見出し画像

ご両家BBQ

コロナ以降、式を挙げずに両家の挨拶だけで済ます結婚のスタイルが増えているという。「両家顔合わせ食事会」というらしいが、昔で言えば結納的な儀式の延長にある会で、結婚式や披露宴のずっと手前、婚約直後に行うものだったらしい。そのように順序立った連続的な手続きが、時代とともにショートカットされ、ついに我が家の長男もその流れに沿って、この春、一発完結「両家顔合わせ食事会」が開催された。まあ、入籍だけで済まそうとした長男に「二人だけで解決できないレベルの問題を抱え得る関係が夫婦なのです」と諭し、新郎父である私が提案したものだが。新婦のご家族に会うのは初めてなので、ホテルの個室で無難でオーソドックスな「ザ・顔合わせプラン」を選択。良い家族で安心した。どんな家柄かとか、どんな教育をしていたか、そんなことはどうでも良く(結果とても品の良い家柄だったが)、お嫁さんがどれだけ愛されていたか、家族のノリはバランスがとれていてイイ感じかどうか、が重要だった。結果、それが十分過ぎるほど感じられたので、とても安心した。事情があり、急遽の開催となったため、先方のご兄弟とこちらの兄弟、どちらも参加できずだった。フルメンバーで両家挨拶part2をやろうという話になり、夏の開催を私がセットすることになった。

札幌から20kほどの長沼町に、友人が管理している焚き火のできるカフェ「長沼ブルーベース」を5時間ほど貸し切った。準備段階では、少しはいいところを見せようと思い、しばらく使っていなかった大きなダッヂオーブンを引っ張り出し、アクアパッツァにしようかローストチキンにしようか迷っていると、妻に厳しく叱咤された。
「無理するな、コストコの調理済みのローストチキン買って、野菜と一緒にダッチオープンに入れて、自分作りましたって顔しときゃいいだろ、それが一番美味い、無駄な努力はやめろ。」
詐欺師のような悪魔の囁きに、二つ返事で大きく頷く私。前日は結局、大コストコ祭りになった。牛タン、シャウエッセン、ロティサリーチキン、ミニブリーチーズ、ハイローラー。サイコーじゃないか。

夏の甲子園のように、酷暑の日中を避け、夕方17時からBBQはスタートした。先方が用意してきた肉は凄かった。白老和牛の霜降りロース肉。野外のBBQは、そこそこの肉でも美味しく感じてしまうから、高級肉は選択しない。だいたいいつもは、タレで誤魔化すのだが、今回は少量の塩だけで、素材本来の味を楽しむ初めてのBBQであった。先方のお兄さんは、先週フジロックへ行き、来週はサマソニに参戦するという音楽好きで、国内では「くるり」が大好きな好青年だった。私もくるり好きなので、良い関係を続けられそうだ。趣味が良く、ノリも良く、行儀も良い。三拍子揃った良い家族で本当に良かった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?