鯨鱗之霊 風景印と記念碑
山口県長門市にある川尻郵便局の風景印には鯨鱗之霊の碑が描かれています。長門が古式捕鯨の重要な場所であったことを伝えてくれる貴重な風景印です。
長門の捕鯨
日本の「古式捕鯨」は戦国時代に遡り、熊野水軍が起源とされています。
長門における捕鯨は1672年（寛文12年）に始まり、川尻をはじめとする北浦沿岸がその基地となりました。日本海を秋から冬にかけて南下する鯨を狙うもので、この鯨鱗之霊碑には2,800頭を捕獲したことが刻まれています。
明治になり、捕鯨の方法は近代化される一方、沿岸では漁が成り立たなくなり古式捕鯨は1910年（明治43年）に幕を下ろしました。
記念碑の地図
川尻漁港の端、墓地のようなところです。
向津具半島と言われる地域で、長門市の北西側に突き出しているところです。
碑文（表面）
鯨鱗之霊
弥陀観音大勢至
大願ノフネニ乗
ジテゾ生死ノウミニ
ウカミツツ有情ヲ
ヨハツテノセタマウ
捕鯨鯨鯢二八百余頭
碑文（裏面）
もと当浦は日本海の荒波のため冬季はことのほか漁業が困難で浦人は遠洋出稼のため生命を危険にさらすことが多かった。
然るに今より二百七十余年前元禄十一年三月十一日、先祖達は大いに奮起して捕鯨の大事業を発願成就し爾来明治四十三年まで捕鯨をもって浦民の生活の大根幹をとして漁業は益々栄え北浦有数の漁村に発展したのである。
ここに祖先の恩恵に感謝し且つ諸漁追弔のため毎年春季に大法要を厳修する慣はしとなる。
この地は鯨児捕鯨の都度その鼻骨の一部を埋葬してその霊を弔っていたが歳月の経過と共にその跡も定かでなくなったのを患い有志はかってここに碑を建立する。
捕鯨創立発起世話人
斎藤 正九郎
天野 三十郎
天野 長兵衛
三九郎
傳兵衛
建立発起世話人
川尻漁業協同組合
河瀬 熊一
松崎 傳一
鐘岡 菊次郎
松波 友一
天野 明
入江 長一
昭和３６年３月１１日建立
川尻郵便局
風景印は郵便局で押してもらえる絵入りの特別な消印で、色は赤茶色です。郵便窓口に「風景印を押して出してください」とお願いすれば、差し出す手紙やはがきに押してもらえます。また、85円以上の切手を貼ったカードなどに押してもらえます。その場合、差し出さずに持ち帰ることができます。
風景印は1991年（平成3年）11月1日から使用開始されたものです。郵便窓口は平日のみの営業です。
