恋愛映画にクソほど共感できない私も「はな恋」をみて死んだ
春から新社会人、引っ越してしまうので最後に大好きな友達と「花束みたいな恋をした」を見てきました。
結論から言うと、メンタルがボコボコにされました。
坂元裕二に往復ビンタかまされた気分です。
どれくらい満身創痍になったかというと、動揺しすぎてて信号無視をかましました。
(田舎でよかった)(ごめんなさい)
恋愛描写に関して
まあ正直、恋愛に関してはタイトル通り特に共感できずに終わりました。
これから別れるって人とファミレスの前で号泣しながら抱き合う意味も、その後三ヶ月一緒に暮らしたのも、猫をジャンケンで取り合うのも、別れた後にお互いのこと思い合う描写も本当にわからない。
つーか就職しろよ。実家が太くて親が優しくてよかったね。恋愛を言い訳にしてぬるま湯にちゃぷちゃぷ浸かるなよ。恋愛だけが人生の全てじゃないだろ。麦はいいけど絹は金払ってもらっといて親への対応ナメすぎだろ。
私だったら絶対やらない。
でもまあこれが「エモい」なのかなと思った。
エモいをよくわかってないしね。よし納得。
いや、待て、百歩譲っても猫をじゃんけんで取り合うのに関してはマジでわからん。
あんなに可愛い猫、刺し違えてでも己のものにしろよ!!!!!!魂を燃やせ!!!!!!
彼氏もいねーやつが何言ってやがるのかしらと思ったそこのあなた、ボコボコに殴りますわよ!
麦と絹のサブカルクソ野郎感
私に刺さったのはこれです。
麦と絹の不気味さ。
痛さ。
「サブカルな私達」に酔いしれる彼ら。
まるでウチらはセンスいいから!みたいなあの感じ。
冒頭10分、終電逃した男女4人で夜カフェっぽい所に行き、偶々近くの席に座る押井守を見かける。
麦と絹はすぐ押井守だと気づきますが、他2人は押井守って誰?状態。
そんな2人を半笑いで見る麦と絹。
感じわっっっっっっっっっっる!!!!!サブカルクソ野郎の痛さが全面的に出ています。
私にはわかるのです。
サブカルが好きないわゆる「逆張り」を生業としている人って、自分の好きな音楽・本・映画などでマウントを取る。ただ「好き」でいるだけですごいことでもなんでもないのに。
クリエイターや表現者は勿論すごいですよ。
「創造」しているんだもん。
でもこっちはさ、ただそれを「享受」しているだけなのよ。
サブカルクソ野郎は「何者」でもないただのファンに過ぎないのに。
烏滸がましいにも程がありましてよ!!!!
ああああああ恥ずかしい埋まりたい!!!!!!!!!!!!!!!
何で恥ずかしいかって自分にもそういう所あるからに他ならないですね。
自らへの戒めの為に具体的な例をあげさせてもらうとすればハロプロですかね。
私、ハロプロのとある素敵なグループについて友達と話している時に「こんなに最高なのに、なんで売れないんだろうね?」とぬかした事があります。
おおイキりです。頼むから息ができなくなるまで殴ってください。
いや本心なんですよ、なんで売れないんだろうって。
パフォーマンスもビジュアルも性格も文句なし。
ニワカなりにもっと売れてもいいはずだって本心で言ってるんですよ。
でも0.00005ミリぐらい「こんな素敵なグループ知らないなんてみんな馬鹿だなあ。ふふふっ。」って気持ちがあり、
売れて欲しいけどそこまで売れ過ぎて欲しくないな、これを知ってる私って特別だなみたいな優越感があるんですよ。
(いや本当に売れた方が嬉しいです。これは本当です。ごめんなさいそんな目で私を見ないで。)
麦と絹、押井守を知らない二人を馬鹿にしてたけど押井守知ってたら嫌だったんだろ?
わかるんだよ私には。(言いがかり)
途中何回も、恥ずかしいいいいいいとなって劇場クソ暑く感じました。
自分の中に若干存在する闇を暴かれた感じ。
もしここがプリキュアの世界だったら悪の組織に「クロレキシー」みたいな名前の怪人に変えられていたと思う。
リアルに頭を抱えまくりました。
挙動がおかしくなって隣の大親友の集中力を削いだと思いますマジでごめんなさい。
「花束みたいな恋をした」は令和の「モテキ」
ずっと上記のような共感生羞恥で悶えながら映画を見てたのですが途中で、この映画…この感じ…これは初めてモテキを見た時の居心地の悪さと同じだ!となりました。
「花束みたいな恋をした」には様々なアーティストや作品などの固有名詞が出てきます。
そのどれもが絶妙。
ニワカ・逆張り・世の中をナナメにみるイタイやつの心をえぐる絶妙なポイントを突いてきます。
例1「宝石の国」
麦と絹が二人で見て泣いた漫画。
あれ、二人が恋に落ちたのが2020年だったら「チェンソーマン」なんじゃないかと思います。
「鬼滅の刃」でもなく、「呪術廻戦」でもなく、「チェンソーマン」。
ちょっとアングラ感あるじゃないですか。
アニメ化決定してる時点でアングラでもなんでもないんですけどね。
てか「漫画化」してる時点で目利きの編集者の評価を得て、世に出てるわけなので自分だけのものでもなんでも無いんですよ。
でも絶妙な「私だけが知ってる」感をくれる漫画。
私自身めっちゃ大好きです。大好物。(ディスりじゃないよ)
うーん書いてて自分て傷ついてきた。
例2 「ゼルダの伝説Breath of the Wild」
麦と絹が2人でニンテンドーSwitch買うじゃないですか。
そこで「ゼルダの伝説Breath of the Wild」を買う絶妙さ。
「スプラトゥーン」じゃなくて「ブレワイ」
坂本裕二天才すぎて吐きそうになりました。
きっとこの二人は別に心からゲームが好きなわけでもゼルダが好きなわけでも無い。
ブレワイはWii Uからの移植です。
ガチのゼルダ好きはWii Uで既にプレイしてるでしょ。
ゲームがわからない人に簡単に説明すると、
ブレワイは「ゼルダシリーズ最高傑作と言っても過言じゃないクオリティでゲーマー界隈にも認められる作品。だけどWii Uが売れなかったせいで埋もれてしまった名作」と言われているんですよ。
麦と絹の心にクリーンヒットした理由がもうお分かりですよね。
そんな麦と絹なのにスイッチでブレワイだけ買っちゃう尖り方がもはや怖い。頼むからスプラトゥーンかスマブラかマリオメーカー買ってくれ。
ゾーラの里で止まってるっていうのも「ゼルダ」っていうパッケージと「ブレワイ」の評判だけで買って持て余してる感じがしてすごいリアル。
絶妙な「にわかサブカル」感出すの上手すぎんか?
まあわたしもSwitch勢ですけどね。
埋まりたい埋まりたい埋まりたい埋まりたい。
坂元裕二何?50代だよね?実は100人くらいいる?人生何周かしてる?
クッソこえええええええ
例3 「Jaxaのトートバッグ」
はい出ました、宇宙。サブカル好きはだいたい宇宙好きだよ。わたしもイプシロンのピンバッジお気に入りでリュックにつけてます(自死)
例4 猫の名前が「バロン」
うんうん。ジブリも抑えてるんだね。絶対猫の恩返しからとったね。ジブリの中でも猫の恩返しっていう絶妙な所知ってますみたいなね。あえてジジじゃないとこがテクいなぁみたいなの狙ってそう。ディズニーのキノピオからとってフィガロのパターンも検討したでしょ絶対。私にはわかっちゃうんだからね?
例5 「ヴェイパーウェイブ」
そんなniko and...みたいな服着てるくせにヴェイパーウェイブも抑えてくるのね。ふーん。
例6 「converseジャックパーセル」
ジャックパーセルお揃いなのも絶妙なんよ。
コンバースはやっぱジャックパーセルだよねえ〜とか言ってそう。
高校生の時の私は言ってました。
埋まります。
個人的には大学生ならct履いてる方がリアルだと思ったけどctじゃわかりにくいもんね。
コンバースはctしか勝たんってにわかサブカルクソ男代表みたいな人が言ってた。
例7 「羊文学、崎山蒼志、きのこ帝国等会話に出てくる全てのアーティスト」
まあ音楽は私そんなに詳しくないんだけどなんとなくわかるよ。
#月曜だし邦ロック好きな人と繋がりたい
みたいな人逆にバカにしてそう。
例8 「天竺鼠」
天竺鼠ね、めっちゃおもろいよね。
関東で売れるの待ってた〜!
って言いたいやつでしょ。
実力がまだ評価されてないコンビの古参ぶりたいのよね。
2021年なら金属バットでしょ。
他にも沢山「うっ・・・」っと胃にくるワードが出てきましたけど割愛しますね。
割愛するというか実際はショックで記憶が飛びました。
お前って超イタイんだよってナイフでグサグサ刺されてる感じ。
これ、純愛映画の仮面被ってるけど令和のモテキといえるでしょ。
坂本裕二ほんとうに怖いいいいいい。
新劇場版エヴァンゲリオンQをなぜか非オタの親と見に行った帰りの車の空気と同じくらい怖い。
足向けて寝られません。
今泣きながら文章打ってます。
嘘です。
サブカル系よ、謙虚であれ。
と、まあ散々恥ずかしい、埋まりたい、など抜かしておりますが、サブカル好き自体は悪いことだとは全然思いません。
私は雑食でなんでも好きなオタクです。
好きな事に誇りを持っているからそれ自体になんの躊躇いもないし、別に周りの目も気にならない。
サブカルに酔ってるわけじゃないけどそう思われてんならそれで良いやぐらいの気持ちです。
何が好きとか、嫌いとか、誰しもが普遍的に持つ権利だと思います。
だけど麦と絹は痛いと感じた。
それは何故か?
あ、わかった…
この人達オタクのしての謙虚さが足りないんだ…
私はこの映画から3つの教訓を得ました。
① 何が好きかで他人との境界線を引き見下す奴は、サブカルとか抜きに単純に人として性格が悪い
② どんなマイナージャンルにハマっても、すごいのはファンではなくクリエイターや表現者ということを忘れるな
③ ”何が好きか”だけではなくて、”どうして好きか”まで語れて初めて自己表現になる。作品のタイトルでバトルするのではなく心で語り合え。
ありがとう坂元裕二、大事なことを思い出させてくれて。
麦と絹に対してここまで不快感が湧いたのも有村架純と菅田将暉の名演技のおかげだし。
「花束みたいな恋をした」は名作です。
Forever。
対戦ありがとうございました。