな課題が浮き彫りになっています。特に、働き盛り世代(30~64歳)の健康が心配な状況です。

たとえば、40~64歳の男性の約半数(49.5%)、女性の約3人に1人(31.0%)が肥満というデータがあります。さらに、この世代では、悪性新生物(がん)や心疾患、脳血管疾患といった深刻な病気による死亡率が全国平均を上回っていることもわかっています。これらの病気は、生活習慣の乱れやストレスが関係していることが多く、働き盛りの方々が最も影響を受けやすいと言われています。

働き盛り世代は家族や会社を支える大切な存在であり、地域全体の経済や活力にも欠かせません。そのため、この世代が元気で健康に働き続けられる環境をつくることが、今の沖縄にとって何よりも大切な課題になっています。



②健康経営の本質は「儲ける」ための取り組み

ここだけはぜひ理解していただきたいのですが、健康経営は「コスト」ではなく「未来への投資」です。

企業が提供する商品やサービスの源泉は、「人=社員」にあります。どれだけ素晴らしいアイデアや計画があったとしても、それを実現し、お客様に届けるのは社員の力です。もしこの源泉に元気がなければ、良い商品やサービスを提供することは難しくなり、お客様を満足させることもできません。そして、会社の運営そのものが厳しくなる可能性もあります。


健康経営の本当の意味は、社員一人ひとりが元気に働ける環境をつくることで、会社全体の活力を高め、より良い商品やサービスをお客様に届けるということです。社員が健康で意欲的に働けるようになると、自然と生産性が上がり、サービスや商品の質が向上します。

その結果、お客様に満足していただき、喜んで対価を支払っていただけます。このように、社員の元気が「お客様の満足」につながり、それが「会社の業績向上」という形で返ってくる、良い循環が生まれます。

このような取り組みは、目先の結果を追い求めるものではありません。社員という源泉をさらに元気にするためには、中長期的な視点を持って計画的に取り組むことが大切です。社員が元気であれば会社が元気になり、その影響は地域や社会にも広がっていきます。

健康経営は、社員と会社、そして社会全体を豊かにする「未来への投資」なのです。


③社員が元気ならお客様も喜ぶ

会社が提供する商品やサービスを生み出しているのは、社員一人ひとりの力です。元気で意欲にあふれた社員がつくる商品やサービスには、その活力が自然と反映されます。それが、お客様にとって魅力的な価値となり、満足感へとつながっていきます。

お客様がその価値を感じ、満足すると、喜んで対価を支払っていただけます。この「元気な社員 → 良い商品・サービス → お客様の満足 → 対価の循環」という流れは、会社の成長を支える基本であり、ビジネスの成功には欠かせません。

この良い循環をつくるための原動力は、まさに社員の健康と元気です。社員が元気で働ける環境を整えることで、商品やサービスの質が高まり、それがさらにお客様の満足を引き出すという好循環が生まれます。

社員が元気であればこそ、会社全体に活気が生まれ、お客様に喜ばれる商品やサービスを提供できるのです。この循環を大切に育てていくことが、企業の成功だけでなく、社会全体に貢献する道につながります。


④「良い循環サイクル」の構築が鍵

健康経営の本当の力は、社員一人ひとりが元気になり、その元気が社内外に良い影響を広げていくことにあります。この循環が生まれると、新しいお客様やビジネスチャンスが引き寄せられ、会社はさらに成長していきます。

この「良い循環サイクル」を実現するためには、社員が意欲的に仕事に取り組める環境を整えることがとても大切です。例えば、社員が目標に向かって前向きに取り組み、互いに支え合いながら力を発揮できる職場づくりが欠かせません。また、努力がきちんと評価される仕組みがあると、社員は自分の仕事に誇りを持ちやすくなります。

こうした環境づくりには、組織開発や人事考課制度の整備が大きな役割を果たします。

組織開発
社員が自分の役割を理解し、チーム全体で目標を共有できるような職場環境をつくることが大切です。社員同士が互いに支え合い、自然に力を発揮できる雰囲気が生まれることで、意欲的に働ける基盤が整います。

人事考課制度の整備
社員一人ひとりの努力や成果をしっかりと認め、それに見合った評価や報酬を提供することが重要です。適切な評価があることで、社員は安心して力を発揮し、成長への意欲も高まります。

目標設定とフィードバックの仕組み
明確な目標を設定し、その達成度をしっかりとフィードバックすることで、社員のモチベーションを維持できます。目標が具体的であれば、社員は自分の役割に自信と誇りを持てるようになります。

これらの取り組みを通じて、「元気な社員 → 良い商品・サービス → お客様の満足」という良い循環を生み出すことができます。このサイクルは、会社の成長を支えるだけでなく、地域や社会全体に良い影響を与える力を持っています。

健康経営は、社員の元気を支えるだけでなく、会社全体を成長させる大切な基盤です。この良い循環を育てていくことが、企業の未来を形づくる鍵となります。

⑤健康経営が目指す未来(まとめ)

健康経営の取り組みは、行政や業界とのお付き合いとして行うものではなく、単なる「コスト」でもありません。それは、社員一人ひとりの健康と元気に投資し、会社全体を成長させ、未来を切り拓くための大切な戦略です。

社員が元気で健康に働ける環境をつくることは、会社に活力を与えるだけでなく、社員自身がやりがいを持ち、自分の成長を実感できる場を提供することでもあります。この取り組みが、自然と良い商品やサービスを生み出し、お客様に満足していただける基盤となります。

また、健康経営を通じて培われた社員の活力は、会社の競争力を高める力になります。変化が激しい市場環境に柔軟に対応し、持続可能な成長を実現するためには、社員一人ひとりが前向きで、元気に働ける状態を維持することが欠かせません。

健康経営は、社員を大切にし、健康と元気を支える環境を整えることで、会社、地域、社会全体に良い循環を広げていく取り組みです。この循環をつくることで、企業は長く愛され、信頼される存在になれるのです。

形式的に取り組むのではなく、健康経営の本質をしっかりと理解し、自社の未来を見据えた実践へとつなげていくことが大切です。この取り組みを通じて、会社の成長と社会への貢献を両立し、一緒に明るい未来を築いていきましょう。


次回、「具体的に社員を元気にするとは?」についてお伝えしたいと思います。



経営コンサルタント
新田繁睦/ARATA Shigechika

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