クロワッサンのひとくちめ
電車の到着音がいつもよりもよく響くなあ
と思わされる今日この頃、いかがおすごしですか?
わたしはだれかに「あなたってストーブみたいね」といわれることを目標に厚着をしています。
こんなにさむい日にはほかほかすることを考えたいので、今日はわたしの友人のさつきちゃん
についてお話ししようと思います。
さつきちゃんとはわたしのしどろもどリ仲間である
さつきちゃんのことです。
わたしは彼女がだいすきなのですが、
なぜ彼女がだいすきなのか
ためしにことばにしてみようという試みをします。
1.さつきちゃんは霜柱を必ずふみます。
彼女は100%、10発10中で霜柱をふみます。
彼女は、その霜柱側の「ふまれたい」という欲求を
確実に満たしながら、街にある霜柱を
ひとつとして見逃すことなく踏みます。
その真摯さ本気さにわたしはいつも
心を揺り動かされています。
2.さつきちゃんは靴を遠くまでとばせます。
彼女が靴をとばすときはごきげんなときです。
彼女の靴は平均してキリン10匹分ほどとびますが、ごきげんがすぎるとゾウ60匹分ほどとびます。
3.さつきちゃんはレプリカとディカプリオ
を見分けられません
彼女はとても知識が豊富で
いつでもしゃんとぴかぴかした女の子です。
ですが、そんなさつきちゃんは
レプリカとディカプリオを見分けられません。
よく「オムライスのディカプリオがね」とか
「あのレオナルド・レプリカが出ていた映画」とか
言います。
私はとても愉快なので指摘しないことにしています。
4.さつきちゃんは親指の角度をほめてくれます。
さつきちゃんはとても人の親指をよくみています。どんな時でも、「いまの親指の角度はかなりすてきよ」とほめてくれます。
その言葉をきくたびにわたしはこれから先も
生きていけそうだなと思うことができます。
5.さつきちゃんはおなかがすくと帽子をあみます。
色でいえば緑が最も多いように思います。
おなかがすいていることを忘れる方がはやいか、
帽子をあみ終える方がはやいか、
これはとても紙一重です。
これまで、さつきちゃんの好きなところを挙げてきましたが、挙げた要素はみなでたらめです。
さつきちゃんが見逃さないのは霜柱ではなく
路線図のなかのゆりかもめであり、
さつきちゃんは靴をとばすよりも
裸足であるくことが多く、
見分けられないのはフィリピンとフィンランドで、
どちらかといえば親指の角度よりも
くびれをほめてくれるし、
帽子よりは虚無僧笠をあんでいます。
とてもいいですね、さつきちゃん。
おまけにさつきちゃんはやさしくてかわいくていい子です。
いいですね、さつきちゃん。
どうでもいいのですがわたしは塩梅という
ことばに近頃はまっています。
塩梅。
酢と醤油の塩梅。
チョコとクッキーの塩梅。
また偶数に。
さわこ。