Haruka34_№12

2024年5月19日 01:10

🇫🇷TEMPURA
AUTOPORTRAITS DE TOKYO

フランスで年4回発行される日本文化を紹介する雑誌“TEMPURA”で連載中のインタビュー記事
“AUTOPORTRAITS DE TOKYO”＝”東京に住む人たちのセルフポートレート”を日本語訳したものをnoteに記録しています。

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TEMPURA_№12 / 2023.1

Haruka 34
real estate agent

Text : Mathieu Rocher (Interview : Ayaka Shida)
Photo : Ayaka Shida

私は東京の中心部から少し離れた場所で育ちました。
東京はどんな人にとっても住みやすい場所だと思います。ここにないものは何もないからです。
1人暮らしをして家族と離れていると寂しさを感じることもありますが、ないものといえばそれくらいです。

不況の中、私は東京で社会人としてのキャリアをスタートさせましたが、
多くの若い日本人女性と同じように、不安定な仕事を引き受けなければなりませんでした。
一番辛かったのは、保険にも入ることができず、お給料も安いレストランで働いていたときでした。
酔っ払いのお客さんがいて、私たち女性スタッフに対して失礼なことを言うこともありました。でも、同僚として私たちは団結しました。
お互いを励まし合うように、楽しい女子会を開いたりもしました。

今思えば、この“恵まれているとは言えない仕事”は私を鍛えてくれたと思います。
私が転職して不動産業界で働き始めたとき、同期たちは仕事の難しさを訴えていましたが、かつて私がいた業界に比べれば、それは辛すぎることはない仕事に思えました。
もちろん、今でも多少のストレスはありますよ。でも、ストレスのない仕事なんてあるかな？知っている人がいたら羨ましいです。笑

仕事以外の部分では、今の日本の女性は、昔の世代が作り上げた『伝統的な性別役割分担』を維持しようとする枠組みに対処していかなければならないと感じます。
でも、実際のところ、私と同年代の人たちは、もうジェンダー差を気にしていないと思います。
日本人としてのあり方が変化し、よりオープンになってきている。
例えば、男性が化粧をしたり、ピンクの服を着たりすることに関して、私は何も思いませんし、周りを見ていてもそれは簡単に許容されているように思えます。

個人的には、東京に生きている今、女性として大きな抑圧や制限を感じたことはあまりないです。月のものや履きたくないストッキングに対しても、その都度うまく対処できていると思います。
たまに、社内の男性の時代遅れの発言が気にかかることもありますけどね。
「男性なら、女性より仕事ができなければならない」と言う人がいたんです。
でも私は「仕事ができないことと性別に何の関係があるのだろう」と思っていました。
性別によって役割が定義されるのは好きではないです。
映画館でレディースデーのようなサービスがあるのも、正直あまり理解できていないです。私は平等を支持します。

日本は島国だからこそ、周りと比較する機会が少ないのかもしれません。
そのため、日本を離れない人は、自分が他の人や日本との関係においてどのような存在なのかを疑うことがないのだと思う。
ただ、海外から日本に帰ってくると安全性を実感するから、やはり日本は恵まれているのだと思います。
オリンピックで選手が離反するのを見て、その思いを強くしました。
日本では、常に危険と隣り合わせの状況にないことが当たり前です。
この事実は、もしかしたら社会における男女間の差を生み出している一因かもしれませんね。
でも、この社会において差が出てしまう理由は男女の問題だけではないように思います。

今の日本では、教育を受けた人・情報を持っている人が有利になります。
だから、日本の義務教育で与えられる知識だけではなく、自分自身で生きるための知識を得る作業をしなければ損をすることがあるんです。
このような日本の社会では、私はサラリーマンである方が守られていると思います。
会社というものは、そのような知識を学んでいる法人だからです。
そのおかげで、この10年間、私は不安を解消することができました。
次の10年は、上司になって家族を持ち、ずっと興味があったスケートボードやパルクールを習うといった
自分以外のことにも目を向けて充実させる時期になるかもしれません。

私は幸せだし、年をとることに不安はありません。
私が20代の頃に出会った美しい大人の女性たちのようになりたいと思っています。