ザウルスと携帯電話(3) − システムの発想
ザウルスのシステムについて、もう一つ説明したいことがあります。本質を考えるとか、宣言するとかいうのは、哲学的というか心理的な面の説明でしたが、もう一つ忘れてはいけないのはシステム的な発想ということです。
このシステムというのは構造を把握するということで、決してITとか技術に特化した話ではありません。このシステム的な発想が、実は退職後の心理的、宗教・スピリチュアル的なことにも大いに活きています。
全てのビジネスや仕事、プロジェクトがそうですが、このシステム的な発想があるのとないので、大きく違ってきます。物事の構造を把握する力、そしてそれを応用する力がないと、一回は成功しても何回も続けて成功することは難しいでしょう。これをシステム的発想と呼ばせていただきます。
ザウルスの場合ですが、ザウルスにとって携帯電話という全く新しいジャンルに挑戦しました。しかも、6ヶ月の期限付きです。この構造を考えた場合、多くのデバイスとソフトが関係しているプロジェクトである、ということが構造的な要点でした。
ザウルス本体、ザウルスの搭載アプリ、携帯電話システム、携帯電話から先のデバイス、その全てが新規なのです。ですから、そのどこにおいても問題が発生する可能性がありますし、問題が発生した時にどこで問題が起こっているかをすぐに理解できるようにすることがとても大切でした。
ITのお分かりになる方なら常識的だと思いますが、開発に当たってはどの部分に問題があるかが分かるような、プログラムでいうと変数を入れて分かるようにしていたのです。もちろん、それだけでは発見できない問題、例えばハード的な温度試験が上手く行かなかったみたいな問題もあり、それらを一つ一つ解決しました。
その中で、メーカーさんに100機種以上のファックスのテストをしてもらった時に、シャープのファックスだけが上手く行かなかったという話がありました。シャープのファックスが少し標準仕様から外れていたらしかったのですが、ファックスを開発しているグループに申し入れして、問題が起こった時はファックスの方で対応してもらう話になり、無事解決できましたが、そういう色々な問題がありました。
こういう問題を一つ一つ解決しながら6ヶ月だったのですが、最初に問題を切り分け出来るようにしていたのが、最大の成功の要因だと思います。つまり構造把握です。あまり、現代の教育で言われていませんが、この構造把握とか構造を認識する能力は人間にとって、とても大切なものであり、教育の中で伸ばすことが可能だと思います。
もちろん生まれ付き得意な人はいます。しかし、それを意図的に発達させることは可能であり、特に前例のない新しいことにチャレンジするには大切な話です。どうやって発達されるか、それはなるべく図解して説明する癖を付けることです。
図解するためには、その構造を理解しないといけません。また構造把握だけでなく、他人への説得力も増します。一挙両得です。逆に構造把握力が高い人は説明を聞けば分かります。説明の内容が構造的になっているので。日本の教育にも何らかの形で構造把握力の教育が入れられたらかなり変わるような気がしています。
これは、シャープ時代の技術開発だけに限りません。例えば今ツインセッションというスピリチュアル系のセッションをやっていますが、これも構造把握的に創り出した物です。昔、日本の神道では、巫女さんが神懸かりして、神主さんがその情報を精査、変な霊が掛かっていないかを判断し、見えない世界の情報を取っていたと言います。
これは構造的には役割分担性みたいな話です。スピリチュアルというか、オカルト的な情報というのは、目に見えないだけに情報の精度がとても大切になります。巫女さんは、相手の霊とか神と呼ばれる存在を全面的に信じないと情報が取りにくいのですが、全面的に信じてしまうと、自分の無意識的な願望や妄想が混入したり、変な情報ソースに繋がったりする可能性が高くなります。
かといって疑念を抱きながら情報を取ろうとするとなかなか出来ません。情報源への信頼がなければ、情報が入って来にくいので。だから、巫女さん役の人が情報を精査するのは原理的に難しいので、別の人間が、昔でいう神主さんのポジションで情報を精査するというのが良いと思い役割分担性のセッション、ツインセッションという形で現代風にアレンジしたのです。ちなみに、この神主さんのポジションを審神者(さにわ)と呼びます。
このように過去の物とか別の物の構造を把握し、その原理を上手く使って新しい応用をすることは多く行われて来ました。真似る、というと独創性が無いように思われる人も多いのですが、物事の構造を把握して、その構造を理解しないと本当の意味での真似は出来ません。
日本は海外の優れたものを受け入れて、それに改良をして発展させるのを得意として来ました。ですから、日本人の多くは構造把握能力に長けているのではないかと私は思います。ただ、そういう訓練をすれば日本人は伸びるのではないかと思います。
スピリチュアルとかオカルトの話を書いたので、もう一つ書いておきます。それは私なりの式神の使い方みたいな話です。スピリチュアルとかオカルトが嫌いな方には抵抗があるかも知れませんが、構造把握力という意味でご説明します。
映画「陰陽師」には、陰陽師が式神(しきがみ)というものを使いこなすシーンが出て来ます。こういう見えない存在を使って、見えない世界の処理をするという構造は、西洋では使い魔とか良い、密教では式王子といい、どこにでも存在しました。そして、多くの人がこの構造を使っていたということは、やはりこういう手段が結構有効なのです。
この構造を現代風にアレンジしたものを私は使っています。私の霊的身体の分身を意識の中で式神的に設定して、それを呼び出して依頼する、そういう構造です。
スピリチュアルとかが胡散臭いとか思われる人には理解出来にくいと思いますが、世の中にはかなりの比率で、いわゆる霊的に敏感な人がいます。そして、霊的というか見えない世界の問題で困っている方が存在します。
そういう方の相談に対しては、私の式神というか霊的分身を紹介して、それを呼び出してもらうという形で対応してもらっています。これが一番簡単で、一番効果がある方法です。ちなみに、私の霊的分身はオープンソースにしています。
もちろん、宗教とかスピリチュアルとかいう証明も出来ない世界で他人の恐怖を煽り、暴利を貪る商売をしたり、宗教とかカルトの勧誘をしたりするのはどうかと思うのですが、霊的な影響や見えない世界の影響で苦しんでいる人も多数存在することを考えれば、適切な解決法を提供することも必要だと思います。
話は戻りますが、このように構造が把握できると、様々な物事をシステム的に対応できるようになります。それは、科学技術的なことだけでなく、宗教やスピリチュアルといった霊的なことまで幅広い応用範囲があります。ということで、
ビジネスの基本(6):構造を理解してシステム的に考える
ということはとても大切であり、新しいことに挑戦したい人にとってぜひ伸ばして欲しい能力でもあります。
ちなみに、私のセッションとかコンサルもこの構造把握がベースにあります。その人の存在や、その人のビジネスの構造を理解して、最適なソリューションを見つけ出す、そういうセッションになります。
ですから、集客のセオリーが云々というセッションはしていません。もちろんそういう基本は踏まえた上で、その人のやりたい事とか、その人のリソース、その時の状況などの構造理解から入りますので、多分一人一人で言っていることが違うと思います。
もちろんマニュアル的にやった方が成功するという側面もありますが、その人一人一人に適した成功法とか、幸せになる方法を見つけるアプローチがあっても良いのではないでしょうか。こうやったら成功する、とか、これさえやれば成功するとか、たった一つの成功法とか、そういう話はしませんが、というかそういう話は眉唾だと私は思っていますが、その人が、きちんと努力をしていただけると成功する確率は高いと思っています。