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隠岐・焼火神社へ~島前神楽~

暑すぎた今夏、7月22日~24日にJAPAN CRAFT BOOKが企画した「島根・隠岐ツアー」に集った総勢16名で、隠岐の西ノ島に鎮座する焼火神社に参詣が叶った。

境港からフェリーで3時間。島前と呼ばれる三島(中の島・西ノ島・知夫里島)の中の西ノ島に焼火神社はある。
こちらで2年に1度行われる例大祭で奉納される島前神楽をテーマに「神迎え」の本が生まれたのであるが、私はまだ実際に拝観したことが無かった。

7月23日午後7時に始まる神事のため、焼火山を登っていく。途中で見下ろす景色に癒しと高揚感をもらいながら、私は言葉が無くなっていく。これから自分が参る場の空気に、佳い畏れを感じていたのかもしれない。

隠岐の海@焼火山
焼火神社本殿

お社ではすでに神事が始まり、中に入るのははばかられたので、神楽の舞台となる社務所へ。広いとは決して言えない場で島民の方、来訪者が皆で譲り合って座し、ふるまわれたお神酒を口にしてその時を待つ。

(始まった)

3つ目の演目が始まり、天狗のお面をつけた舞人が現れた。赤い衣装を着けているから「赤い天狗さま」と心の中で名付けてみた。ゆったりと、リズミカルな動きだけれど、ぴたりと身体と止めた後の動きが清々しいほど。「キレがある」というより、「美しい」といいたい。

少し経つと、今度は緑の衣装の舞人が天狗の面をつけて現れる。
この緑の天狗さまの舞は先の天狗さまよりも、少し速く感じられて、振りが大きく見える。舞台となっているのは8畳ほどの間。そのうち2畳は音楽を奏でる方が、2畳はお囃子?の方が居られるので、使えるのは4畳。
引き込まれていくうち、舞人の身体が観覧側へ乗り出した時にわかった。

舞人の軸足が、舞に使える4畳のうちの2畳から出ないのである。
身体がどんなにせり出しても、軸足は畳のヘリすら踏まない。

「ここに神様がいる」

目の前の舞人は先ほどから天狗の面をつけた人なのだけれど、神様はこの場に降りておられ、舞人と共に舞っておられる。もう、人なのか、神様なのか…そんなことはどうでもよくなってきて、観ている側は共に神様とこの空間に居て同化しているような気になる。
不思議で、自分の身体がわずかにフワリと揺れたような体験だった。

日本人が日々の暮らしで、自然の中に八百万の神を見つけ、感じ、感謝をして永く生きてきたことが、少しわかったような気がした。


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