中も外も情報量に溢れた名店。

自家焙煎 Cafe Dining マタリ

やばい店★★★★★
エリア：大津　ジャンル：喫茶店　ランチ：○
元記事：『滋賀の良い店、やばい店　大津編』

新聞社や放送局、警察署などが立ち並ぶ滋賀の官公庁街。東京で言えば霞ヶ関のようなエリアの幹線道路を走っていると、信じられない光景が目に飛び込んでくる。

公園の奥に威風堂々と構える緑の建物。奥まったところで植物と同系色をまとうあたり隠れ家的な存在を狙っているのかと思うけど、異様な書体と級数で書かれた「マタリ」の3文字が全くそれをさせていない。

しかも公園の前は滋賀随一の大通り。真向かいにはNHK大津がそびえ、この立地で緑の3階建ては逆に目立ち過ぎている。入り口には信楽の狸よろしくソフトクリームの置物と、「カツサンド」ののぼりまで立っている。

そして初見の人を惹きつけてやまない最大の理由は、車が店の前に止まっているのに、車の入り口がどこにもないこと。
公園の入り口には車止めがあり（当たり前）、侵入は不可能だ。そもそも公園なのだから車が侵入できるわけない。だんだん店と公園の関係性も曖昧になってくる。

そこで大多数は「店の裏側に入り口があるかも」と思うが、それも浅はかというもの。店のすぐ裏は京阪が走っているので入口は皆無。素直にNHK下の駐車場に停めましょう。

店の前の車の謎にもやっとしたのも束の間、扉を開けると、時が止まったような正統派の喫茶店の佇まいに一瞬で心を奪われる。訪問が11時58分なら間一髪。12時1分にはあれよあれよと人が来て、途端に広い店内は満席に。

そして極め付けは「日替わり定食580円」。価格設定まで時が止まっている。

580円だからメインがないとか、味噌汁に味噌が入っていないとかそういうことは一切ない。ちゃんとや●い軒並みの「定食」になっている。そしてメニューは全て手作り。もちろん、昭和33年の創業当時から続く自家焙煎コーヒーも健在。

そして滋賀の手土産トップ10に入るであろうサンキュー価格のカツサンド。一度食べようものなら二度とロー●ンのカツサンドらしきものは食べられまい。

ここまでツッコミどころと魅力に溢れる理由を説明するならこの言葉しかない。

「滋賀だから」