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キャズム理論と選挙
長い間マーケティング活動に携わっていると、この理論(イノベーター理論として有名)がほぼ正しいことを皮膚感覚で理解してしまう。普及学とも呼ばれるこの理論を乱暴にざっくり説明すると、ある新商品やサービスの普及率が16%に達すると急激に普及率が上昇していくというもの。つまり、普及率、認知率16%を境にヒットするかどうかが決まってしまうという理論。その科学的根拠はともかく、マスマーケティングの現場では常識なのだ。
マスマーケティングという考え方がすでに過去のものとなり、全世代が知ってたり、買っていたりする商品もサービスも、音楽も映画も、今は皆無となった。特定のターゲットに絞り込むマーケティングでリスクヘッジをする。手堅く利益を確保する。そんなターゲットセグメントの時代に、日本中を巻き込む革命的な大ヒットは生まれにくくなった。
キャズム理論では、新商品に飛びつく最初の2.5%をイノベーターと呼ぶ。好奇心旺盛な新し物好きの人たち。残る13.5%がアーリーアダプターといってこの層がコミュニティに対する影響力を持つため拡散していく。口コミの発信源なのだ。
残りの86.5%は程度の差こそあるが、自分から新しい物を求め、探し出すようなことはしない。未知なるものに対しては基本的に慎重なのだ。特に日本人は。ヒット商品の開発にあたっては、ここを理解していないと失敗する。斬新すぎるものがいきなりヒットすることはない。それが技術的な革命であっても同様で、新しいモノもコトも浸透するまで時間がかかるものなのだ。
これは選挙にも当てはまる!今回そう思った。
惨敗とは言うものの、なんだかんだ自民党が圧倒的多数という結果は笑える。あれだけの失態と失政で完膚なきまでに否定された自民党。その支持者が投票者の多数なのだ。慎重すぎて自分の投票行動を変えることのできない層が最も多いことを示している。
比較的新しい政党がいきなり多くの議席を獲得できないのもキャズム理論で考えるとよく理解できる。ダメな党だとわかっていながら、やはり流れてしまうのは立憲民主。マイノリティのれいわ新撰組や参政党はある程度の議席数を獲得するまでは時間をかけて少しずつ伸ばすしかない。少数派というだけで拒否する人が大多数なのだ。今回見事にはまったのは国民民主だった。政界再編されることは必至なので、今の延長で今後を占うのはナンセンスだが、国民民主とれいわ新撰組は、キャズム(溝)に差し掛かった。来年の参議院選挙でさらに大きく伸ばすことだろう。いや、れいわはもうひと息か。大きな政界再編とゴシップがない限りはそうなる。いや、あともう1つ、国民の経済についての理解が深まることが条件か。
NHKでも、国民的な人気タレントを使って、まともな貨幣論を分かりやすく伝えれば、一気に世の中変わるのだが。まだ、積極財政論を無責任なトンデモポピュリズムと言い放つ不勉強な人が大多数を占めているのは残念なことだ。