ライラック杯 勝手に紫円賞 俳句部門
お立ち寄り頂きありがとうございます。
とてもとても楽しませて頂いているライラック杯、企画の参加が初めてで、よく理解できていない部分もありながら、気になっているものがありました。
勝手に賞です(リンクがこれで合っていることを祈ります)。
まず大前提なのですが、私は初心者です。俳句と短歌は昨年末に、川柳はライラック杯に二部門参加してから初めて、始めたばかりです。
なので、技術的なものはまだまだ身に着けている最中なのですが、それでも「好き!」をお伝えしたかったので、参加させて頂きます。鑑賞に解釈違いが生まれるであろうことはお許しいただけたらと思います。
作者様は判らない状態で一覧を拝見しながら、特に「好き!」を贈りたい作品七句を選ばせて頂きました。一覧で読んだ順番に書かせて頂いていて、順位はありません。
まずは俳句部門、参ります。
🌸rira様
花の散るひとつひとつにいのちをり
桜の花は、咲いている間も散っていくその瞬間も、そして散った後も美しいな、と思います。花びらがはらはらと舞う、そのひとつひとつにいのちを感じて、美しさが際立っていると感じました。
咲いている間でなく、散っていく様子を詠まれていることもとても印象に残りました。散るのは少し切なく、でも下五で命の暖かみを感じます。それはまさに「春」そのものだと思います。
🌸十六夜様
月朧シュレディンガーの猫ゆらり
とても好みの言葉が並んでいて、まずそこから目を奪われました。
シュレディンガーの猫、は、あれですよね、何か量子力学のやつ(すみません、理系はとても憧れですが、完全に文系な私の理解では追い付けず……)。思考実験ですよね。
春のぼんやりした月の光に、存在の確定していない猫。どこか幻想的な光景がとても好きです。やがてゆらりと立ち昇る猫の影が見えるようです。
幻想のようで、でも光景がありありと描けるのが素敵で、選ばせて頂きました。
🌸かよん様
満開の花の天蓋夜透かす
何て美しい……と、思わず溜息がもれました。満開の桜を天蓋に見立てる発想がとにかく素敵です! しかも夜を透かしていて、とても幻想的な美しさです。私はかつて天蓋付きのベッド、などに憧れた子供でしたが、その夢の世界が目の前に見えるようです。それは決してお伽噺の夢物語でなく、心に描いて桜を見上げれば出会えた光景だったのだな、と気付かされました。
🌸歓怒(かんど)様
木星の下に金星重き春
こちらは、先日の大接近のときの様子ですよね。私などはただただ「近ーい、すごーい!」程度にしか観察していなかったのですが、はっとしました。木星はとても大きな惑星ですから、きっと下にある金星には重い……! そんな発見を見逃されなかったのがすごい、と尊敬の念を抱きました。次は何十年か後とのことでしたので、この春ならではの俳句になっていて、こうして季節を切り取るのが俳句の良さなのだな、と思いました。
🌸洋介様
春日傘散る花ふわり風に舞う
とても個人的な好みのお話なのですが、春日傘、という季語が好きです。そこで目を惹かれました。春のうららかな日差しの下を、日傘を差して歩いていて、そこへ花びらが落ちてくる。それはふわりとした風に運ばれたもので……という流れが綺麗でした。思わず足を止めて見上げたくなります。春の風を感じられて、とても素敵だと思いました。
🌸麻生ツナ子様
黒猫は走っていった初虹よ
猫さんは、虹の橋を渡られたのですね。私も一緒に暮らした犬や兎たちを見送ったので、その時の感覚が蘇ってきました。哀しくて切ないけれど、猫さんは走っていったのです。これは完全に妄想ですが、猫さんは年老いていたかもしれないし、病気をしていたかもしれません。こちらの世界では、思うようには走れない体だったかもしれません。けれど虹へと走っていった、その表現で、こちらから解き放たれて軽やかになった猫さんを想いました。哀しみの中に、深い愛情を思いました。
🌸越庭 風姿様
雨垂れや 葉桜を打つ 空の音
空の音、が素敵だと思いました。花も散って、勢いよく緑を増す桜に、少しだけ強めの雨を感じます。その音は私には少し憂鬱な、単なる雨の音ではなくて、「空」の音。そう思ったら何だか心持ちが変わってきて、新鮮な気持ちになりました。葉桜は恵みの雨を得て、更に緑を深めていくでしょう。その様子がとても生き生きと感じられて、春の深まりを思いました。
以上の七名様に、初心者マークぴかぴかの紫円賞を贈らせて頂きたいと思います。おめでとうございます。
参加された皆様の作品がどれも本当に素敵で、沢山の感動と発見と学びを頂きました。ありがとうございました。
賞状と呼べる大したものではないのですが、よろしければこちらを……
後日、短歌部門と川柳部門も選ばせて頂きたいなーと思っております。
それでは、好きを語りすぎて火照ってきましたので、この辺にて……。
どうもありがとうございました。
いただいたご支援は、心の糧とさせて頂きます。