「タバコは、農業だ。」(JT)いいなと思った広告集#2
いいなと思ったところ
●農業という言葉を使うことで、畑や土を連想させる。
それによって、「タバコ作り」を、「米作り」とか、「お茶っ葉栽培」のような、農作物の生産行為と並列的な関係性を作り出すことによって、昨今では「タバコ=悪の権化」みたいな等式が成り立っているが、「タバコ=農作物の一種」であるというふうに、その認識を変更させることに成功していると思う。
●更に、タバコ作りには農家が携わっていることへも読み手の意識を広げる。タバコが何やら怪しげな人工物であるという雰囲気を否定し、農家さんが土と汗にまみれながら一生懸命作ったもの感を伝えている気がする。
●昨今では、電子タバコが紙タバコのシェアを奪っていっているが、「やっぱタバコの葉っぱからこだわって作られた紙タバコ(アメリカンスピリット)は風味があっていいよね。」という感覚を起こさせる。
つまり、「原材料と、その生産過程」に焦点を当てていることで、
読み手の認識を変え、意識を広げることに成功していると思う。
原材料と、生産過程を網羅的にうまく言及することで、What to sayを満たしつつも、「事実に別の角度から焦点を当てる」という手法により、こじつけ感や、おしつけ感、虚飾を排することを実現しており、How to sayの点でもすごいコピーだと思いました。
尚、私は非喫煙者であり、タバコを推奨している訳でもありませんのでご了承くださいませ。。
以下で詳しく広告制作の背景を考察してみます。
広告制作の背景
※下記以降は完全に私の想像であり、推測にすぎませんので悪しからず。。
①ターゲット/ターゲットのインサイト
⚫︎ターゲットA:
電子タバコに乗り換えたけど、なんかしっくりきていない人。そして、このままだとタバコをやめようと思っている人。
⚫︎ターゲットAのインサイト:
「電子タバコに変えてみたけど、なんか吸い足りないんだよな~。これを機に禁煙するしかないか~。」
⚫︎ターゲットB:
単純に、いま別の銘柄の紙タバコを吸っている人(アメリカンスピリットのこだわり、風味を伝える趣旨)
⚫︎ターゲットBのインサイト:
「どの銘柄もそんなに変わりはないっしょ。アメスピ?あ~、なんか、通っていうか、こだわりがあるっていうか、そんな感じはあるよね。」
⚫︎ターゲットC:
タバコを強く否定する人々(意見広告としての側面?)
⚫︎ターゲットCのインサイト:
「タバコは百害あって一利なし!この世から排除されるべきだ!」
②ターゲットを取り巻く環境
・喫煙所の縮小
・電子タバコのみ吸える喫煙所の増加による、紙タバコの吸える喫煙所の減少
・電子タバコの普及。
・嫌煙的風潮、禁煙ブーム
③商品の強み、USP、イチオシポイント
・100%無添加
・土からこだわって作った茶葉。それによる味わい深い風味。
④アートディレクション、ビジュアル制作の指針
・土を背景にしている。
⇒畑を演出。
・土にまみれた手
⇒農業感を演出。
・手の平にそっと乗せたアメスピの箱
⇒「こだわって作った、畑でとれた農作物」を扱うような感じの演出。
⑤商品のマーケットポジション
・やや高額、高品質タバコ。
⑥商品の競合
・缶ピースなどの高級路線のタバコ。
・電子タバコ
・(ひょっとしたら)コーヒーなど。
仕事の合間に気分転換できる何か。
⑦商品の抱える問題
・電子タバコへの乗り換えによって紙タバコ離れが進んでいること
⇒喫煙所も電子タバコだけしか吸えないスタイルも出てきている。
・嫌煙的な風潮、世論による消費者の減少
⑧KPI
アメスピのことを検索してもらうこと。調べてもらうこと。
改善した方が良さそうな点
生意気にも、このマーケティングコミュニケーションにおいて改善すべきことを感じたので書いてみます・・・。
(広告は非の打ち所がなくすごいと思います!)
それは、せっかく、アメスピのことを知ってもらう広告を作ったのに、その受け皿がないことです・・・。
具体的に言うと、「アメリカンスピリット」と検索しても、受け皿となるランディングページがありませんでした。
解決策
アメリカンスピリットと検索したら、この広告で使ったビジュアルやメッセージ、トンマナで展開したランディングページがあるといいと思いました。
そこで、アメリカンスピリットのこだわりとか、生産の様子とか、USPとか、そういうことを紹介するページが必要だと思います。
それがあれば、広告で興味を持った消費者がもっとアメリカンスピリッㇳの良さを知ることができ、ファン化させることができるからです。
あと、youtube用の動画も作った方がイイ気が・・・。
いや、生意気な口を叩くのはこの辺にしておきます。。
とりあえず、せっかく素晴らしいコピーとビジュアルがあるので、勿体ないな~と思った次第でした。
以上です。
今後もいいなと思った広告を分析してみたいと思います。