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千葉県の重要文化財(建造物)の探訪録(7)

 今回の建造物レポートは佐倉市になります。

 佐倉の観光の目玉といえば何と言っても5点の国宝を含む90以上の重要文化財を有する国立歴史民俗博物館でしょう。

 しかしながら、戦国末期から江戸時代が終わるまでの下総国の中核であり、千葉県では数少ない城下町風情を残すエリアで、いくつかの歴史的建造物も見どころでしょう。

 

 佐倉藩の最後の藩主で、井伊直弼に更迭された老中 堀田正睦の子である堀田正倫の邸宅、旧堀田邸です。建築物としては佐倉市内唯一の国指定重要文化財です。江戸幕府に次々と要職を送り出した堀田家は、佐倉市長も輩出するなど、名門中の名門家系です。病院の敷地内にあります。

 130年以上前の建造で、内装は非常にシックで品のある建付けになっています。とてもよく管理されており、休みの日にはボランティアガイドもいらっしゃいます。市民に大切にされているようです。

 庭は国指定名勝となっていてこちらも手入れが素晴らしいです。


 こちらは旧佐倉順天堂。順天堂大学発祥の地で、160年以上前の建築物のごく一部ですが残存していまして、千葉県指定史跡となっています。近代医学の重要拠点であり、創設者の佐藤泰然の弟子の妻は女子美大の二代目校長であったということを初めて知りました。津田梅子の父も佐倉藩出身でしたよね。

 県立佐倉高等学校記念館です。今から110年以上前に建造された木造校舎で、今でも現役で使用されているとのこと。国登録有形文化財となっています。

 県内では県立千葉高等学校に次いで2番目に古い高校ですが、藩校が基礎であることを踏まえると、最も古い高校ということになろうかと思われます。名門らしく、幅広い分野に著名人を輩出していますが、なんといっても長嶋茂雄氏が最も有名でしょう。校内にある地域交流施設において、貴重な古書のコレクションなどとともに長嶋コーナーがあります。

 佐倉市立美術館です。100年以上前に竣工したレンガの壁の旧川崎銀行佐倉支店をエントランスホールの形で活かしており、千葉県指定有形文化財となっています。先日、御紹介した千葉市内のもののほか、千葉県内には香取市佐原にも旧川崎銀行の支店が残存しています。

 再三書きますが、残存する旧川崎銀行の建築物で唯一有効活用されていない旧水戸支店はどうなるのでしょうか。

 佐倉城跡にほど近い場所に佐倉武家屋敷があります。修理等を経た3棟が見学できます。上の建物は、旧河原家住宅で、推定180年前後前の建造のようです。千葉県指定有形文化財です。

 旧但馬家住宅です。佐倉市指定有形文化財です。

 次が旧武居家住宅で国登録有形文化財となっています。

 武家屋敷通りを進むと、雰囲気のあるひよどり坂があります。

 佐倉市の中心街にはその他に千葉県指定有形文化財である寺や民家、多数の古建築物があります。成田山詣やゴルフのついで、あるいは、歴博とパッケージで行かれてはいかがでしょう。観光客相手の店はまるでないのですが、おいしいお店はたくさんありますので。

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