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「デザイナーらしくない自分」だからできる表現がある

新卒からデザイナーとして社会人生活を始めて6年間。
自己紹介のたびに言われる「絵がうまいんでしょ」「センス良いんでしょ」に頷いたことは一度もない。「私、空気読めてないな」と思うこともあったけれど、自分に嘘はつけなかった。
才能もセンスもないのにデザイナー。それが私のコンプレックスであり、アイデンティティでもあったから。


「デザイナーらしくない」自分

私はとても絵が下手だ。大学入試科目のデッサンが嫌で、実技試験が免除される推薦入学のためにセンター試験対策に全精力を注いだくらいに。
独創的なセンスもないし、他の人と比べて突飛なアイディアを持つわけでもない。正解がないくせに優劣がつけられる美術の授業が嫌いだった。表現することが苦手だった。自信がなかった。
世間一般の人の描くデザイナー像とは真逆の人間だと思う。

そんな「デザイナーらしくない」私がデザイナーになったのは、小さな「いいな」の積み重ねだった。

音響エンジニアになりたくて入った大学で受けたデザインの授業が楽しかったこと、興味のある業界に携われそうなこと、パソコンを触るのが好きだったこと、いろんなデザインを見てワクワクしたこと。そんな小さな「いいな」を糧にデザイナーの道を選んだ。
でも本当は、「絵が描けなくても、センスがなくても、デザイナーになれたらかっこいいな」という自分に対する期待と、デザインへの憧れも理由の一つだった。

でも現実はそんなに甘くなかった。わたしが苦手な「表現」を、寝食忘れるほど好きだと思う人がたくさんいた。

そんな中で私にできることは「デザイナーらしくない」を活かすことだった。手を動かすよりも、ディレクターとしてクライアントと接する時間が増えていった。クライアントの声を聞いて、どうやったら喜んでくれるか考えて…そんな時間も楽しくて、次第にディレクターとしての仕事にやりがいを感じて。
なんでデザインやってるんだっけ、他の仕事のほうが合うんじゃない?なんて何度考えたかわからない。


変わる「デザイン」への評価

そうこうしている間に「デザイン」に対する世間の目はみるみる変わっていった。

デザイン経営なんてタイトルの本が書店に並び。表層(見た目)のデザインよりも、デザイン思考について語られる場面が増えていった。手を動かさなくても「デザイナー」と名乗れる会社もどんどん増えていく。

「デザイナーらしくない」自分でも戦える世の中になっている、と感じて嬉しかった。この道があるじゃん!と勉強もしたし、情報収集もした。いっちょまえにnoteも書いた(この時の気持ちに嘘はない)

でも知れば知るほど、この考えが世の中に広がるほど、次第に違和感を感じるようになってきた。デザインは課題解決である。そのための思考プロセスが特異である。うん、そうだ。でも、本当にそれだけ?


私の好きな「デザイン」とは

私が好きになったデザインは、結局見た目にも美しかった。
もちろん、そこに至るまでの考え方やコンセプト、仕組みづくり、色んなところにデザイン的な思考が使われていると思う。でも見た目がダサかったら使わないし、人に勧めたりしない。
私の思う魅力的なデザインは、どれも美しくて楽しくてワクワクして人に勧めたくなるようなもの。多少使いにくくても「使いたい」と思わせるもの。

今のわたしにとって、デザインは「人と人/サービス/社会をつなぐための創作」である。

デザインはどうしたって手段だ。でも同時に創作だ。アートだ。美しく魅力的に課題解決できるからこそ、人に新しい価値を提供できるんだと思う。見た目が全てではない。でも、思考だけでもきっと足りない。

結局、「絵がうまいんでしょ」「センス良いんでしょ」なんて固定観念は私が持っていた。だからこそ、才能もセンスも持っていないことが悔しかったし、コンプレックスだった。だからこそ、自分を「デザイナーらしくない」と思っていた。


コンプレックスの正体は逃げ続けてきた自分

「表現」が本当は大好きで、強く憧れていて、でも自分にはできないって思って、本気でできないと知るのが怖いから逃げて。挑戦もしていないから諦められなくて、コンプレックスとして抱え続けてきたんだと思う。

でも今、改めて向き合ってみようかなと思えたのは強みをちゃんと認識できたから。
「デザイナーらしくない」は強みだ。だからこそ身軽に経験できたことがたくさんある。ディレクターも、広報も、マーケティングも。「デザイナーらしくない」と思っていたから好き嫌いなく挑戦できた。この積み重ねは裏切らない。

やってみたら「やっぱ無理だった!」と思うかもしれないけど、でも全てを失わなくて済むほどの回り道をしてきた。幸い、美しいデザインは学習と努力で作り上げることができる。課題解決やビジネス的な思考はマーケティングを通じて学ぶことができた。「デザイナーらしくない」私だからできる表現がきっとある。そんな風に思えるのは、なんだかとても清々しい。


挑戦することが怖いあなたへ

挑戦しない理由を作るのはとても簡単で。
でもそれを続けているとどんどん自己肯定感下げて辛くなっていくんですよね。
そこから抜け出すために、自分の経験から強みを認識しておくのが私にとっては1番良い解決策でした。

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