Takahiko32_№14
🇫🇷TEMPURA
AUTOPORTRAITS DE TOKYO
フランスで年4回発行される日本文化を紹介する雑誌“TEMPURA”で連載中のインタビュー記事
“AUTOPORTRAITS DE TOKYO”=”東京に住む人たちのセルフポートレート”を日本語訳したものをnoteに記録しています。
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TEMPURA_№14 / 2023.7
Takahiko 32
playwright
Text : Mathieu Rocher (Interview : Ayaka Shida)
Photo : Ayaka Shida
私は東京の端っこ、町田市で生まれました。町田市は東京と神奈川との境にあり、みんなには冗談で「あそこは東京じゃない」と言われるような場所です。
2019年から舞台やマンガの脚本を書いています。
時々、詩や歌詞も書きます。この仕事をする前は、演者側でした。
この世界では、みんながそれぞれ異なる考えを持って生きていますよね。
最近は多様性の時代になり、より多くの考えが溢れている気がします。
だから、さまざまな人々が自由にアイディアを共有できる場所を作りたいと思い
“カフェ・アメダマ”というアートサロンを始めました。これを拠点に、定期的にアート展示やイベントを開催しています。
自分の性別については、明確に定義しないようにしています。
なぜなら、それが私を総括するものにしたくないからです。
その決定は相手に委ねており、その質問には答えないスタンスでいます。
いずれにせよ、男性/女性のアイデンティティは管理しやすいように作られた象徴に過ぎません。でも、いつか自分自身を表すシンプルな記号が見つかるといいなと思います。私は、誰もが安心できる未来を望んでいます。そして、それに対する対立や不寛容がなくなることを願っています。
私は今までの人生で、それなりにたくさん傷ついてきたと思います。
でも、ここ新宿にいると「みんな何かしら欠点を持っている」と感じることができて、少し楽になります。その欠点こそ魅力的なんです。
若い頃は、自分以外の人々は完璧なんだ、自分だけがだめなんだと、強い劣等感を感じてました。でも、本当はみんな何かしら欠点を持っています。30才を過ぎてから、少し楽に息ができるようになりました。前よりもずっとポジティブになったと思います。
私にとっての東京は2つあります。
まず、厳しくて冷たい場所だと思っていたけれど、実際には温かい場所だった新宿。
そして、安全で、時々疎外感を感じることもありますが、大好きな街、町田。
そして、どちらの場所も二面性があります。
町田にいるときは難しかったことが、新宿に来てからはある程度楽になりました。
東京では常に何かが起きています。
良いことも悪いことも。とても刺激的で、退屈しません。
もちろん、危険もあります。
ネットカフェで仕事をして寝泊まりしていた時期などは、男性からも女性からもセクハラを経験したことがありました。これが新宿の怖い部分で、リラックスもできるけれど危険でもある。不思議な場所ですが、脚本家として経験を執筆に活かせるな、とも思います。
東京での生活は好きです。便利だから。
生活に必要なものをすぐに手に入れることができます。
自宅にいなくても泊まる場所がたくさんあります。
孤独を感じることもありますが、それは決して悪いことじゃないと思うんです。
孤独を感じているからこそ、共にいることができる。もし満足していたら、連絡を取ろうとはしないでしょう?
一般的に言えば、私は幸せです。
裕福ではありませんが、家族や友人がいて、何よりも好きな仕事があります。平和に暮らすことができています。
未来については分かりませんが、将来もやりたいことをやり続けることは確かです。
もし野心があるとすれば、“カフェ・アメダマ”を常設の場所にしたいです。
そして、もしお金があれば、好きなアーティストのスポンサーになって独占してみたい。
本当に、お金がなくてよかったです。笑
ここから編集後記🐈⬛
インタビューに至った経緯や私個人の意見を書いてます。
編集後記と言いながら、ほとんど私の日記みたいになってて公開するのがなんとなく恥ずかしいから
最新号・公開した方がいいかなと思うもの以外は最低金額で有料設定にしてます🙃
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今までやってきて、この連載が1番似合うと思ったのがたかひこちゃんです。
いつもぴこちゃんって呼んでます。
マガジンのアイコンにもしてます。ディーバです😎
◉孤独を感じることは悪いことじゃない
◉問題の本質を見つめて。たとえば性別や職業のせいにしてすり替えないで
◉冷たそうに見えた新宿で息ができるようになった
ぴこちゃんが話してくれたなかで素敵だなと思った言葉たちです。
特に好きなのが2番目の
『問題の本質を見つめて。たとえば性別や職業のせいにしてすり替えないで』
インタビュー当時、新宿に歌舞伎町タワーができたばかりで、ジェンダーレストイレが話題になっていました。
ぴこちゃんと、それに挑戦したことは悪いことじゃないよねって話したのを覚えてます。
失敗だったと言われて4ヶ月くらいで廃止されたけど、価値のない出来事ではなかったはず。
それで、性犯罪が起きそうでこわいということが廃止の理由のひとつだとしたら、
<トランスジェンダーのせいだ、うろつく男性のせいだ、いや女性が悪い>
ではなく、性別関係なく <やばいやつ> のせいじゃん。が本質だよね?っていうことで出てきた言葉でした。
なんとなく感じていたけど気がつかなかった(むしろそこまで気に留めなかったんだと思う)違和感の正体を、ぴこちゃんが言語化して気づかせてくれた感じがしました。
これはぴこちゃんがいろんなことを見て、感じてきたからこその言葉だなあと思いました。
こうやって見過ごしてしまってる本質ってたくさんあるんだろうな。
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ぴこちゃんを代名詞にしようとすると、日本語にちょうどいい言葉がない。
英語だとHe/Sheの代わりにTheyを使ったりするみたいなんだけど、個人的にはそれもなんだかなーという気持ち🤔
それで、Mathieuとこの記事を作るときにはずっと“Piko”と呼んでたんだけど
そんなときに、
何年か前にぴこちゃんに出会わせてくれた&№11のりょういちさんを紹介してくれた共通の友人ゆかちゃん(有能)がこんな記事を送ってくれて
ここに載っているフランス語の“Iel(スペルはアイ・イー・エル)”を、Mathieuとの会話では使うことにしました。
ここ以外は英語だから本当はおかしいんだけど、これが1番しっくりきたので。
あと、ここにはないけど英語で“Ze”っていうのも“あの人”っていう意味であるみたいです。これはぴこちゃんが教えてくれました。
日本語も新しく作ったら良いのにね。