未修者向けの勉強アドバイス
みんさんこんにちは、
先日令和六年司法試験の合格発表があります。
在学中受験の人の合格率が55.19%となるのに、修了者の合格率が22.73%に止まりました。
さらに衝撃的なのは、未修の受験者数1009人もいるのに、合格者わずか168人で、合格率16.6%でした。(そのうち未修の修了者に限ると12.79%となる)。
R6司法試験の合格率が42.13%のに、未修者の合格率はその三分の一も満たない非常に低い数値となりました。
未修者の合格率の低さは昔から問題となっていますが、今回はその原因をさらに深掘りし、対策を考えていきたいと思います。(https://www.moj.go.jp/content/001427119.pdf データは法務省の発表資料による)
この試験は法律知識だけじゃない
未修の人は意外と真面目な人が多い
未修の人が落ちた理由について、まず「勉強不足」が考えられます。しかし、少なくとも弊ローにおいて、未修の人の方が真面目に勉強している方が多かったです。既修の方が楽しくて「酒とエロのある高校」とも呼ばれますが、未修のほとんどの人は落ち着いて勉強しています。
そして、単純に勉強不足(時間と量両面)だと、修了者の合格率が在学中と比べて圧倒的に低かったことの理由の解釈になりません。
既修者でローに入って修了した方もたくさん落ちてしまいます。知識の量と勉強時間、試験対策の準備時間で言うと、在学中の人が修了者に勝つわけがありません。
にもかかわらず、修了者合格率が圧倒的に低かったです。
さらに、合格者の受験回数、圧倒的に一発合格の人が多かったです。受験回数を増やせば増やすほど合格率が低くなります。まさに「受かる人がささっと受かるが、落ちる人が落ち続ける」状況となっています。
司法試験は競技スポーツである
旧司法試験と異なり、予備試験と新司法試験では長い事例問題が出題され、実務家登用試験の色が強くなっています。そこで、問われるのは法律の知識ではなく、法律の知識を駆使して問題を解決する能力です。これは新司法試験予備試験の本質と言っても良いでしょう。
そのため、法律の知識をいくら頑張って身につけても、問いに答える能力を磨かないと、この試験に合格するのは中々難しいです。
法律知識とともに、試験時間内で問いに答えるよう繰り返して練習しなければなりません。
作法を一度身につけると生涯忘れない
予備試験合格者と既修の人が強かった理由について、色々ありますが、知識量は決して決定的な要素ではありません。基本書と予備校教材で独学する学部生の法的知識の精度と量がローで日々学んでいる人たちに勝てないはずです。にもかかわらず、試験では前者の方が圧勝しています。
その最大の理由は予備試験論文試験と既修の入試を通じて、全科目(ローによって行政法と選択科目以外の科目)において基礎知識と知識を使って問題を解く能力を一定程度身につけたのです。
知識についても暗記するより理解しているものが多く、一度身につけると二度と忘れません(場合によってリハビリが必要ですが)
ここから二つの例を出したいです
私の予備合格者の友達の話ですが、彼は予備試験から司法試験の間、働きながら毎日平均1、2時間しか勉強していません。それでも司法試験受かっていました。(彼の短答の成績も全然よくありませんし、予備も3回目で合格して、高学歴でもありません。普通の予備合格者です)
飲み会の時でも「お前は(司法試験)舐めすぎwww」みたいな笑い話をみんながしました。
もう一つの話ですが、とある弁護士の先生(名門事務所の代表)は興味本位で司法試験の模試に申し込んだらしいです。試験から20年以上離れて実務やって来た彼は見事に上位を取れました。この話聞いて私もびっくりしましたが、司法試験はやっぱりスポーツみたいなものだなと深く感じました。
やるべきこと・避けるべきこと
司法試験の本質の分析は以上です。では、どうすればいいでしょうかをこれから分析していきます。ここからの話未修者だけではなく法律の初学者でも参考になりますので、ぜひ参考してみてください。
いち早く法律の全体像を把握する
法律は他の学問と異なり、体系性が非常に強いです。例えば民法の総則では物権債権親族相続と絡む知識と判例がかなり多かったです。そこで、他の科目を勉強せず民法総則をしっかり勉強して完璧にすることは不可能です。
そのため、一つの科目や分野を仕上がりではなく、まず全科目をささっと一週して全体像を把握していくことが大事です。(書き方を含めると1科目2、3週間が目安です)
最初は予備校の講義動画を一周する人が多いですが、400、500時間もかかるからそんな余裕はありません。しかも講義動画を聞いても書き方を身につけることはできません。まず自分でテキストを読んでささっと一周していきましょう!
過去問とガチ恋しましょう
未修の人と初学者のほど不安しやすく、そのためか、たくさんの基本書と問題集に手を出しがちです。しかし、それは非効率的で試験に直結しません。ローの課題とテストもあって、司法試験対策に使える時間は大変限られています。こんな中別の子に手を出す余裕はないはずです。しかも予備校問題集と過去問の構造が違うから、他の予備校事例問題をマスターできても予備試験・司法試験の問題を解けるに限りません。時間制限内でかけない可能性も十分あります。何年間もあるなら別にいいですが、一二年後に確実にこの試験を受けるなら早く過去問着手しないと絶対間に合いません。
条文と要件を掴むことで本質を理解する
法律の基本は要件と効果です。それは要件を満たしてから効果が生じると言う意味です。言い換えると、要件を充足しないと効果はそもそも発生しません。
法律を駆使して問題を解決することの本質は要件を一つ一つ引き出して、判例と論証をもって解釈しながらあてはめて結論出すことです
基本書も論証集も要件と効果の解釈(条文ないところ除く)となっています。そのため、最初は条文と仲良くなって、要件と友達になる必要があります(特に民法商法と刑法など実体法においてこの傾向が強いです)
条文と要件(要件事実)からアプローチする考え方を身につけるために、私が出した次世代論証集はおすすめです(全て条文ベースで作っており、条文から趣旨要件と論証を展開しています)
短答対策もしっかりする
予備試験と司法試験の試験の正念場は論文ですが、短答も大事です。短答成績高い人のほどボーダー的な成績でも受かりやすいようになっています。予備試験の場合そもそも短答突破しないと論文受験できないです。
短答式試験では法律知識のみ問われていますので、初学者でもひたすら過去問を解いて、テキストでインプットする作業を簡単に進めることができます。
短答と論文の関連性は正直言ってそんなに高いわけでもないが、短答を通じて基礎知識を身につけることは期待できます。
さらに、短答は論文と異なり、努力の量がそのまま成績に反映するから、
終わりに
今回は未修の合格率が低かった根本的な原因を分析して、それを改善するための対策をまとめて見ました。次回は対策を深掘りしていきたいです。よろしくお願いいたします。