私がキャンドルをつくるまで。
2020年の夏、仕事をやめた。
大きな理由はふたつ。
ひとつは、大好きなおじいちゃんの
突然の末期ガンが発覚したこと。
余命数ヶ月を自宅で過ごしたい、という
おじいちゃんの想いを汲んで
家族みんなと訪問看護師さんとの
"おじいちゃん自宅看護の日々"
がはじまった。
ふたつめは、当時働いていた職場の「気」が
どうしても合わなくなってしまった。
それは、職場や上司がわるいというより
ずっとずっと抱えていた違和感、
本当は合わないと思っていたこと、
でも気付かないふりして
押し込めて我慢していた部分が
「あぁ、やっぱりムリだな」と
気付いてしまったから。
コロナ、おじいちゃんの病気、職場のこと。
一気に押し寄せて、余裕がなくなったとき
本当の自分はどうしたいのか?
私の人生の大切な時間。何に使いたいのか?
だれを、なにを優先する?
そんなことを突きつけられた。
そして
・仕事をやめる。
・おじいちゃんと、残された大切な時間を過ごす。
そんなことを決めた。
決めた、なんてかっこよく言ったけど
実際はどうしようもないくらいにまで
追い詰められていて
大泣きしたあげく、上司に思いの丈を話して辞めた。
正直、コロナで会社の業績もかなり落ち込んで厳しかったから、私の退職は双方にとって良かったのだと思う。
でもね、本当にこれは不思議なんだけど
その決断をしてからの日々は
これだけで一冊の本が書けそうなくらいに
幸せな奇跡の連続だった。
会いたい人とどんどん繋がって
住みたかった場所、理想の家に引越しが決まって
行きたいところに行けるチャンスがきて
ずっと学びたかったことを学べる環境が与えられた。
もしも、あの時に、あの決断が無かったら。
今あるすべては無かったんだ…と思ったら
ちょっとこわいような気持ちにもなった。
- 自分にとって違和感のあるものを手放すと
その空いた隙間には
欲しかったものが流れ込んでくるよ -
どこかで聞いて、
そして今まで幾度となく実感してきたこと。
うん、やっぱりそうだった!
そして、2020年夏以降の日々は
大切で、愛おしくて、宝物になったのです。
前置きが長くなったけど
そんな中で始めたひとつがキャンドル作りだった。
もうお水しか飲めなくなった
寝ているおじいちゃんのそばで
「今やりたいことはなんだろう」
って考えてた。
そしたら、なんかわからないけど
「キャンドル作りをしたい」
って浮かんだ。
実は前から気になっていた
キャンドルアーティストの先生がいて。
でもその先生はとても遠くに住んでいる。
飛行機で会いに行かなきゃいけない。
ホテルもとって、数日間の旅で行かなきゃいけない。
ましてやその時おじいちゃんは
いつ最期を迎えてもおかしくない…
という時期だった。
こんな時に、のんきにキャンドル作り?
って普通思うよね。
別に今無理して行くことないんじゃない?って。
でも、これまでの人生、やりたいことをトコトンやってきたおじいちゃんを見ていて
さらに仕事を辞めて、
鳥のように身軽になった私にとって
「気になるから行く!」と決めるまで
時間はかからなかった。
寝ているおじいちゃんに話しかけた。
「おじいちゃん、私ね、今度キャンドル作り習いに行ってくるよ!飛行機で。10月に行くの。作ってきたらおじいちゃんにも見せるね!」
おじいちゃんは、こくっと頷いて
「ほうかー」と言った。
作ってきたら見せるね、って言ったのは
「少しでも生きていて」と
そんな想いからだった。
それが、生きる希望になるなんて
そんなことはないのかもしれないけど、
未来に約束をすることで
おじいちゃんに生きるプレッシャーを
与える作戦!笑
.
.
それから1ヶ月後。
明日からいよいよキャンドル習いに行く、
という前日の朝。
おじいちゃんは亡くなった。
実は、その少し前から
「もうあと数日です。」と言われていて。
おじいちゃんとの別れが近いことの怖さ。
そして、飛行機もホテルもレッスンも
全て予約しているキャンドル作り。
行けなくなったらどうしよう…
なんて自分勝手な不安もあった。
数日後に出発を控えた私の心は、
ザワザワぐちゃぐちゃだった。
もう、行けないかもしれないな。
全額負担でキャンセルになるかもだけど、仕方ない。
もしおじいちゃんががんばってくれて、
予定通りに行けたとしても
訃報の連絡が来ないかずっと気掛かりだろう。
連絡があればすぐに、帰ってこないといけないな…
そんなことを覚悟していたら、
出発の前日、みんなが見守る中
眠るように旅立ったおじいちゃん。
私はその時に思った。
きっとおじいちゃんが、行かせてくれたんだって。
心置き無く行っておいで、って。
それで前日にお別れになったんだって。
わからないけど、すごくそんな気がした。
とてつもなく悲しかった。
初めての、家族を失うという経験。
正直、キャンドル習うぞー!なんて
モチベーションじゃなかった。
でも、行こうと思った。
めちゃくちゃ素敵なキャンドルを作って帰ってくる。
そして、おじいちゃんのお葬式で
そのキャンドルを飾ろうって決めたの。
行きの飛行機でも涙が出てきたし、
道中はずっとずっとおじいちゃんのこと考えた。
飛行機を待つ空港で、
棺に入れる手紙を書いたりもした。
でも、キャンドル作りのときは
ものすごい集中力で
1日8時間のLessonを数日間受けた。
朝は早起きして、カフェで昨日の復習までして。
そして修行(!)を終えて
たくさんのキャンドルをカバンに詰めて帰宅。
これも不思議なんだけど、
おじいちゃんの葬儀は
私がキャンドル作りから戻った次の日になった。
その日しか葬儀屋さんが空いていなくて。
本当に、最後まで
「行かせてくれた」としか思えなかった。
葬儀の日。
おじいちゃんの祭壇には
沢山のお花と共に
作ってきたばかりのイロトリドリの
キャンドルが並んだ。
参列してくれた人からは
「素敵なキャンドルだね」
「パッと場が明るくなるね」
って言ってもらった。
約束通り、
おじいちゃんに、見せられて良かった。
見てくれたかな?
きっと見てくれたよね。
.
.
私が初めて作ったキャンドルは
大切な人を想って作ったキャンドルでした。
それを、帰ってきてからも形にしたくて
少しずつ作り、販売を始めました(*ˊᵕˋ*)
BASEに「kuu-maa(クーマ:フィンランド語であったかい)」というお店を作って
そこにキャンドル並べています。
(あずきとハーブのアイピローも一緒に。)
長くなったけれど、
私がキャンドルをつくるまで、のお話。
すきなことをやれ!楽しいことをやれ!
と最後まで教えてくれたおじいちゃん。
今こうして楽しい気持ちで生み出したもので
誰かが喜んでくれることが本当に幸せです。
さいごまで読んでくれてありがとうございました。
これからもみんなが心温まるキャンドルを
作っていけたら…と思います(*ˊᵕˋ*)
よかったらお店も
のぞいてもらえたら嬉しいです。
▷▷SHOP kuu-maa こちらから