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写真集
2024年に購入した写真集のうち、印象深かった2冊を紹介します。
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1994年にアメリカのナショナル・ギャラリー・オブ・アートで開催されたロバート・フランク回顧展に合わせて出版された図録です。
フランクは好きな写真家の一人でしたが、深く掘り下げたことはなく、代表作『The Americans』の印象しかありませんでした。しかしこの本を見るとそれ以前の仕事の中に好きな作品が多くあったので、個別に写真集を集めようと思っています。
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私は日本人の現役プロ写真家の中で興味がある人はほとんどいません。むしろアマチュアのほうに興味深い写真を撮る人がいると思います。なので国内の写真集や写真展をチェックすることはあまりないのですが、たまたま目にした記事でこの写真集が紹介されていて激しく動揺を覚えました。
逆にこれは見ないほうがいいのではないかという思いすら浮かびましたが、意を決して購入。何度か目を通していますが、いまだに開くたびに動悸がするような不安に襲われます。これがいい写真なのか、悪い写真なのかすら私にはわからない。このような写真を撮る人は今の日本には皆無です。そういう意味で間違いなく特別な一冊です。
まったくタイプの異なる2冊ですが、共通しているのは昨今主流のきれいで隅々まで鮮明に見えるわかりやすい写真とは正反対であること。
自分の視点からは見えないものや、自分には理解できないことへの関心を持たない人がますます増えている社会と同調するように、写真もそのような事象を切り捨てていっているように思います。