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論文直前期の過ごし方


 勉強お疲れ様です。論文の直前期は半分以上過ごしてしまいました。ここからは正念場ですが、1番大変な時期でもあります。
 そこで、私の去年の経験を踏まえて、インプット、アウトプット、そして健康面について、色々アドバイスをさせていただきたいと思います。ご参考になると幸いです。
 また、直前期の出来事についても、記事を書きましたので興味があったらぜひ一緒に読んでください!




1 論証暗記について

 論証を完璧に覚えようとする受験生は多かったが、それは中々できません。
 個別相談を受けた時に、受講生から「論証はどうしても覚えられない。どうしよう」の質問が多かったです。
結論から言うと、そもそもそんな長い論証を覚えなくてもいいです!
 予備試験と司法試験は問題解決の能力を求めています。旧司と異なり、純粋の法律理論の問題はそんなに出ないです。
 そして、論点主義的な勉強はおすすめしませんか。予備試験では論点射的の性質があることは否定できません。そこで、個別の論証の精度よりも、まず重要論点の論証を漏らさずに把握することが大事です。


 そのため、予備校の論証を完璧に覚える必要性は高くありません(原告適格、処分性のような論点を除く)
 そもそも論証の中身に判例そのままではない部分が多くて、論証自体の配点も多くないと推測されます。要約したり、少し言い換えたりしても耐えられるはずです。
 例えば、以下の論証があります。

取締役は善管注意義務(330 条・民法 644 条)の一環として内部統制システム構築義務と運用義務を負う。そして、構築義務については通常想定される不正行為を防止しうる程度の管理体制を整えれば、通常予想し難い方法による不正が発生しても当該取締役がこれを予見すべき特段の事情がなければ構築義務に反しない。
運用義務については、当該システムが外形上問題なく機能している場合には、特に疑念をさしはさむべき特段の事情がない限り、他の役員が適切に担当職務を遂行していると信頼しても善管注意義務に違反したことにはならないと解する。

 この論証は長くて一回で覚えるのはすごく大変ですが、最初は「構築義務:通常想定の不正、防止できる程度/運用義務:疑念をさしはさむ、特段の事情がない、違反しない」のようにキーワードだけを覚えましょう。
 要件のキーワードが分かれば、問題文に沿って三段論法的に書くことができます。これで一定水準の答案が作られます。そして、進捗状況によって、暗記するキーワードをどんどん増やしていき、論証の精度も上がって行くはずです。
 予備校の論証は長くて覚えにくいと思いますが、私は直前期において、自作論証と購入した合格者の論証ををメインにしつつ、(どちらもコンパクトで短かったです)予備校論証を補足的に使うようにしました。

 広告になりますが、商法について、もし使いやすい論証集がなかればぜひ拙作の会社法次世代論証を使ってみてください!
 条文と要件をメインで作られて、網羅性が強く会社法の理解の向上に役に立つだけでではなく、コンパクトで全体はわずか21ページです。直前期では特に使いやすいです!(私は司法試験直前期において、自作論証一本にしました。)

 また、論証暗記の時期について、最後の一週間ぐらいに詰め込むことも可能ですが、負担が大きく、精神的にもきついですから、毎日少しずつやることをおすすめします。

 暗記の方法については、論証を目で読んでもそれほど頭に入ってこない可能性があります。書けない漢字の存在も想定されます。
 そのため、論証は目で見るではなく手で書きながら覚えることにしましょう!個人的な感覚ですが、論証をひたすら書くことは論証集を素読することの何倍以上の効果があります。
 論証集のテーマを見ながら書くのもいいですが、時間的に勿体無いこともあるから、演習書をやる時、過去者を復習する時に、そこに出た論点の論証を書き出すことがいいでしょう。(刑法、民訴法の定義なども同様です。)
そして、最後は論証集を使って、全ての論点の書き出しの訓練をすれば暗記面はもう十分です。

2 過去問の復習と起案

 直前期では大量起案はおすすめしませんが、筆力維持のために一定程度の過去問起案はおすすめです。特に時間を意識して、刑法・刑訴あるいは民法・商法・民訴のように単独の科目ではなく、本番と同じように時間を測って、公法系、刑事系、民事系、実務科目ごとに起案することが大事です。
 そして、科目によっては、実務科目と公法系には作文ゲームの性質があって、一定の期間起案しないと、処理手順を忘れてしまう可能性があります。(たとえば処分性と裁量権の処理、準備書面の作成)

 さらに、超直前期ではモチベーションの低下もあります。何かをやらない・何をやればいいかわからないなら過去問を起案しましょう!やらないより起案する方が絶対本番のために役に立ちます。

 起案すべき科目について、まず、行政法(去年では原告適格が出たので今年は処分性が出る可能性が高いですから、処分性の過去問を中心的に起案することはいいです。)憲法、実務科目は処理手順書き方の勉強の観点から起案すべきです。
  また、刑法刑訴について、焼き直しの可能性が高いから、過去問起案は重要です。かつてからの傾向で言うと、H26からR1までの過去問の焼き直しの可能性は1番高いです。逆に直近の過去問の焼き直しは極めて考えにくいです(特に刑訴において直近の過去問からの焼き直しの可能性はないと言っても過言ではないと思います。)
 民訴と商法についても、それほどではないが、焼き直しはしばしばあります。ですから起案しなくても過去問の復習はおすすめです。

  一方、民法は基本的に焼き直ししません。一度に出た論点は基本的二度と出ません。そう言う意味で民法の起案はあまり意味ないでしょう。(一度出た論点の勉強はしなくてもいいという観点から論点ぐらいは把握すべきです。)

3、答練・模試

 まず、結論から言うと模試と答練は①時間配分の練習、②相対評価の感覚を身につくこと、③未出題論点の勉強の観点から有効です。
 予備試験の論文試験では1日5通起案しなければならず、心身の負担が大きいです。そこで、起案に慣れることが必要で、模試は時間配分、初見の論点の対応の練習に必要かつ有効な手段です。
 また、選択科目の問題演習の機会が少ない中、模試の練習と採点は貴重です。
 もっとも、R4、R5の予備校の模試答練の的中はそれほどではないです。出題予想より、みんな知っている論点について差をつけられないための安心保険と考えていいでしょう。
 そして、採点方式についても、想定した枠内でじゃないと点数は与えられないから本番と異なります。参考にならない部分もあります。ですから、まず模試と答練の結果に一喜一憂にならないことが大事です。特に答練の出題論点がマイナーなことが多く、相対評価もしっかりしていないので、過去問と模試と比べたら優先順位はそれほど高くありません。時間がなければやらなくても良いと考えます。

4、体調とモチベ管理

 これは最後のテーマですが、1番大事なことだと思います。直前期が勝負であること受験生みんなわかっていますが、モチベを最後まで維持して試験に臨むことは簡単ではありません。一日中でも朝のモチベが高かったのに、夜になったら何もできず絶望を感じてしまうことがあります。
 対策法として以下の三つが考えられます。
①無条件に自分を信じること
②一人にならずに積極的に相談を受けること
③適時に息抜きをすること

 ①について、自分ですら自分自身を信じないと、この世にもはや信頼してくれる人はいません。「どうせ無理だろう」を思いつつ、モチベを出て効率よく勉強することは無理です。
 ですから、たとえ根拠のない自信であっても、自分を信じて、そして頑張れば絶対成果は出せるのを信じて最後まで頑張ってください!
 もっとも、根拠のない自信でモチベを維持できても要領が悪いと十分の効果は期待できません。そこで、困ってることがあれば先生、講師、先輩、信頼できる合格者などに積極的に悩みを話し、相談を受けるようにしましょう!
 また、中々時間がないのもありますが、たまたま家族、親友、恋人のような大切な人と話しましょう。時間の無駄だと思われますが、いつでも無条件で支えてくれる人がいると心強くなります。
 ③について、1日15時間、17時間勉強する人もいますが、長時間で集中して効率よく勉強できるとは思えません。私は受験生時代、だいたい毎日7時ぐらいに起きて、夜22時に寝ることにします。毎日ちゃんと7時間以上の睡眠を取ることが重要です。睡眠を削って勉強しても、集中力が低下して効率良く勉強できないから絶対避けましょう。
 そして、運動しないのも良くありません。時間がない中でもずっと座って勉強するじゃなくて、できるだけ体を動くようにします。
 寝る前はどうしてもモチベーションが低下しますので、私は勉強せずにYouTube を見ることで息抜きをします。(一日30分から1時間程度)
 SNSも試験期間中を含めて平常通りにやってきました。(情報収集とストレス発散に有効ですから)
 こうした取り組みで、直前期を効率よく過ごすことができました。よかったらぜひ参考にしてください。
 その他、直前期の食も大変だと思います。蒸し暑い中、ストレスもあって、暴食してしまう人もいれば、あまり食べない人もいます。
 いずれにせよ、脳の働きにはブドウ糖が必要ですから、コンビニで売っているブドウ糖のゼリーはおすすめします!

最後

 最後まで読んでいただき、そして直前期の貴重なお時間いただきありがとうございます。直前期は大変ですが、よくここまで頑張ってきました!
 最後まで突っ走ってください。

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