子どもの脳がイキイキとする!笑顔と生きた言葉
もしもみなさんが上司や先輩から、「どうしてこんなことができないんだ」「もっとちゃんと書類をまとめなさい」「早く資料を作りなさい」と、常に言われたらどう感じますか?
責められることにストレスを感じて、論理的に考えようにもなんだか頭がうまく働かない…。という状態にならないでしょうか。
これは子育てでも同じことが言えるでしょう。
「早く靴を履きなさい」「ちゃんと食べなさい」「どうして片づけないの」――わたしたち親がついつい言ってしまいがちな小言が、子どもから思考力を奪っているかもしれないのです。
●親の小言で子どもの脳の働きが鈍くなる!?
脳のなかには扁桃体という部位があります。ここは感情・情動を司っていて、不安や恐怖を感じると活発に働き、危機に対処するように神経細胞に指令を出しています。とくに慢性的にストレスにさらされ続けると、扁桃体は肥大し、わずかなストレスでも過剰に反応するようになります。
扁桃体が活発になると、一方で働きが鈍ってくる部位があります。 それが、思考や創造性、プランニングや推論などを司る前頭前野です。大きなショックを受けたときなどに、頭が働かなくなるような感じがするでしょう。あれは扁桃体が活性化し、前頭前野の動きが低下するからです。
小言を言われて嬉しい人はいないはずです。小言を言われ続けていると扁桃体が働きっぱなしになり、考えたり創造したり計画を立てたりする脳である前頭前野の反応は、鈍くなってしまうわけです。
●やさしい笑顔の「大好き」が子育ての質を高める
扁桃体の働きを鎮め、前頭前野を活発に働かせる方法が3つあります。まず、扁桃体は心地よさを感じたり安心したりすると鎮静化するので、認めたり、ほめてあげたりする「生きた言葉」をかけることが効果的です。
また、扁桃体は顔反応細胞という細胞をもち、人の顔の表情に影響を受けるという性質があり、笑顔、やさしい表情、穏やかな表情など、好ましい表情を見ると鎮静化します。それから声にも影響を受けます。ですから、穏やかなトーンでやさしく話しかけると扁桃体も落ち着いてきます。
『大無量寿経(だいむりょうじゅきょう)』という経典のなかに、「和顔愛語(わがんあいご)」という言葉があります。柔和な顔(和顔)と愛情のこもった言葉(愛語)という意味です。菩薩が衆生を導くときの導き方をいうのですが、親も子どもに接するときは和顔愛語を心がけたいものです。
とくに子どもが眠る直前に、心からの笑顔で子どもをやさしく見つめて、生きた言葉をかけてあげてください。
「よく生まれてきてくれたね、ありがとう」
「あなたのことが大好きだよ」
「今日は良いお返事ができていたね、えらかったね」
このような言葉で、子どもは親から愛されていることを感じ、安心して眠りにつくことができます。
朝から晩まで一緒に過ごしていても、小言ばかり言って笑顔で子どもと接する時間がないのであれば、良い子育てとはいえません。一日3分。それが無理なら、眠る直前の10秒でも結構です。やさしい眼差しで子供を見つめ、「生まれてきてくれてありがとう」という感謝の心で接してください。