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できなくて当たり前!子どもにはそれぞれのタイミングがある

親なら誰しも、子どもには期待をかけるものです。しかし、良い子、デキる子になってもらいたいあまりに発奮させようとして、気づけば「ぐずぐずしていないで早くしなさい!」「何でそんなに駄目なの!」「どうしてこんなことができないの!」といった否定的な言葉がけばかりをしてしまっている、という方も少なくないのではないでしょうか?

そのような言葉は子どもの勇気ややる気を削いでしまいかねません。また、否定的な感情は相手に必ず伝わります。

それでは、子どもの「できないこと」に対してどのような心構えでいるべきでしょうか?

人間は不完全な生き物だからこそ価値がある

20世紀初頭にドイツで創始した心理学の一学派であるゲシュタルト心理学に、「未完の行為」という考え方があります。未完の行為とは過去にできなかったこと、してほしかったのにしてもらえなかったことなどに対する心残りがあると、それにとらわれるあまり、自分や他人に完璧さを求めてしまうというものです。「○○だったらいいのに」「△△ができたらいいのに」と言われながら育った子どもは、「完璧にならなくてはいけない」「完璧になったら望みが叶う」と思うようになります。しかし人間は所詮、不完全な生き物で完璧になることなどできません。その結果、「完全でないからほしいものが得られないのだ」と葛藤し、不安感が強くなったり、幸せを感じられなくなったりするのです。

子どもに完全を求めるのはやめましょう。子どものいまの姿は、成長の一過程にすぎません。できないことがあって当たり前なのです。

また、人は不完全だからこそ、少しでも完全に近づこうと努力をします。 不完全さはその人の個性であり、それ自体に価値があるのです。

子どもそれぞれにタイミングがある

ある女の子が3歳になったとき、その子のお母さんがこの時期に何かを始めさせたいと思い、ピアノの教室に連れて行くことにしました。ところが、少しもピアノには集中できず、テキストに描いてある絵が動く様子のほうが気になって、レッスンどころではありませんでした。数か月経った頃に行われた発表会では親子で簡単な連弾をする予定でしたが、リハーサル前からぐずってしまい、結局、その子を膝に乗せたまま、お母さんとピアノの先生で連弾することになってしまいました。

そんなこともあり、習い始めてわずかな期間でピアノをやめることになったのですが、しばらくするとその女の子は自分から「ピアノがやりたい」と言い出して、それからは親に言われなくても進んで練習するようになったそうです。

このエピソードのように、子どもがやる気になっていない時期に無理に押しつけても、良い結果にはなりません。子どもそれぞれに始めるタイミングがあり、また、それぞれにできるようになるタイミングがあるのです。

できないことがあっても当たり前と思って、気にしない。できることをきちんとほめる。このことを心がけると、子育てをする親の気持ちも楽になっていくでしょう。