「新型コロナ 対策奮闘記」 第9回 4月3日(金) 業界初の『危険手当』
■第9回 4月3日(金)
昨日の全社に向けた僕のメッセージを見た従業員たちの反応は、以下だった。
昨日、経済活動を優先するって書きながら、オンサイト撲滅をいきなり言い始める。一瞬矛盾しているように見えるけど、それは僕の中で矛盾していない。従業員の安全と働きやすさを提供しようとすればするほど、経済活動が活性化して、会社が伸びていく。本当にそう思った。
在宅だってセキュアに出来るし、生産性も担保できる。
でも、お客さんを説得して在宅勤務の許可を得ないといけないのは変わらない。
だから、金曜日の朝一、数名のセキュリティに詳しいメンバーを集めてミーティングした。
直ぐにまとまった。問題はオンサイト(顧客のオフィス)よりもオフサイト(SHIFTのオフィス)、オフサイトよりも在宅というように、セキュリティが高い方が良いに決まっている、そこまでやるのかと言われるくらい徹底しないとお客さんは納得しない。
だから、自宅でも小さな部屋を作って、当然シンクライアントでデータは残さず、オンラインで繋ぎっぱなしにして、有人による常時監視付きの中で業務を行ってもらう。
働いているメンバーは辛いように見えるけど、そこまで徹底して初めてお客さんも納得するし、従業員がオンサイトに行かなくても安全にテストが出来る。
という事で整理されたセキュリティプランが、以下になる。
でも、これって手当いるよね??
そう思った。
自分がストレスを凄く受けながら業務するのって、いくら仕事とはいえやってらんない。だったらストレスに応じて手当を出そう。それがストレス手当になった。
1日4,000円。
これが妥当な金額かどうか、誰も分からない。
「1,000円は安いよね、でも1万円はやり過ぎな気がする。うーん4,000円。
これだったら、20日営業で8万円を従業員が貰えると。それだったら新しく自分でマンション借りて、そこをセキュアにして在宅リモートしても良いよね。実家に帰って、一部屋を占拠しても親に迷惑をかけないよね。妥当かも。」
しかし、そこまでしてもまだ在宅の許可が出ないオンサイトメンバーがいる。
「不公平だよね。だったら、名前を付けるのが難しいけど、危険手当を出そう。そうだ、4,000円。これで納得できるかな?調べて!!」
「社長、ざっと調べたら医療従事者でも危険手当は出てないようです。あのダイヤモンド・プリンセス号ですら、1日360円でした。最後は10倍に手当がなってましたが、それでも4,000円より安いです。」
「社長、アメリカのトランプ大統領ですら、今やっと医療従事者に手当を出すか検討しているようです。」
「そんな状況なんだ。うーん、じゃあ4000円にしよう。」
それで、従業員が納得するかどうか、それはしないと思う。でも僕としての気持ちの問題だった。
オンサイトに関わっている人間がまだ1,200人はいる。
つまり、1,200人 ✖️ 4,000円 ✖️ 20日 ✖️ 社保=14,000万円。
ひと月で、半分以上の利益にあたる。
上場企業として本当にハードな決断だった。これが1年続けば、17億円の利益が純粋に消える。まだまだ成長途中のSHIFTからすると、利益の大部分に相当する。
新型コロナウイルスによる売上への影響は軽微なのに、自ら行動して自ら業績を下げるような事をする。自分でも意味が分からなかった。
それから、当然オンサイト勤務のメンバーを在宅にしようとするなら、本社機能(営業、人事、バックオフィス、その他開発系)も全て在宅勤務にしないとダメだ…。
この日の夕方、
本社と地方拠点の在宅勤務を来週月曜日から開始するという決定を急遽くだした。
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