大津でミシュランを取るのは、この店。
お食事処 アケミ
やば良い店★★★★★
エリア:大津 ジャンル:食堂 ランチ:◎
元記事:『滋賀の良い店、やばい店 大津編』
入り口だけ見たら普通の感覚の人はまず入らない店構え。勇気を出して開けた扉の先には忍者のごとくカウンター内を行き来する店主と、数十年前からそこに座っていたかのような推定96歳くらいの老婆。
ここではまだ正解なのかハズレなのか検討もつかない。
しかし映画のセットのような小汚い食堂の見た目ながら、何気なく注文したとんかつ定食のデミグラスソースが腰を抜かすほど美味い。
実はこの店の主は、世界の要人が集まるパーティーにも駆り出されるほどの腕の持ち主。元々は店主の父が営んでいたこの店の隣で、「さざ波」というフランス料理店を営んでいた。
ソムリエでもあり、店には豊富なワインとフランスから取り寄せたチーズを常備している。月曜日には「月曜ワインクラブ」なるものが開かれ、滋賀の美食家たちがこぞってこのボロい食堂を訪れる。
試しに「Bセット」とやらを頼めば、出て来るのは「飲み比べ」の域を超えたグラスワイン3種と手の込んだオードブル。占めて1900円。
「ハンバーグ定食」「チキンカツ定食」「オムライス」など、思わず頰が緩むメニューと昭和全開の内装に分け入るワインとチーズという概念。そこに陽気な近所のおばちゃんがスーパーの袋を下げてやって来て、意気揚々と赤ワインをクイッとやってるこの垢抜けなさが堪らない。これぞ愛すべき滋賀の光景。そしてこの店に集まる客は隣同士の会話も自然と弾む。
話していると普段は京都に呑みに行く人が大半というオチ。都のあらゆる美食を知る人の舌をも唸らせる実力店なのだ。
ある客は純粋な定食を喰らい、ある客は定食のおかずで飲み、最後に味噌汁とご飯をもらう。なんと粋な遊び方。こんな奇跡のような光景は見たことがない。
ちなみに「アケミ」とは姓名判断でつけてもらった店名なので実在しない。
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