若者に気づかされたこと。
もう6月になろうというのに、涼しいのか暑いのか、よくわからない天候である。とりあえず、扇風機とサーキュレーターを準備した。そして、エアコンのフィルター掃除、冷房のテストを終えた。
ラグビーワールドカップ2023は、フランスで9月8日に始まる。2019年の日本大会は9月20日が開会式だったから少し長い、至極楽しみな時間である。日本代表と候補が選出され、いよいよ醸成の時が来た。
そこに選ばれた男が、大阪在住、高校の同級生を連れてきた。しっかり話をするし、とてもキュートな娘で「志賀さん、若く見えます、ダンディーです」とまぁ適当に言うものだから、もうすっかり彼らの親戚のおじさん気分になった。37歳も年下だ。聞けば、親御さんも年下だった。ふぅー。
その子は明石にある出版社の話をした。厳しい紙媒体の現状に、たった5人で出版をし続ける会社。今は社員募集はしていないらしいが、彼女はそこで仕事をしてみたいと言う。イマドキ、志のある子だなと思った。
とは言え、日本代表に選ばれた男もこの女の子も、その辺の大人よりちゃんとしている。ビジョンがあるし惰性でないし、何より、チャレンジを続けようとしていることは、挑戦をやめた人よりずっと眩しい。
いつも言うことだが、考えてみれば僕らの若い頃より世界に通用する人が多くなった。スポーツで言えば大谷翔平然り、錦織圭然り、八村塁然り。「お前ら若いから分からへんと思うが、大人っていうのはな…」と話すオッサンよりもずっとずっと、彼らには情報も想いも自分の手の中にある。
そんな話を聞いて僕は、すぐに何人かに打診した。明石に詳しい人、政治家、メディアの人など、幸い、その代表を知る人も現れたり、そこの出版社の人気本、明石市長にまで紹介いただけるツテも見つけた。そういう気概のある子の話だけでも聞いてやってもらえないかと思う一心だった。
その経過を、年齢の割には古い曲「波乗りジョニー」をカラオケで歌うツーブロック代表男にLINEすると、彼女に転送してくれて程なく返事が来た。
お話しお聞きました。初めてお会いして、少しお話ししただけなのに、覚えていて下さってとても嬉しいです。実は、先週に出版社の方に直接問い合わせして、お話だけでも聞かせていただけることになって、明日会社に伺うことになっています。採用はいま募集していないみたいなんですけど、自分なりにアピールもしてみたいと思っています。お気遣い本当にありがとうございます。また志賀さんにもお会いしたいので、お店に行ける日を楽しみにしています。その時に良いご報告もできるように、自分なりに頑張ります!
彼らの親より年上の僕は恥ずかしくなった。
大人はすぐに政治力という人脈を使うものだ。確かにトップダウンは楽だ。しかしながら「あの人に頼まれたから一応聞いておこう」という人もある。この子は頑張れる。事実、彼女は自分の足で歩こうとしている。その妨げは大抵が大人の仕業なのだ。そう、いつも若い世代に教えられる。
僕はこう返した。
変な大人のチカラ技を使ってアポイントメントするよりも、自分で動いた○○さんの行動力の方が尊いし、説得力もあるでしょう。まずは想いを伝えるチャレンジをしてみてください。では、いつかの再会を楽しみに。
間違いない。
『大人になるのは簡単だ。挑戦をやめればいい』
そんな言葉を思い出していた。
そして、僕もまだ、大人になり切れていない。