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絵が描けなくなった話

絵が描けなくなった。

わたしは関西の某美術大学を卒業した。
それこそ絵は幼稚園の頃から狂ったように描いていたし、中学の時は120ページ綴りのノートを毎月一冊消費していた。右手の側面はいつも鉛筆で真っ黒になっていた。

それが社会人になってから急に描けなくなってしまった。


大学の卒業制作で描いた絵の一枚。
こびとをテーマに何枚か描いた


大学生の時からその傾向はあって、どうやらわたしは絵を描くことが義務になってしまうと、ぱったりとやる気の炎が消えてしまう。受験のために通っていた画塾の課題もいつも苦痛だった。頑張って描いたデッサンも、わたしの作品はいつも酷評されるだけだった。

それもそのはず、わたしにとって絵を描くという行為は、目の前のやるべきこと(勉強とか)から逃げる行為であり、また自分の中のイライラや怒りをぶつけるための吐口だったから。
絵自体を〝やるべきこと〟にしてしまうと、途端にそれからも逃げてしまいたくなるのだ。

大人になると、自分の周りを取り巻く情報が増える。
それは仕事だったり、人間関係だったりする。
絵なんて描く気力も時間も、怒りも無い。


アイコンは久しぶりに使った
アクリルガッシュで描いた


大学生の友達は、漫画家だったり、漫画家を目指していたり、コミティアに出て作品を作ったりしている。
フリーターの子も多いけど、わたしにとってその人たちは眩しかった。

わたしも絵が描きたい。
でも、描けなくなった。

下手に目が肥えて完璧主義になっちゃったし、創作意欲はあっても手が追いつかない感じ。
友達と通話しながらなら描けるかと思って試したが、途中で飽きて投げ出してしまう。

どうしたもんか。
何か作り出したい、何か残したいという気持ちはある。
画風も気持ちも定まらないけど。
描きたいという気持ちだけは漠然とある。

いつか描けるようになる日までインプットを続けるしか無い。
とりあえず本を読もう、映画を観よう、旅行に行こう。
でもそれも〝やるべきこと〟になったら逃げてしまいそう。

人生は本当にむずかしい。

いつか描けるようになるまで、同じことを言い続ける。


今日の月はびかびかに光っていた

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