#20 【書評】独学の思考法
今日紹介する本は、山野弘樹氏著の『独学の思考法』である。
本書は、そもそも「考える」というのはどういうことなのか?という哲学的な視点から出発し、自らの頭を使い考える方法について紹介していく本である。
本書を読むことで、「自分で頭を使って考える」というのはどういうことなのか?というのがわかってくると思う。
考えるとはなんなのか?
本書は紹介されている具体的な方法が参考になることは言うまでもない。しかし、本書の中心となる部分はそこではないと私は思う。
本書で本当に意味があるのはそこではなく、その前「そもそも考えると言うのはどう言うことなのか?」と言うことを明らかにしているところだ。
みなさんも一度は経験したことがあると思うが、大学で課題などをするときに教授たちから「自分で考えたことを書いてください」と言われる。我々は暗黙的に「考える」という行為に対して共通のイメージを持っているが、じゃあ実際「考えるってなんですか?」と言われるとあやふやな説明になる。
このことからわかるのは我々は自分が思っている以上に「考える」という行為がなんなのか?ということをよくわかっていないと言うことだ。
本書のような本を買って読む人は、考える方法について知りたいと少なからず思っている人だろう。しかしそもそも考えることを知らなければ、意味のある考える方法について知ったとしても何も効果を持たない。
まずは根本的な問題について考えてみてから、その先に広がる議論について展開していくというまさに哲学的な思考を進めていく構成が本書の最も特徴的かつ、大切なところだと思う。
「そもそも論」に立ち戻ることの重要性
我々は何かをするとなった時、いきなり個別具体的な問題に気を向けることが多いと思う。
大学生の場合、資格勉強しようとなったらその勉強方法、就活するとなれば内定を取るためにどうすればいいのか?といったいわば「戦術」的な要素を先に考えようとする。
しかし、本当に先に考えるべきはもっと根本的な「戦略」レベルの話だ。
そもそもなんの目的があってそれを行うのか、私はそれを本当に求めているのか?といった、行動に移る前に「方向性」を決めておかなければいけない。
つまり本書の文脈で言えば、「独学の方法」と言う具体的な戦術を知る前に、そもそも考えるとはどう言うことか?どのような方向性で勉強していくべきなのか?ということを先に決めておかないとその先の戦術は決まってこないのである。
わかりやすい例がある。例えば東京から旅行に行こうとする。その時目的地を決める前に、いくための手段(例えば電車で行く、飛行機で行く、ということ)を決めることはないと思う。まずは北海道に行こうとか、沖縄に行こうとか行きたい目的地を決定するはずだ。
この例を聞けば「いやそんなこと当たり前だよ」と思うかもしれないが、なぜかできていない場面が多い。まずはそれを自覚するところからスタートするべきだろう。
いきなり具体的な手段に飛びつくのではなく、まずはその方向性や根本的な理由に立ち戻って考える。言われてみれば当たり前なこの思考の枠組みこそが本書を読んだことで得ることができた最も大きい収穫だと感じる。
もちろん本書でメインの話題である具体的な考え方についても大いに参考になる。それはぜひあなたが自分で読んで学んでほしい。
ではまた明日。
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