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個人事業主の税金(所得税・住民税)の節税術は、始めるのは簡単でも出口戦略が難しくなってきた。

こんにちは、しちゃうおじさん(以下「しちゃおじ」)です。

個人事業主の税金(所得税・住民税)を大きく減らすことのできる節税術としては、以下の①~③がありまして、平均的な会社員の年収くらいであれば、合法的な無税生活が可能です。

①経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)
②小規模企業共済
③iDeCo(個人型確定拠出年金)/ 国民年金基金

どれもネットで少し調べれば、個人事業主や経営者の節税術として紹介されているものですが、毎年の税制改正もあって、始めるのは簡単でも出口戦略が難しくなってきている現状があることを、ご存知でしょうか?

皆さん、頭でっかちの知識だけで『これを知らないと損している!』と解説したりしていますが、実地体験が足りないためか、出口戦略の難しさについて理解をされていないようです。

なので「しちゃおじ」が、20年後30年後に『こんなハズじゃなかった…(泣)』と後悔しないように、直近で思っていること、考えていることを、参考までに書いておきますね🐤

①経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)

「①経営セーフティ共済」は、掛金月額20万円(最大)まで事業所得の必要経費として算入できて、12月に12月分~翌年11月分の1年分を一括納付することも可能のため、年間で最大23ヶ月分の460万円を、事業年度の必要経費として計上することができます。

「しちゃおじ」は過去に、加入(法人)→解約(法人)→再加入(法人)→解約(個人成り)にて利用させていただきまして、利益が多いときに掛金を拠出して(損金)、利益が少ないときに解約手当金を受け取ることで(益金)、節税術として活用させていただきました。

参考:経営セーフティ共済の解約タイミング → 累積赤字(繰越損失額・繰越欠損金)の控除で節税する方法

ただ、{令和6年度税制改正大網によると経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)が改悪のようだ}の記事で予想をした通り、令和6年10月1日以降に解約した場合、即時に再加入は可能でも、解約日から2年間は必要経費(損金)に算入できなくなってしまいました。

例えば、掛金上限の800万円を解約手当金で受け取った事業年度に再加入をして、12月に240万円(12ヶ月分)を前納することで益金を減らす裏技(?)は、もうできません。

この「①経営セーフティ共済」は、基本的には「節税」というよりも「課税の繰り越べ」ですので、「②小規模企業共済」や「③iDeCo(個人型確定拠出年金)/ 国民年金基金」よりも優先度は低いことが一般的な認識ですが、場合によってはそう単純ではなくなります。

税制改正の影響で、慌てて加入手続きをして12月に一括納付をすることで「課税の繰り延べ」は簡単でも、プールしたお金を手にする解約のタイミングが、益々難しくなりました。

②小規模企業共済

「②小規模企業共済」は、個人事業主の退職金積立制度であり、掛金月額7万円(最大)で12ヶ月分の年間84万円まで、所得控除(小規模企業共済等掛金控除)ができます。

廃業によって解約手当金を受け取る場合は、掛金の元本割れの心配もありませんし、国内債券を中心とした運用利回りによって、10ヵ年の単純平均にて2.08%ほど増えてもいます。

参考:共済資産の運用 | 共済制度 | 独立行政法人 中小企業基盤整備機構

運用利回りとは別に、掛金納付月数に応じて解約手当金の支給率が変動しますが、246ヶ月以上に渡って掛金を拠出しないと支給率が上がりませんので、ここは無視でも構いません。

「②小規模企業共済」は、所得控除によって節税ができるし、銀行の定期預金よりも金利の高い預金にもなりますので、利益を持て余しているのであれば積極的に利用して節税したいところですが、注意していただきたいのが解約手当金を受け取るタイミングです。

節税を考慮すると任意解約による「一時所得」はありえない選択であり、廃業(共済金A)か老齢給付(共済金B)の「退職一時金」として解約手当金を受け取る形になりますが、タイミングを誤ってしまうと重複期間として退職所得控除額が大きく減額されてしまいます。

この見落とされがちな注意点につきましては、{ガーン(꒪д꒪II)… iDeCo(確定拠出年金)と小規模企業共済と退職金の出口戦略が法改正で狂ってもうた}の記事を一読していただきたいのですが、2022年に法改正されたiDeCoの「19年ルール」が厄介過ぎてたまらない。

「しちゃおじ」は2013年から加入しているのでまとまった掛金になっているのですが、廃業をして解約手当金を受け取るとしたら、法人を解散して「退職一時金」を受け取った5年後にあたる2025年か、iDeCoの「19年ルール」を通過した2045年の二択になっています。

キャッシュフローに問題はないので、来年に廃業して解約手当金を受け取る必要はないのですが、このまま21年も寝かせておいたら69歳のジジイだし、使い道がなくなりそう。

③iDeCo(個人型確定拠出年金)/ 国民年金基金

「③iDeCo」は、公的年金とは別個に積み立てることができる私的年金制度であり、個人事業主などの第1号被保険者の場合は、掛金月額6.8万円(最大)で12ヶ月分の年間81.6万円まで、所得控除(小規模企業共済等掛金控除)ができます。

「①経営セーフティ共済」や「②小規模企業共済」とは異なり、公的年金と同様に(原則として)60歳になるまで給付金として受け取ることができない超長期運用になりますので、iDeCoで運用する商品としては、株式を中心とした「投資信託」を選択する方が多いです。

個人事業主の方で「②小規模企業共済」と「③iDeCo」を併用している場合は、{ガーン(꒪д꒪II)… iDeCo(確定拠出年金)と小規模企業共済と退職金の出口戦略が法改正で狂ってもうた}の記事を参考にしていただきたいのですが、会社員の方でも確定拠出年金を利用している場合は、先に確定拠出年金の給付金(一時金)を受け取り、間に4年を空けてから退職による「退職一時金」を受け取らないと、税金で泣きをみることになります。

「しちゃおじ」の場合は、会社を経営していましたので、「②小規模企業共済」と「③iDeCo」の他に、法人を解散する際に支給された「役員退職金(一時金)」もあって、余計に出口戦略が難しくなってしまいました。

個人事業から法人成りをする場合は、「②小規模企業共済」も「③iDeCo」も引き継ぐことができて、さらに将来的には「役員退職金(一時金)」も、出口戦略に関わってきます。

退職所得控除額を重複期間によって大きく減額させないためには、60歳で「③iDeCo」の給付金(一時金)、65歳で「②小規模企業共済」の共済金B(一時金)、70歳で「役員退職金(一時金)」を受け取るプランが、現行の税制における最適解になるのかも知れません。

ちなみに、「しちゃおじ」はiDeCoも2013年から加入していまして、掛金月額上限まで拠出し続けて全世界株式で運用しているため、もう既に将来的に一時金として非課税(無税)で受け取れるであろう資産残高を超えてしまっています。

それはつまり、iDeCoの掛金が所得控除で節税になっても、将来的には一時金受給分(=退職所得控除額)を除いた年金受給分が、雑所得として総合課税になってしまうのです。

それもあって、現在ではiDeCoの掛金月額を下限の5,000円に減額していますので、こういった諸事情を勘案すると、やっぱり節税術は始めるのは簡単でも出口戦略が難しいのです。

なお、iDeCoと比較される国民年金基金は、iDeCo同様に年間81.6万円まで所得控除(社会保険料控除)ができて、一生涯に渡って受け取れる「終身年金」の魅力はあるものの、物価スライド制に対応していないことと、国民年金同様にネズミ講(賦課方式)の側面が見え隠れするので、予定利率が引き下げられている昨今からの加入は検討に値しません。

さて、noteの売上も毎年倍々のペースで増えてきていますので、そろそろ会社を経営していたときのように節税を本気で考えていきたいところなのですが、「①経営セーフティ共済」も「②小規模企業共済」も「③iDeCo」も、この記事で書いた通りの状況なんですよね。

これ以上『節税!節税!』と躍起になっても、老人になってから大金を手にして腐らせるだけなので、今後の売上は必要経費として有効活用して、仕事と人生を充実させたいですね!

個人事業主の方はもちろん、独立を予定されている方がおられましたら、税制改正やe-Taxの変更にも都度対応して、毎年バージョンアップをし続けているのにも関わらず、今のところお値段据え置きの{個人事業主(フリーランス)の節税対策と無駄な費用をかけない青色申告の方法を徹底解説!}を入手されて、手元に置いておくことをオススメしますよ~🐤

以上 – 個人事業主の税金(所得税・住民税)の節税術は、始めるのは簡単でも出口戦略が難しくなってきた。– でした。

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