清宮嫌い。でもホントは大好き。
札幌ドームとエスコンフィールドを直線で結ぶと、ちょうどその中間地点に我が家がある。札幌市と北広島市の境界の近く、ギリギリ札幌市民の境界人である私は、当然のごとく日ハムファン。試合のある日のパテレ(パリーグTV)鑑賞はほぼ欠かさない。もちろんエスコンにも足を運ぶ。妻は筋金入りで、ファームの試合経過や結果も把握し、日々の試合のスターティングオーダーを勝手に決める。意にそぐわないオーダーの日は試合開始前の時点で、テレビの中の新庄監督を叱咤する。私は普通のファンなので、ついていけていない。昨年は西武ライオンズの本拠地ベルーナドームに連れ回され、猛暑の中、汗だくになりながら、立ちっぱなしの応援を強いられた。妻は全員の応援歌をソラで叫ぶが、私は知らないのでなんとなくの歌詞を小声でうたう。屈辱的な拷問であった。
どの選手が推しか、と尋ねられたら今年なら、水野や上川畑がいいし、外国人のマルチネスやレイエスも性格が良くて好きだと答えるだろう。外国人に加えて水谷、万波がスタメンになるとラグビー日本代表感が出てしまい、迫力過多で違和感が出るが、それもまた一興。ただ、特定の選手に入れ込むのではなく、箱推し、つまりチームが好き。地元の球団だから普通はそんなものだろう。近藤が好きだったとしてもソフトバンクに行ってしまえば憎さ100倍、親の仇ばりに闘志をむき出す。サヨナラヒットを打たれた時は、本気で、近藤は恩を仇で返す恥知らずなヤツ、と思ったほど。
箱推しといいつつも、チームに所属している以上気になる選手はいる。口では「どうでもいい」と言いながら、心の中ではどうしても気になる選手が清宮。「清宮かあ、どうせまた打てないだろ」と言いながら、心の中ではホームランを期待してしまっている。どうしてなのだろう。自分でもよくわからない。彼が打席に立つと、他の選手なんかより、余計に悲観してしまう。「絶対打たない、打てるわけがない」と言い切る。何故だろう。考えた結果、その理由が分かった。実際に凡退してしまった時のショックを和らげるため、打つ前は、大きな期待をしないように、と心の中で予防線を張っているのだ。確かに彼がヒットやホームランを打った時は、他のどの選手のヒットやホームランよりも嬉しい。狂喜乱舞する。
ファームに行ったり、一軍に戻っても先発はおろか代打でも出場機会が少なくなりつつある残念な清宮なのだか、それでもななお、自分はなぜ、清宮が好きなのか。自問自答してみる。彼のホームランが好きなのだというところに行き着いた。美しいのだ。清宮の打球が描く、誰よりも大きく美しい放物線を見たい。いつも心の中でそう願っている。チームが勝つことが一番ではあるから、活躍してくれる選手優先で偏りなくフラットに見て選手を起用している今のやり方に文句はないが、願わくば清宮のグランドスラムで逆転サヨナラ勝利を納めていただくのが最高なのだ。