ハロウィンと朝の物語⑤
前回:「あの日の決断が奔る道」
まじめに
good evening!
この寄稿がなんでこんなにギリギリなのか
全て計画通り だからです
ズコー!
皐月の箱庭
イントロ
SEは月というより星の輝き
メイちゃんをおんぶしているのか、、、
頁を捲ると
モコモコモコモコと浮かびあがる吹き出し
かわみぃのペンの尺八
皐月
温もりがあって手に馴染む
鉛筆のようなリコーダーの音色
彼女の生の祝福そのもののような素敵なお名前
ご両親に代わって今も絶えることなく
たくさんの祝福を受けている というのが
彼女は「ラッキー⭐︎」 くらいに書いているけれど
紛れもないご両親が贈った不滅の祝福なんだよな
恋バナも好き
彼女がかわみぃのことを
どう捉えているかなんてわからないし
絶妙な感じを言葉にするの難しいけれど
色んなご家庭があれども
志田だって「恋バナ」は年頃だったら
実母には言っちゃうけれど
実父には内緒にしておく「好き」なんじゃないかな
でも彼女にとってはこれも
かわみぃには聞いてほしい「好き」で
同じように
実親には言えて かわみぃには言えないことが
実親には秘密で かわみぃには聞いてほしいことが
幼き彼女には きっとあって
それでも
メイちゃんが好奇心のままに
色々なものを経験して
好きなものを見つけて
遠慮せずに「これが好き」って言えて
それを聞いてほしいと思う
そして自己紹介するときに
いの一番にお名前の話と
「好きなもの」が出てきて
彼女にとって彼女は
彼女が好きなものでできているのなら
こんなに嬉しいことはない
メイちゃんにとって
かわみぃはそういう、、、そういう人なんだよ!
ズッ友
素敵なお友達がいるのね
ショコラが両手を広げても
その手はやっぱり小さいが
大きい私はショコラのように
たくさんご飯を食べられない
私が腕を揺すっても
地面を速くは走れないけど
まりんちゃんは私のように
きれいな声では歌えない
みんな違ってみんないい
変なおじさん
変なおじさんの尺八は
後ろできょとんとしている
彼女が「好き」だと教えてくれるものは
振り真似のように
かわみぃと二人になってから
見つけたものも
彼女がご両親といた頃から
ずっと好きなものもあって
もしかしたら
かわみぃとマックでポテトを分けっこしながら
「小さい頃にパパとママと食べたな」なんて
その小さな幸せを思い出すことがきっとある
その思い出と一緒に抱きしめて
今も尚「好きなもの」であるのなら
志田は嬉しいし
かわみぃがもし剣を選んでいたら
「どんな手を使ってもー」を
聞かせてしまったらきっと
「大好きなパパとママ」なんて
かわみぃの前で言えないし
教えてくれないであろう「好き」が詰まっている
毎日楽しいけれど
パパさんはどうしたのだろう
自分の肩を自分で抱くようなハモリ
自己紹介の果てに
「親がいない」という言葉が出てきて
たくさんの「好きなもの」で囲まれていた彼女が
たくさんの「自分にはないもの」も
彼女の今を形成する自己のアイデンティティに
なっているのが
ご近所ヅラした見守りおばさんの志田の眉間に
幾重もの皺を寄せる
約束の夜
お父様の「約束だよ」の声
音楽は特段悲しみを含んでいるわけではなく
シンセの雨粒と
ストリングスの寒さが
硝子窓の外の景色のように
全体的に遠くぼやけていて
それでも前面にあるドラムは確かに刻まれている
温もりある屋根の下で
その窓を開けるのは怖いのか
同じ悲しみ
ご両親は今もどこかで
笑っているような気がしているのに
自分は一緒に笑えない
静かにただ一人ポロポロと溢れるピアノに
「誰かが」寄り添うギターが加わって
悲しみの旋律を支える
包み込むように
矢面に立つように
ギターが前面に出てくる
なんて言って欲しかったか
「絶対笑えるから」と言ってくれたのが
本当にかわみぃなのかは
わからないけれど
「絶対笑えるから」と
今は笑えなくても良いよ と
今は涙が出てもいいんだよ と
言ってくれる顔はきっと笑顔で
信じられるのは
同じ悲しみを抱えた誰かが
笑顔だったからで
彼が彼の悲しみを抱えたまま
彼の地獄の中で メイちゃんのために
不器用な笑顔を向けたのだとしたら
笑ってほしい人がいるのなら
まずはお前が笑え と
蜘蛛の糸を手繰ったのでしょう
冷たい雨の
きっとこの言葉は
彼女に誰かがさしてくれた傘で
彼女がリスナーの肩に
掛けてくれた温もりで
私が誰かを照らす光になる
絶望の淵
悲しみに追いつかれぬように
悲しみは動点だけれども
ここでは「待つ」で定点なんだ
なんでだろう
でも「止まる」とか「囚われる」ではなく
誰かが来てくれると きっかけがあると
「待つ」定点
この「待つ」に星の欠片のような希望があって
自分の力では
悲しみに追いつかれぬように
走り出すことができなくても
走り出すことを望んでなくても
心のどこかでそれを望んでいる
生存本能のような希望がある
我らは星空を駆け抜け青く燃える
Thema of the LHは
志田的に「手を取りあうような物語」だったが
ここでは
「背中を押すような愛の物語」なのか
悲しみに追いつかれぬよう
ただ青く燃える星に届くよう
絶望の淵で
真っ直ぐに手を伸ばし続ける先の
誰かの背中を押すのなら
誰かのその一歩は
誰かと光の距離を縮める一歩で
絶望の淵で待つ誰かも
絶望の底ではなく
夜明けを導く星を見ているのだろう
皐き月は彼の背中を押して
夜明けに青星に手を伸ばす
その手が私の背中を押して
私もこの滅びの中に青星に手を伸ばす
その先にあなたの背中があると信じて
おやすみレニーのラストで聴いたメロディ
おやすみの旋律は
夜明けを臨むおはようの音色に変わって
少し勇ましい
でもしっかりと確かめるような
二人分の足音のドラムに
シンセサイザーの波紋が二重に広がる
生の深淵の暗い水盆の上を
夜明けを目指して
二つの短い明かりが渡る
楽しそうに歩く二人の 背中 が
見えるようである
ここまで読んでくださったあなたに
good morning ☀︎
会場でお会いしましょう!