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世界連邦平和像 風景印と記念碑

 東京都武蔵野市にある武蔵野中町むさしのなかまち郵便局の風景印には「世界連邦平和像」が描かれています。武蔵野市のアトリエで平和祈念像を作った北村西望さんの作品としてもっと評価されてほしいと思います。

世界連邦構想とは

 第二次世界大戦後に起こった世界連邦構想は、世界政府による統一機構の下で各国の主権を統合し、戦争のない恒久平和を実現するための国際秩序改革案です。この構想は主権国家間の紛争が戦争を引き起こす根本原因とし、国家主権の一部を世界連邦に委譲することで解決を図ろうとするものです。国家が加盟する国際連合を改革し世界憲法、国の軍隊を廃止し世界警察軍を創設することなどがその柱です。

 1947年にスイスで最初の国際会議が開かれ、1948年には日本でも尾崎行雄が世界連邦建設決議案を国会に提出するなどの動きがあり、「世界連邦建設同盟」(現・世界連邦運動協会)が発足し、1950年には京都府綾部市が全国初の世界連邦都市宣言を行っています。

 武蔵野市でも1960年(昭和35年)5月29日、市民団体「世界連邦運動協会武蔵野支部」が発足。同年6月に市民から「世界連邦宣言に関する請願」が提出され、6月27日に市議会で満場一致の採択を経て、6月28日に正式決議されました。


世界連邦平和像

 世界連邦平和像は、武蔵野市の宣言採択から10年目に当たる1969年(昭和44年)に建立されました。このブロンズ像は、長崎の平和祈念像で知られる美術家北村西望きたむら せいぼう(1884-1987)の作品です。長崎市から依頼された平和祈念像は、東京都から借りた井の頭自然文化園内にアトリエを建てて制作されたものです。

 また、北村西望は1962年(昭和37)年、武蔵野市の名誉市民第1号に選ばれました。アトリエと作品は東京都に寄付され、井の頭自然文化園には祈念像の原型が展示されています。女性が馬に乗っている世界連邦平和像は平和祈念像の兄弟のようなものだということが分かります。

 台座は世界各国の「石」48枚を組合わせ、中心には、太平洋戦争でなくなった方、旧中島飛行機武蔵野製作所でなくなった方々の慰霊の柱が祀られています。

 平和祈念像については、別の記事で取り上げております。


動画


記念碑の地図

三鷹駅前にあります。


碑文

全面的破滅を避けると
言う目標は 他のいかなる
目標をも優位
としなければならぬ
アインシュタインの平和
原則ににっとり 武蔵野
市議会は 一九六〇年
世界連邦平和宣言を
議決した
戦争も平和もともに
人間の心に発する
女神よ願わくは地の
はてまでも 天馳けり
全人類ひとりひとりの胸に
聖火を点せられよ
一九六九年十一月建之
武蔵野市世界連邦
平和像建設委員会


武蔵野中町郵便局

 風景印は郵便局で押してもらえる絵入りの特別な消印で、色は赤茶色です。郵便窓口に「風景印を押して出してください」とお願いすれば、差し出す手紙やはがきに押してもらえます。また、85円以上の切手を貼ったカードなどに押してもらえます。その場合、差し出さずに持ち帰ることができます。

 風景印は1997年(平成9年)10月1日から使用開始されたものです。郵便窓口は平日のみの営業です。

駿馬に乗った女性がモチーフです


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