「Re:ERA」をちゃんと咀嚼してみる

先日King & Prince LIVE TOUR 24-25 〜Re:ERA〜の大阪公演を見てきた。楽しかった。Xのフォロワーさんと一緒に行った公演だったので、ライブ後に入ったファミレスで互いに感想をまとめながら時折記憶の共有をしては笑い合って。そんなライブの余韻に浸っている時に何気なく言われたのだ。

しださんは「Re:ERA」をどんな風に解釈されていますか?

この演出が好きだったなぁ、とかMCのあの話がおもしろかったなぁ、とか取り止めのない感想メモを量産していた手が止まった。
「Re:ERA」の解釈?頭の中でプラネット・エイジがくるくる回る。

「Re:ERA」は自分の中で強烈に刺さった曲があるわけではない。でも卵から孵す過程や発売後何回も聴いているうちにそれぞれの曲の良さがわかってきて、ライブでそのイメージが更新された曲もあって。POP-UP STOREやアニメ(しかも本人達が声優で登場)に至る展開はコンセプトアルバムって楽しいなという気持ちを刺激された。いつだったか2人が「総合エンタメ」と話していたのをまさしく、と思った。
でもそこまでだ。受け取ることで満足して自分の中に落とし込む作業ができていないことにその時に気づいた。聞かれた以上会話の流れを止めないようにその場は適当なことを言った気がする。正直覚えていない。それがなんとも受け取り手として悔しいし、申し訳ない気持ちになった。

前置きが長くなったが、そういうわけでようやく(ようやく過ぎる)自分なりに「Re:ERA」というアルバムを咀嚼したい、という考えでこれを書き始めたのである。咀嚼の中でライブの内容にも触れることと、自分の整理用のメモという要素が強いのでそれは違うよ!という見解が含まれるかもしれないことはご了承願いたい。
なおすべてに言及していてもキリがないので「Re:ERA」というアルバムで特にキーワードとなっている「Re:ERA計画」と「プラネット・エイジ」を中心に考えていこうと思う。

「Re:ERA計画」について考える

それは、壮大な宇宙計画。
地球からずっと離れたところに僕たちが作った星を飛ばすんだ
その星は、宇宙で一番楽しくて宇宙で一番にぎやかで音楽にあふれた場所
その星に住んでるのは16人のいきものたち!
卵に音楽を聴かせると卵からうまれてくるんだ
そしていつか僕たちもその星に行くんだ
10年先か、50年先か、100年先か ずっと未来になるかもしれないけど
そのときは、みんなで踊ろう
(中略)
こんな夢みたいな夢 笑われるかもだけど 僕らは描こう
「この夢の名前は?」
「Re:ERA計画、なんてどう?」
2018年。とあるファミレス。
すべては、ふたりの研究者の夢から、はじまったのです。

King & Prince 「WOW」-"Re:ERA beginnig"ver.より

「Re:ERA計画」については上記動画の中でこのような説明がされている。
字面通り受け取ろうとすると壮大過ぎるけれど、例えば海人さんが手に持つスケッチブックから生まれていくストーリーにどこか既視感を持つ。2人体制になってから初めてリリースされたシングル「なにもの」だ。「なにものでもなくたって夢を描こう 真っ白なキャンバスに足してゆけば ごちゃごちゃだった絵もいつの日か きっと壮大な風景に変わっていく」この歌詞の地続きの未来にふたりが描いた世界を「Re:ERA」とするならロマンチックじゃないだろうか。
それから注目したいのはRe:ERA特設サイトで出てくる3つの年。

・はじまりは、2018年、とあるファミレスでした。
・そして3年後、2021年。ふたりはついに開発の糸口をつかんだのです。
・そして2024年。ふたりの夢は、大きく動き出すのでしたーー!

Re:ERA特設サイトより https://kingandprince6th.jp/ReERA/

2018年は言わずもがなKing & Princeのデビュー年。2024年は今回のアルバム「Re:ERA」の発売年。そして間の2021年は3枚目のアルバム「Re:Sense」が発売された年。以前雑誌で今回のアルバムタイトルを「Re:ERAはどう?」と廉さんが尋ね、海人さんも自分も以前出したアルバムである「Re:Sense」にかけたら面白いと思っていた、と話していたのを思い出す。

海人「デビュー5年目まではファンのみんなと一緒に、今までの歴史は間違っていなかったし素敵なものだったと理解し合う段階で。二人で歩み始めてから6年目に入り、新しい何かを作っていきたいって思っていたから『Re:ERA』だって」

anan No.2426より

「Re:Sense」繋がりでReから始まる言葉でもうひとつ思い浮かぶものがあった。2人体制になってから初めてグループとして雑誌の表紙を飾ったNYLON JAPAN 7月号のテーマとなった「Recreation」(“創造の再定義”と“気晴らしの活動”)。おそらく何の関連性もないが、なんだかRe:ERAの真の部分を突いてるようにも思えるテーマだなと今更ながらに思う。

まあ上記の話はさすがに話が逸れ過ぎたが、「Re:ERA計画」はやはりKing & Princeのグループの歴史と重ね合わせるように考えると私には飲み込みやすい。
そういう意味では「Re:ERA計画」って新会社「King & Prince株式会社」を設立したふたりが過去の経験やこの先の展望を基に話し合いながら描いた最初の海図、ビジネスプランのようなものなのかなと思えてくる。WOWのMVの最初に研究者なふたりがやってるのもプラネット・エイジのプレゼンだしね。
どう?楽しそうでしょ?君もこの先僕たちと一緒に夢を見ませんか?そんな感じで名刺代わりにポップに差し出された計画書もとい案内状、それが「Re:ERA計画」、なのかもしれない。

プラネット・エイジについて考える

公式から説明されているプラネット・エイジの説明を読んでみる。
地球よりずっと小さな星。土星みたいな輪っかがあって、輪っかについた矢印がぐるぐる回っている。一番の特徴は大きな蓄音機でこれがキャラクターたちを卵から孵すための音楽を流す役割を担っている。それから手の形みたいな海、故障した宇宙船、蓄音機の反対側にあるSAKURAが植えた大きな桜の木、"誰かの大穴"……真面目にひとつひとつ拾おうとすると小ネタが多すぎて処理しきれない、これが正直なところだ。
輪っかについた矢印はミュージックプレイヤーでいうリピート再生マークを模してるのかな?とか海が手の形なのはWOWの「手と手から生まれるworld」、Odysseyの「The dawn will come この手から」といった歌詞と関連づけてるのかな?とかそんなことは考えたけどたぶん細かな設定の裏付けはなく、個人の想像力に委ねられているのではないかと私は思っている。(作品の余白としては大きすぎる気もしつつ)なので、私はプラネット・エイジがKing & Princeの作品として生まれた意図を並行して考えることで自分の中で落とし込んでいきたい。
ちなみに皆さん、アニメ「プラネット・エイジ」は全部見られましたか?(このnoteを開くぐらいの人なので見てるに決まってるだろ!と返事が来そうであるが)個人的にはあのなんとも言えない内容の緩さが結構ツボなのだが、(この辺りの緩さは「君、遊具であそばせ?」等で交わされる所謂ザ・れんかいノリ感があるのも親しみやすく感じるのかもしれない)その中でもARE-X誕生前を描いたep.0で展開される「私たちはなぜ生まれたのか」というSAKURA、MAINE、Jelly、Dの4人の会話にはちょっとグッとくるものがあった。

SAKURA「君たち、いや私たちの役割は『この星を宇宙で一番楽しくてにぎやかで音楽にあふれた場所にすること』その先にどんなことが待ってるかは私にはわからないけど、それが私たちの、君たちの役割だよ」

プラネット・エイジep.0より

プラネット・エイジと一緒に打ち上げられ、15個の卵を孵す役割を与えられたSAKURAを起点に、「Re:ERA」より先に生まれていたシングル曲のキャラクターたちにその想いが伝わり、これから新しく生まれてくる子達(曲)をそれぞれに想いながら待っているというストーリー、とても良いなと思う。
King & Princeが歌いながら込めた想いをキャラクターの言葉を通して言語化されたような感覚とアルバムを通しで聴いている時にシングル曲が流れてくると謎の安心感を抱いてしまう気持ちに名前をつけてもらったような、そんな気持ち。ということは3月12日に発売予定の「HEART」が次に出るであろうアルバムの年長者になるんだよなぁ、とか「HEART」がキャラクターになったらピュアで真っ直ぐでみんなから愛される子になりそうだな、とかそんなことを考えたりする。

海人「シングルやアルバムでリード曲やタイアップ曲って、どうしても目立ってしまいがちなんですが、そのほかにもキンプリにはたくさんのいい曲があるんです。その一曲一曲を愛してもらえたら、すごくうれしいなって思ったんですよね。」
廉「キャラクターを知ってから曲を聴いても楽しめるし、もちろんその逆もあって、すごくいいですよね。」

NYLON JAPAN 2025.1より一部抜粋

今回のライブでいうと、WOWの前奏とともに目の前のスクリーンに16人のキャラクターたちが飛び込んでくる瞬間はKing & Princeのふたりに対する感情と同じくらい「みんな!!やっと会えたね!!」と歓喜した。おそらく「Re:ERA」というアルバムのために作られたキャラクター(曲)たちが住む星なので、今後のKing & Princeが展開する諸々がこの星で描かれることはもうないように思うが、(もちろんあったら胸熱)私は「Re:ERA」のアルバム曲が流れてくるたびにプラネット・エイジの姿を脳裏に描いてしまうと思うし、アルバムが星になり、曲がその星に住むキャラクターになる物語が与えてくれるのは他ならぬ「愛着」という感情なのかもしれない。

Re:ERAドームに続く旅

大阪公演のライブを終えて帰りの新幹線に乗っている時に「あれ?そういえば今日のライブ、エンディングってなかったよな…」とふと思った。いや、このRe:ERAツアーがライブDVDになる時に特典映像で入ってくれるだろう練習中のふたりの姿がエンドロールとして流れたのはもちろん見ていた。でもオープニングでスペースシャトルで一緒に飛び立ったはずなので、エンディングで地球(でいいはず?あのNASAみたいな雰囲気の空間)に帰ってくるまでが本来の宇宙旅行のはず。ピースではあのメルヘンな世界から主人公のお部屋に帰ってきてたしね。だからもし意図的にそのエンディングを切ったとすればそれはこのRe:ERAという旅が続いているからかな、というのが個人的な解釈だ。

アリーナツアーの終わりとともに福岡、東京、大阪を巡る3大ドームツアーのカウントダウンが始まっている。
ふたりで立つ初めてのドームであり、アリーナツアーを経たRe:ERAがどんな形で始まるのか、そしてどんな物語の閉じ方をしてくれるのか、想像しながらその日まで過ごしたい。(可能であれば現地でみたい。)

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