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No.39 「ラグナクリムゾン」アニメ化に寄せて

0. Abstract

来年アニメ化されることが決まった「ラグナクリムゾン」についてのあれこれ(配信形式, キャスト, その他)について論じる. 内容の半分はこれまでもTwitterで述べてきたことをこの機会にまとめたものである. 

1. Introduction

 3月22日発売の「ガンガンJOKER」にて, 「ラグナクリムゾン」のアニメ化が発表された(正確にはその少し前には既に情報が色々出回っていたようだが). ともあれ連載5年(2017年3月22日)にしてようやくアニメ化まで漕ぎつけたのは良かったと思う. 

 ただ同時に色々と思うところ, あるいはこれまでも思ってきたところがあり, それをこの機会にまとめておこうと思った次第である. 具体的には

・アニメ化される範囲と配信(放送)形式
・キャスト(主に声優陣)
・アニメ化の及ぼす影響

の3点についての予想, 期待, 妄想の類を順に述べる. 

2. アニメ化される範囲と配信(放送)形式

 個人的に「ラグナクリムゾン」は非常に面白い作品ではあるが, アニメ化するのは難しいだろうと思っていた. その大きな理由の一つは, 多くの人が理由に挙げるであろう戦闘シーンの作画ではなく, それ以前のより根源的な問題, つまり

「話のどこからどこまでを, どのような形式で, アニメ化するか」

である. 

 これについてはたとえば以前書いた

No.18 「ラグナクリムゾン」第50話記念備忘録
https://note.com/shibushibuyanyan/n/nba2b90423f54

の「4. 日付の謎」のところでも述べたように, 「ラグナクリムゾン」は「ワールドトリガー」と同様にキッチリとスケジュールが決まっている設定であり, それゆえアニメ化の際に大きなdisadvantageになってしまう. つまり

ここからここまでを1クールに収めたいから, ここの話はカットしよう, あるいは逆にアニオリ展開を付け足そう

というような調整が極めて困難である(実際, 「ワールドトリガー」アニメ1期のアニオリ展開はそれ以降``無かったこと''にされているし, 現に「ワールドトリガー」が大好きな私も1秒も見ていない). 

 加えて, 「ラグナクリムゾン」の原作自体がアニメのテンポとマッチしていない. 特に私が昔ヤキモキしていたのは, 4, 5, 6, 7, 8巻もかかってしまったオルト-タラVS銀装兵団戦で, 6巻を越えた時点で

「小林大樹は(あんなに凄い漫画家が!)アニメ化を計算して作ってないのか」

と正直驚いてしまった. 仮に1クールで一区切りにするならば, まず5, 6巻あたりでキリよくしておかなければならなかったのに, 8巻となればどう足掻いてもムリだと思ったからである. 

 となると

配信形式の方を, アマプラやNetflixのように, クールにとらわれない変則形式でやればいい(やるしかない)

と一時考えたのだが, これも「バキ」や「終末のワルキューレ」を観て考え方が変わった. というのも, 巷間伝えられるような権利関係の問題を於くとしても, あの形式はある日突然一挙に1クール分配信されてしまうので, アニメ化による作品の普及効果が殆どないことに気付いたからである. 

 で今回の10巻発売時点でのアニメ化発表で思ったのは 

「分割2クールで, 半年間を空け, 1年くらいかけて, 恐らくは翼の血族との決着がつくであろう12巻までやる」

である. これでもアニメ2, 3話で原作1巻ずつの消化なのでかなりのハイペースだが, これがギリギリ収まる感じではないか. このペースだと1クールは, 中途半端ではあるが, オルト-タラ戦のラグナ覚醒の前後を「引き」にして終わる感じになる. 

 逆にいえば, アニメのキリを意識すると, 

どんなに延びても12巻で翼の血族最終決戦は終わらせなければならない

ということである. 詳しくは節を改めて後述するが, ここ最近小林大樹の話のテンポが良くなってきているのは, この着地点を意識して(意識せざるを得なくて)計算して話を作っているからだと個人的には思っている. 

3. キャスト

 本来であれば制作会社の方をまず論じるべきだが, 正直そこはあまり得意な話題ではない(せいぜい「アレとコレの制作の都合上あそこの会社の制作はムリだろうな」を当て推量するくらい)ので, 以前から度々論じてきたキャスト(声優)陣について述べる. 

 まず間違いなくconsensusが得られそうなところからいくと

アルテマティア:上田麗奈

が挙げられよう. 正直, これ以外のbest solutionの存在を私は信じられない. つまり試しに上田麗奈に

「神がそうおっしゃいましたので...」

とか言わせるだけで, もう怖すぎるのである. 

 次いで今渦中にいる``たつお''こと``たつひさ''で

ウォルテカムイ:鈴木達央

である. 件の騒動さえなければこれで確定だったと思うけど, それがどう影響するか依然として未知数である(ただ来年ならワンチャンいけそうな気がする?). 正直, 個人的にはこれもこれがthe bestでそれ以外の「解」が未だに思いつけていない(「小林親弘ならイケるかも」と思ったことはある). 

 その次は

クリムゾン様:井上麻里奈

である. これはキャラのイメージにプラスして

「男でも, 女でもどちらでも演じられて, かつナレーション役もやる」

という役柄を加味した上でこうなった. わかりやすくいえば「進撃の巨人」のアルミンをしつつ, 本当のヒロイン(ゲスイン?)もやるという感じか. 

 それから

スターリア:早見沙織

これもまぁ「無難」って感じだが, 異論はないだろう. 銀装兵団だと他には

アイク:細谷佳正

とか

フー:遊佐浩二

とか, 一応作成したリストはあるが, キリがないので詳述はやめる. 

 さてここまで挙げてきて, 肝心要のラグナが誰かを言っていなかった. 実はもうかれこれ4年くらい折に触れて考えてきたのだけれど, ラグナを誰にしたらよいのかが未だにわからないのである. 老(未来)ラグナの方はパッと浮かんできて, 実は最初から

老(未来)ラグナ:三木眞一郎

で聴こえていたのにも関わらず, 少年ラグナの声がどうしてもわからない. 言い換えると, 私は未だに少年ラグナがよくわからないのだと思う. 

 「無難」で挙げれば, たとえば梶裕貴あたりの名が挙がりそうだが, 正直, 梶裕貴は私はネビュリムで聴こえるのである. で, それから色々当てはめてはみたが, どうもしっくりこない. 一応, 基準としては

老(未来)ラグナと少年ラグナを両方演じられること, 及び少年ラグナが戦いながら次第に死神ラグナに置き換わっていく様を演じられること

を考えているのだが, これに合致する人がどうしても思いつかない. 

 ここまで悩んで答えが出ないということは, 選定基準が間違っている可能性もあるので, 老(未来)ラグナと少年ラグナは役を分けて, 

少年ラグナの方は, いっそ名もない新人を思い切って大抜擢して, そのちぐはぐな演技が次第に慣れていく様を, 未来ラグナに近づいていく演出として取り込んでしまう

というような極めて大胆な演出まで考えたりもしたが, どうだろうか. 

4. アニメ化の及ぼす影響

 この節の表題の「アニメ化の及ばす影響」だが, これはアニメ化による「ラグナクリムゾン」への一般層(漫画を読まないlayer)への普及効果(それとグッズや原作へのフィードバックを併せたメディアミックス等)が一義的にあることは大前提としたうえで, それとは別に, 原作へ与える影響について少し考察するというものである. より具体的に言えば, 

アニメ化をメタ的視点として, 今後の作品の展開, 特に現在進行形の翼の血族最終決戦の行方を占う指標にしてみよう

という試みである. 

 これはどういうことかというと, たとえば既に上述したような 

どんなに延びても12巻で翼の血族最終決戦は終わらせなければならない

というような縛りから, 今後の展開を予測するというものだ. これに基づくとアルテマティア様が時を巻き戻す可能性は低くなる. 何故ならもし巻き戻してしまうと, そのイベントは11巻以降に発生し, 9巻以降の1, 2巻分をやり直すことになってしまうことになり, 12巻に収まらなくなるからである. 

 またストーリー的にももう巻き戻す意味があまりない. 「古典」になぞらえるならば, 第53話現在の「ラグナクリムゾン」は

「ジョジョ」第4部の最終決戦で吉良吉影がバイツァ・ダストを一度解除した後はもう二度と発動しなかった

という状況に似ていると思う. つまり銀装兵団も, オルト・ゾラも, ネビュリムも, ボルギウスも, 蛇も, クリムゾンも, ある意味で最終決戦でやるべきことは全てやり切ってしまったので, 今更やり直しても, やはり10巻がピークで, 漫画的な「熱」は下がってしまうだろう(それゆえにかつての荒木飛呂彦はそれをしなかったのだと思う). 特に最期の最後, Fate/Zeroのジル・ド・レェの如く正気に戻ったオルト・ゾラなどは銀装兵団に寝返る可能性すらあり, そうなればスターリア生存ルートになるのでそれはそれで面白いとは思うが, それではまた話が延びてしまうこと確定である. 

 極めつけにクリムゾン様による

「アルテマティアは竜王の中でも最弱」

発言と, 次への「引き」となる爪牙の王ギルゼアが, ウォルテカムイの回想という形とはいえ, 登場した時点で, アルテマティア率いる翼の血族はもう(ウォルテカムイまで含めて)ストーリー上の役割を終えている. 最後にすべきは

偽りの救済(神)にすがり続けたアルテマティアが「真の救済とは何か」の答えを得る

ということで, それが「ラグナクリムゾン」のアニメのとりあえずの(10年以上はかかるだろうが叶うならば「進撃の巨人」の如く「ラグナクリムゾン」もアニメでラストまで行ってほしい)ラストを飾るシーンにもなるのだろう. 

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