見出し画像

【蓮ノ空感想文】2nd Live Tour千葉公演DAY2の『飴色』は何を歌っていたのか

真剣なときこそ 自由に踊っちゃえば
ユメが進化だ 変化だ 熱さ以外変わってく ああびっくり

スリーズブーケ&DOLLCHESTRA&みらくらぱーく!『Link to the FUTURE』

何度も聴いてきた曲に、まだ知らない表情がある。それを知ることもライブの醍醐味の一つだ。

2024年4月20日から4月21日にかけて、蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ 2nd Live Tour ~Blooming with ○○○~ 千葉公演が行われた。
私にとっては初めての蓮ノ空単独ライブへの参加であり、二日間、すべての楽曲を通して本当に、本当に楽しかった。
沙知先輩の声をライブ会場で聞くことがあるとも、思っていなかった。もちろん、スクールアイドルとしてではなかったが。

ライブとそのセットリストには不思議な力があると思う。
ライブ中の演出や曲順、表現が、楽曲を単体で聴いていたときには思いもよらなかった意味を生むのだ。それに触れるたび、楽曲やメンバーの姿が私の中により深く刻み込まれていく。

Fes×LIVEを含めても千葉公演DAY2が初披露となった『飴色』は、DOLLCHESTRAの楽曲の中でも私が特に好きな楽曲だ。
この曲を聴くときに浮かべていた情景は、一年生だった頃の綴理と沙知先輩の別離に至る過程だった。落葉の季節は、沙知先輩がスクールアイドルクラブを離れた時期とも一致する。
しかし、『青とシャボン』を経て『Runway』へと繋がれる、あの日歌われたこの曲に込められた意味は、それとは全く違うものだったように思えてならない。

DAY1のMCでは『Runway』の披露について「制服ではなく、ラブライブ!に出た証の『Link to the FUTURE』の衣装を着て歌わせていただきました」と語られている。
『Runway』もまた、竜胆祭での披露とは異なる色を持っているとしたら。
それを読み解くための鍵は『青とシャボン』だろう。

シャボン玉をあげるよ 照れ隠しの贈り物
届かない青空も近く 願う未来はいつでも 煌めくこと
教えられた 期待を乗せて 今よりも高い場所へ
あの雲越えて向こうまで

DOLLCHESTRA『青とシャボン』

『青とシャボン』は感謝を伝えるために作られた曲だ。この歌で語られるシャボン玉は彼女たち自身を示していると私は思う。
今よりもっと高い場所へ辿り着いた姿を、煌めきを見せることこそが、彼女たちなりの感謝の証なのだ。
そして『Runway』の詞がなぞる想いもまた、『青とシャボン』に込められたものとよく似た形をしている。

いまそのまなざしが勇気をくれるの
だから返すよ 今日よりも 眩しくなって
この扉を開けて ここから飛び出そう
待っているだけじゃ 何も変わらない
どんな時でも前に進んでみせるよ
だから信じて いつだって そばで見ていて
煌めきを届けたいから

村野さやか『Runway』

竜胆祭で披露されたのが決意を伝えるための歌だとすれば、あの日の『Runway』はまさしく、感謝を伝えるための歌だったのではないだろうか。


色の褪せた帰り道 頬を木枯らしが撫でる
何も話さなくたって 全部わかるはずないよね

DOLLCHESTRA『飴色』

『飴色』に乗せられたものはきっと、ラブライブ!に敗退した帰り道の心情や、そこから立ち直るまでに見出した気持ち、そして隣に立ってくれる後輩へのエールだ。

最後にぎゅっと手を握って 「また明日」 精一杯だった
揺らがない想いを背負って駆け出した 落ち葉舞い降る道の上
この先もっと返したいんだ 言葉では足りないけどさ

DOLLCHESTRA『飴色』

ステージの上で背中合わせに握った手を放して、さやかはセンターステージへと駆け出した。
その路の半ば、振り返って頷き合う二人の姿から、この曲が元来持つ切なさは感じない。
あの瞬間、綴理はさやかに置いていかれたのではなく、きっと精一杯に寄り添い、託して、送り出していたのだ。

前に進み続ける姿を届けることでお返しをしていく。
『Link to the FUTURE』を歌い終えて、『青とシャボン』『飴色』『Runway』と連なるあのブロックには、そんな二人の気持ちが詰まっていたと、私は思っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?