No.97 「ラグナクリムゾン」第62話備忘録
今月は短かったので短めに.
1. 「11人いる!」本編開始
ラグナクリムゾン第二部(?)開始当初から言っていた「11人いる!」の件, 私はてっきり
「滅竜導士の中に紛れているクリムゾン様を当てること」
と思っていたが, これは余りにも簡単すぎるので, 何のためにやっているのかサッパリわからなかったのだが, 本番はここから. つまり本当に「11人いる!」を「ラグナクリムゾン」でやるつもりなのね.
前提を再確認しよう. とりあえず open になったので
0) 預言者 オルゴール (Oracle)
は除いて,「11人いる!」の該当者を席次(トールギルがデカくて厳密な左右対称の配置になっていない)の順に再掲すると以下の通り:
1) 太陽の聖人 デュラ・ポロ・ネルロ
2) 時の聖女 カルラ
3) 一等神民 リ・ルオシー
4) 牢獄の聖女 ニム・ハムニム
5) 不老剣士 リ・ハクレン
6) 機械の聖女 マリオネッタ
7) 超兵 トールギル
8) 竜の聖女 ラプテリカ
9) 網の聖人 ギュスター・ノア
10) 骸の聖人 ガイン
11) 虹の聖女 ラクーシャ
この中で被害者となるはずの 1) 太陽の聖人を11人の中にカウントしているのは, 彼が殺人(そもそもヒトなのか?)ではなく, 寿命で死ぬケースを想定してのものである(この可能性については後述). また常識的に考えれば, 明確な「黒歴史」がある 2) カルラ も外していいはずだが, ネビュリム君生存ルートからよもやよもやのアルテマティア様復活ルートもありうるかもしれないから, 無条件で外すのは危険であろう.
ただし, 今回に限っては犯人の候補は 3) - 11) の 9 人に絞ってよいと思う. なぜなら「その未来」を知っているクリムゾン様が
「滅竜導士(この中)の誰かに」
というシーンで示唆しているのは, この9人だからである ( 1)と2)は外されている ). ちなみにこの場面は, 解釈次第では非常に厄介な問題を発生させることになるのだが, それについては次の節で別途論じる.
犯人の候補は現段階では何とも言えない. ただ, 黒幕次第でそれは変わることになるだろう. たとえば, まずありえないとは思うが,
「黒幕がギルゼア様の場合は爪牙の血族っぽい 5) リ・ハクレン になる可能性が高い」
といった具合である. 私個人の考えは
「黒幕は『神』であり, それゆえにこれは単純なミステリーではなく, 状況によって犯人が変わりうる」
というものである. 次節では「未来」の視点からその理由を述べる.
2. 太陽神教崩壊の未来と犯人候補の考察
恐らく今回 open になった最も重要な情報は
「未来で太陽神教が崩壊する」
であろう. それ(特にそのきっかけとなる太陽の聖人の死)をラグナクリムゾン(何気にここもクリムゾン様のラグナの扱いがうまくなっている点に注目すべきであろう)が回避するというのが第二部の話の主題になるようだが, まず疑問なのは,
「この「未来」は一体いつなのか?」
ということである.
ラグナの未来回想では, 既にラグナは大人になっていたし, そもそも太陽神教のスカウトの話が来たということは既に死神に, つまり銀気闘法がある程度完成して以降ということになる. ということは本来の歴史であれば, そのイベントが起きたのはまだ2, 30年は先ということになり, 今気にすることではないように思う.
これに関しては
「太陽の聖人はその遥か前に亡くなっていて, 10年以上にわたる内部抗争の末に太陽神教は瓦解した」
という可能性もあるから, まるきり変なわけではないが, 少なくとも前回の世界では随分未来における事件であり, 更にそれが今回の世界のラグナクリムゾンによる歴史改変の影響により, このイベントが前倒しで起こる可能性を示唆している.
ラグナ側の発言に注目したが, クリムゾン側の発言に目を向けると
A. 「やはり起こるか 太陽神教の崩壊」
及び
B. 「太陽の聖人は寿命で死ぬと言ったがそうでない場合もある」
と上記でも触れた
C. 「滅竜導士(この中)の誰かに」
がやはり気になる. 発言 B. は逆説的に殺人事件が起こらず, 寿命で死ぬケースも起こりうることを示唆している(つまりこの場合の犯人は太陽の聖人自身). そしてより一層興味深いのは発言 C. である(前節で言及した非常に厄介な問題). 重要なのは 発言 A. より
「クリムゾンが太陽神教崩壊の未来を知っている」
ということである. しかも一度や二度ではなく, 何度も何度も経験しているのだ. だとすれば, 当然犯人が誰かも知っている筈で, 普通であればミステリーにはならない.
にも関わらず,
「あえて「この中の誰か」と言って, 犯人を特定していない」
という「事実」が意味するものは何か? 恐らくそれは, その言葉の意味は, 「ひぐらし」よろしく
「この中の誰もが犯人になりうる」
ということを意味している. つまり試行を繰り返すたびに同一犯ではなく, 世界によってその犯人が変わっているのではないか?「未来」を知っているはずのクリムゾン様が犯人を特定できないとするならば, 「そういう事情」があるとしか考えられない.
そして
「犯人が状況, 世界によって変わる」
ということは, カルラをアルテマティアに変えた時の様に,
「ある特定の状況でその都度適当な誰かに働きかけコマとして動かす」
という, 如何にも『神』の作為を感じるではないか. つまり「ラグナクリムゾン」第二部の「11人いる!」の目的は, この『神』の作為にラグナクリムゾンで立ち向かうにこそあると思う. それゆえに私は現段階では犯人の推察も立てられない(「ひぐらし」や「うみねこ」で『「次」に誰が犯人になるか』という状況に似ていると思う)というわけである.
クリムゾン様の「未来」に関する発言で, 「11人いる!」とは直接は関係ないかもしれないが
D. 「神教が滅びること自体は問題ではない
竜との戦いの最中に滅びることが問題なのだ」
も気になる. つまりここで言う「竜との戦い」が, ずっと継続している戦争状態のことを指しているのか, それとももっと局地的な, 何か特別な戦闘を指しているものなのかで, また意味合いと重要度が変わってくる. 仮に後者であった場合, 件のイベントが起きる何某かの発生条件を示唆している可能性があるからである. これももう少し話が進まないと, 何も言えない状況である.
3. 「バンドかよ」を巡って
クリムゾン様はラグナに
「そんなに嫌か? 太陽神教」
と尋ね, それに対し
「滅竜の方向性が合わない」
と返したラグナに
「バンドかよ」
のツッコミをしている. 何でもないギャグシーンのようだが, ここで「ガム」を知らなかったラグナが
「バンドって何だ?」
と聴き返さなかったことが不思議に思える. というのもどう考えても, ラグナの世界というか, 日常にバンドが存在したとは思えないからである. これは単純に描写ミスなのか, 何か意味がある伏線なのか. 何とも判断が難しい所である.
4. その他
クリムゾン様まで交えてラグナが笑顔でBQしている(?)中, キメラは一体どうしたんだ. というか, 何でこうなってしまっていて, いつまでこのままなんだ? そしてクリムゾン様は何故それを放置しているんだ(「特に問題ない」と踏んでいるのか)? もうキメラの自我は崩壊してしまったのか(でもヘビに乗っ取られたという感じではない)?