子どもの筆圧が弱い?デジタルの時代こそ大切にしたい手書きの習慣
お子さんは学校でどんな鉛筆を使っていますか?
「そういえば、自分が子どもの頃はBやHBが主流だったけど、子どもは学校で2Bを使っている」というご家庭もあるかもしれませんね。
最近の小学校はBか2Bに指定しているところが多いのだそうです。
それはいったいなぜなのでしょうか?
●子どもたちの筆圧が低下している
先日、子どもの筆圧が弱くなっているというニュースが話題になっていました。
学校で、筆圧が弱いことで子どもの書く字が薄く、書いてあることが判別できないということが起こっているのだそう。
学校が鉛筆の濃さを指定する理由は、子どもたちの筆圧が低下しているからなのです。
筆圧が弱いのは、全体的な握力(筋力)の低下に伴ってのことかもしれません。
文部科学省の調査によると、握力は平成4年頃から低下傾向にあり、特に男子はその平均値を大きく下げています。握る力が弱ければ、ものを書くことにとどまらず、日常の動作やスポーツなどにも影響を及ぼします。
●手書きは脳に良い影響をもたらす
紙に鉛筆や色鉛筆で文字をかくことは、私たちが思っている以上に脳と手先の訓練になります。また、手書きのほうが記憶が定着しやすいなど、手書きが脳に与える影響は数多く研究されています。
そして、手書きするためには適切な筆圧が重要です。
鉛筆を持ち始めたばかりの子はよく、強くかきすぎて紙を破いたり、鉛筆の芯を折ったりしてしまうものです。色鉛筆などでは、色が薄すぎるということもあります。これは筆圧が強すぎたり、弱すぎたりするためです。
だんだん鉛筆を使い慣れてくると、ちょうど良い筆圧がわかってきますから、それをコントロールすることができるようになります。
「紙を破らないような強さでかこう」「もっと強く塗って、色を濃くしよう」といったように、頭と手先を連動させて、文字や絵をかくことができるようになるのです。鉛筆で脳と手先の連動を学び、訓練することができるのですね。
●デジタルの時代だからこそ、大切にしたい手書きの機会
文部科学省の「GIGAスクール構想」により、パソコンやタブレットといったICT端末が1人1台用意され、それらを利用した学習がスタートしています。
自宅での学習でもタブレットを利用しているというご家庭も多いでしょう。
これらのデジタル機器は、これからの社会を生きるために、多様な教育の機会を子どもたちにもたらしてくれます。
しかし、少し気をつけたいのが、パソコンやタブレットでは、筆圧を学ぶことができないということです。やさしく指やペンでなぞれば、液晶画面に線が表示されるので、筆圧を考えながら書くという必要がないのです。
今後、より端末に触れる機会が増え、手書きの機会が減ることも考えられます。
先に挙げたニュースによると、ICT教育の進むノルウェーといった海外では、手書きを見直す動きも出ているのだそう。
端末1人1台の本格的なデジタル時代だからこそ、手書きの機会を大切にしたいですね。
参考
子どもの「手書き離れ」で学力低下の恐れ 筆圧も低下傾向で「書いてあることが判別できない」
記憶、情報整理、精神の治癒……手書きが結局、いちばん効果的な理由
「GIGAスクール構想」とは?定義や背景、取り組み事例を解説