Product Manager Conference 2019 Day2ハイライト
SmartHR プロダクトマーケティングマネージャーのshigeです。
プロダクトマネージャーカンファレンス Day2 から、私が参加したセッションの一部をピックアップしてみます。
Day1 はこちらをご覧ください。
PMが学ぶべき、最低限のデータ活用スキルとは 株式会社Hakali 小川 晋一郎氏
意思決定のためのデータ活用手順
データはあくまで「コミュニケーション言語」と捉える。解くべき課題はチームで合意することが重要です。
「作った指標が営業に全く刺さらない」というときはだいたい課題の設定がずれていると考えるべきです。
解くべき課題を決めるための合意形成プロセスに責任をもち、議論が前に進むための素材(=データ)を提供することが重要です。
どうやるのか
OODAループを回すことを意識しています。
OODAとは、Observe(みる)→ Orient(わかる)→ Decide(きめる)→ Act(うごく)→……と続いていくループです。
PDCAサイクルだと「Plan」がそもそも難しいことが多いです。
一方OODAループは、まず「観察」から始めるため、先の読めない状況下でフィットする概念モデルと考えられています。
Observe
現場感覚のある(=顧客接点のある)人たちから課題感を聞いて整理します。現場のもやもやはだいたい正しいことが多いです。
また、Web上のユーザーの動きを生データでトレースし、インサイトをチームで議論することも効果的です。統計処理されたサマリーだけ見てもわからないことがあります。
Orient
現実の味方や捉え方を言語化、可視化して、KPIツリーにひもづけ、モデル化することが大事です。
ただ、KPIを達成するためにがむしゃらにアクションしても閾値があるため、適切なところを指標にするのが重要です。そのためには、ネガティブ要素をKPIツリーに含めないといけません。
また、細かいパターン分類をしたくなりがちだが、細かくしたところで打ち手を細かく打つコストが高いことが多いです。
生データを見てみて、どのセグメントにチューニングしたほうがいいのでは、といったプロセスで考えたほうが結果的に良い施策が打てるという肌感があります。
Decide
PMがやりたいとことが、マクロで見たときにインパクトが小さいということは少なくないです。
Webサービスのソトのモデルが大事なこともありますが、見落としがちです。なるべく大きい観点でみることが重要です。
チームでデータを使いながらOODAループを回すことで、事業クリティカルな課題をひとつずつ解決していきます。
具体的なスキルとその身につけ方
必要なデータを引っ張ってきて提供しなければならないので、SQLは必須です。
そのために、DWH環境をつくるように働きかけることも必要になります。ただし、一から構築するのは決裁含めそれなりに時間がかかるものとお考えください。
また、ER図からDBのテーブルにどんなデータが入っているのかを読みとけると良いです。
実践的な本としては「本物のデータ分析力が身につく本」がおすすめです。
A day in the life of Silicon Valley PM
Smule, Inc 曽根原 春樹氏
日本ではよく「Hits per bat(ヒット率)」が大事と言われますが、これはシリコンバレー(SV)では通用しません。
「Bats per home run」(1ホームランあたりに必要なバットの回数)が重要です。
これは、「イチ施策であたりが出る確率」ではなく、「イチ大当たりが出るのに必要な施策の数(と質)」が重要であるということです。
「Think big」(大きく考えること)
「Strongly believe. Weakly held.」(強く信じる。でもこだわりすぎない。)
という発想が大事にされています。
大当たりを出すための質と量のこだわり
1. 何事もデータドリブン
誰が言ったかではなく、その人が伝えた事実はなにかを常に考えます。(“Truth-seeking”(真実はどこに?))
「Organized skepticism & healthy debate」(リスペクトある批判)を行うために、“Don’t take it personally” (あなた個人を批判するわけではない)という前提の認識があります。
直感は使うことがあっても頼りすぎてはいけません。
また、分析スキルがないとそもそも土俵に立てません。
2. 徹底した透明性
どのKPIがどういう状態なのか、全社員が常に見られる状態です。
3. 大きすぎるならわける
「Divide & Conquer」
PMはタスクのプライオリティをつけますが、加えて説明責任が常について回ります。
フェーズの切り方と優先順位づけにPMの実力が如実に出ます。
4. 人は城・人は石垣
SVの人材市場は多様で大きいが、その分玉石混交です。
なので
・Hire slow, Fire fast(採用は慎重に、解雇するときは早く)
・Growth mindset(経験したことないドメインでも学んで生き残る力)
・Cultural Fit(会社の文化に合うかどうか)
を重視しています。
いつもホームラン打てるわけではなく、失敗はつきものです。
ただし、それは終わりを意味しておらず、次のチャレンジの始まりと考えます。
輝かしい経歴を持っていても失敗経験のないPMは、「Not challenging yourself enough…」とみなされます。
上手に失敗することが重要です。
意思決定を研ぎ澄ます2つの方法
Backward casting
・この施策が「すでに」成功していたとしたら、何が成功要因か?
・その中の一番のピンはどれか?
“Pre”mortem
・ポストモーテム = なにか悪いことが起こってしまったあとの振り返り
・プリモーテム = この施策が失敗するとしたらなにが原因になるか?
まとめ
・Go big or Go home
・データは友達(Consumer scienceに慣れよう)
・事実はなにかを常に問う姿勢を保つ
・学びがいがある失敗をするためにも賢く挑戦すべし
曽根原さんはUdemyでプロダクトマネジメントの講座を開設しています。
シリコンバレーPMのキャリアと働き方
馬田 隆明氏、佐藤 真治氏、曽根原 春樹氏
データドリブンであることの重要性
日本では、自分たちの技術を売ろうと思っている会社が多いように思いますが、プロダクトアウトではうまくいきません。
必ずマーケットに向き合う必要があります。そのためにはデータドリブンであることが重要です。
USのPMはデータドリブンです。SQLは当然使えるものと考えられていますし、面接でもデータについての質問が必ずあります。
USではデータなしに決断してもそもそも話を聞いてもらえません。
ただし、データの解釈の仕方はPMの腕次第です。
SVでのPMのトレーニング
会社の中でPM向けのトレーニングがあることが多いです。
USでは必要と思えば育成に投資する文化があります。
また、PM同士の横のつながりはたくさんあります。フォーラム、セミナーは毎日のようにありますし、企業の卒業生が自主的に集まってコミュニティを形成していることがあり、そこで集まる知見はすごい価値があります。
PMのキャリアパスについて
ベンチャーキャピタルに移るというケースを結構見かけるようになってきたように思います。
また、PMの本質は問題解決なので、なんでもできると思います。
PMの経験は、選択の幅を広げ、人生を豊かにしてくれると思います。
自分がなにが好きかによって、CPO、アントレプレナー、メンタリング/コーチングなど様々な選択がとれると思います。
PMの採用基準
・データドリブンかどうか
・プロダクトセンス
・観察力
「プロダクトセンス」を見極めるために、例えばあるプロダクトについて、自分がPMだったらどう改善するか、という質問をすることがあります。
いきなり改善案を出すのはNGで、そもそもどういう課題を設定するといったことが大事です。
また、そうしてアイデアを出してもらったあとに、そのアイデアを否定してもらうなどして、多面的に考えられるかをテストするといったこともあります。
最後に
PMカンファレンス、2日間ありがとうございました。
ここにまとめきれなかった講演も、どれも非常に学びの多いものでした。
実行委員の皆さま、毎年素晴らしいカンファレンスを開催していただきありがとうございます。
来年も楽しみにしています!
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