No.106 「ラグナクリムゾン」第63話備忘録
0. Abstract
「ラグナクリムゾン」第63話について, 特に公開された血族の情報に基づいた今後の展開の予測を中心に述べる.
1. Introduction
「ラグナクリムゾン」第63話で今まで伏せられていた残りの血族と「大聖伐」の情報が公開された. 恐らくは「ラグナクリムゾン」が始まって以来の大公開と言ってもよく, 色々な考察材料が投下された. 本来ならば, これに基づいて「ラグナクリムゾン」の世界観の考察に尽力すべきなのだろうが, 現段階では以前行った
以上のものは私は思いつかないことと, 今回はそれよりもむしろ今後の物語の展開についての方向性が clear になったことが大きいと思われるので, その辺を整理してまとめてみたい.
まず Section 2 では, 公開された血族の情報をまとめ, それらに付随するいくつかの Remarks を list する. 次いで Section 3 では Section 2 で述べた Remarks の中から, 今後の展開において鍵となる項目を pick up し, その各論を論じる. 最後に, Section 4 で血族の情報とは独立の, いくつかの項目(ゲヘナ攻略戦やリ・ルオシー関連)の情報からの考察をまとめる.
2. 血族の情報とその Remarks
さっそく公開された情報を list する作業から始めよう. クリムゾン様が説明した順に咆哮, 骨, 眼, 鱗, 爪牙の順に述べ, それぞれの項目に関する Remarks をその直後に述べる形で list する.
1. 咆哮の血族:血主は『言実竜バグラム』
アルテマティアと同じく代替えした二代目
成者は王を含め十体
ゲヘナという圧倒的な地の利を生かし長年神教と戦り合っている.
Remark 1:
1-0 背景の地図を見るに, ゲヘナの位置はカスピ海の横, カザフスタンあたりからインドまで述べている非常に長大なものであることがわかる. これは第61話の冒頭にあった「縦幅 4000 km (横幅平均 30 km)」という説明にもマッチしている.
1-1 「アルテマティアと同じく…」の行に従えば, クリムゾン様は翼の血族の初代血主であり, その他の血族の血主も, 翼と咆哮の血族以外は, みな初代である. ということは血主は基本的に代替わりはしないもので, むしろ代替わりがあったということは何かアクシデントがあったと考えられる?
1-2 咆哮の初代血主の生死等は言及されていない. 翼の血族の初代血主の今を考えるならば, 今後思いもよらない形で登場することもありうる?
1-3 成者の数が思っていたよりも多い. 翼の血族とまではいかないものの, それに準ずる規模の血族である.
2. 骨の血族:血主は『不滅竜バンコ』
ゲヘナを越えた先大陸南東の海中に封印されている
成者はいない
骨の血族は王自らの手により壊滅している
ただし最強最古の第二位階『機竜グレストノウァク』は未だ健在
Remark 2:
2-0 背景の地図は正にタイのバンコクあたり(バンコの名はここから取った?)?
2-1 封印したのは一体誰なのか(太陽神教? それとも別の勢力? あるいは血族を滅ぼしたバンコ自身?)? そも「封印」とは何か(魔法か?)? 殺せないし, 死なない(不滅)から永久的に無力化する何らかの手段か?
2-2 何故バンコは骨の血族を壊滅させた? 状況がクリムゾン様と翼の血族に似ているので, もしかしたらクリムゾン様と同じ『神』への反逆か?
2-3 グレストノウァク(壊滅を免れた例外?)はどこで何をしている? バンコに逆らったのか, それともバンコでも殺せなかったのか?
3. 眼の血族:血主は『盲目竜シグマリオ』
百年以上前に太陽神教との戦に敗れ王以外の成者は全滅
現在の勢力は不明
Remark 3:
3-0 眼の血族の本拠地はどこだったのか? ヨーロッパから東に順に並んでいるとするならば, タイと日本の間の, それこそ China か, ロシアあたりか?
3-1 シグマリオは今どこで何をしている? 機械の聖女マリオネッタと名前が似ているが何か関係はあるか? もしかして自身で太陽神教に潜り込んでいて, 太陽神教の中の裏切者になっている?
4. 鱗の血族:血主は『月鱗竜コウ・テンラン』
成者の数は不明
少なくとも12体以上
極東の島国ジャパンに巣食う全血族最大勢力
大聖伐とはこの鱗の血族を滅ぼす為の東方遠征の事を言う
Remark 4:
4-0 背景は言うまでもなく日本. なのに血主の名前は日本人ぽくない ( Chinese? ). アマテラスに対するツクヨミ的な解釈をすべきか? 竜は太陽を苦手としているので, その意味でも月に比する解釈は合っている気がする.
5. 爪牙の血族:血主は『殺尽竜ギルゼア』
今は気にしなくていい
爪牙の血族は人側にも竜側にもいるし
爪牙の王自身人と竜との戦いにあまり関与してこない
Remark 5:
5-0 背景, すなわち本拠地が出たとしたら, やはりアメリカだったのだろうか?
5-1 「今は気にしなくていい」ということは, 以前のいずれかの世界において爪牙の血族が絡んでくる(気にしなければならない)局面が存在したのだろうか?
5-2 ラグナが爪牙の血族の話を聞いても「?」だったのは何故か? 前回の世界においてやはりギルゼア等との絡みは無かったのか? それとも今はただ思い出せないだけなのか?
以上であるが, これら全てを通した上での Remarks も述べる.
Remark 6:
6-0 翼の血族の時も思ったが, 血族のシンボルは誰が決めているのか? 『神』が与えたものなのか?
6-1 大聖伐とは, どこからが大聖伐なのか? たとえばゲヘナ攻略戦は(まだ)大聖伐ではないのか? クリムゾン様の言い方では「ゲヘナを落とせば『大聖伐』が実現する」というが, 「実現」が何を意味しているのかという解釈の問題のような気がする.
6-2 ゴーレムも言っていたが, 咆哮と鱗以外はもはや万全とは言い難い状況で, 翼の血族が滅んだことと併せれば, 既に血族の半数は滅んでいることになる. 爪牙を除けば, あとは咆哮と鱗のみとなっている.
6-3 以前からラグナの寿命について気にしているが, ゲヘナ攻略戦が5ヶ月後はその意味でも遅くは無いのか? まぁ, (正に地球の!!)裏ではレオがギルゼア様に鍛えられているからその間の時間は必要なのだろうが, 気になる. 仮にこうだとすればラグナの寿命の残りは数ヶ月単位ではなく, 数年単位換算になる. ただそうすると以前にも指摘したように日付をあそこまで正確に刻む意味がわからなくなる.
3. 血族の情報からの考察
Section 2 で述べた Remarks を総合して, 特に今後の「ラグナクリムゾン」の展開についての考察(というより予想)を述べよう. ズバリ結論から言えば, 以下のようになる.
予想1:『太陽神教崩壊の原因となる太陽の聖人の殺害には, 眼の血族(シグマリオ)が絡んでくる. つまり「ラグナクリムゾン」第二部は
ゲヘナ攻略で咆哮の血族
と,
太陽の聖人殺害阻止で眼の血族
と戦うという二つの血族との戦いが同時並行する形になる.』
少し補足しておこう. 前回も指摘したように, クリムゾンが太陽の聖人殺害の犯人を特定できていないことから,
『マリオネッタはシグマリオのなりすましで, コイツが犯人だ』
などということは安直には言えない. そのことから何らかの特異な異能 (それこそ時間制御のアルテマティア級) を持ったものが犯人である可能性が高く, その意味でも竜王クラスが関わっている可能性は高い. 竜王クラスが関わっているとすれば, 太陽神教に因縁, 遺恨があり, かつ現在は行方不明のシグマリオであるその可能性が高いと考えられる. つまり太陽神教崩壊事件の首謀者は眼の血族, シグマリオであり, それは随分前から周到に準備された計画である.
またクリムゾン様が犯人を特定できないという描写に基づいて, その異能について推察すると, 乗っ取り系や憑依系の能力なのではないか. 各世界ごとに犯人が異なっていると思われる理由がそれで(最悪の場合は太陽神教そのものが丸ごと眼の血族にされてしまい, それも復讐を兼ねた乗っ取り計画の目的か?), こうした(一見銀気闘法も通じ無さそうな)搦め手の相手をどう扱うかが物語の鍵となるのだろう.
ただこれに成功すれば, 血族を2ついっぺんに片づけられ, 話がかなり進展するので, 個人的には望ましい展開である. 実は更に物語を skip しうる可能性も示唆されていて, それが鱗の血族と大聖伐, 及びギルゼア達の存在である. たとえば実際に作中で5ヶ月やそれ以上のブランクが生じたとすると, その間, ギルゼアによるレオ達の修行期間を挟むことができる. この前提に基づいて予想2を立てると以下のようになる.
予想2 : 『ラグナクリムゾン達はヨーロッパから東回りで, ギルゼアやレオ達は西回りのアメリカ経由で日本で邂逅する. ここで鱗の血族狩りの時にはラグナクリムゾンと共闘するか, 何ならギルゼア達の方が早く, 大聖伐より先に鱗の血族を壊滅させてしまうよりスピーディーな展開さえもゼロではない. 』
今思うと, この「東回り」と「西回り」に関しての伏線と思われる描写はかなり前からされている. それは「ラグナクリムゾン」3巻の巻末に収録されている「閑話」の一番最後のページのサイクスの独白
『
さっき「あっちだ」と言ったのは
とっさに出てしまった嘘で
「お前が今見てるの
レーゼと逆方向だぞ」てことを
』
である. つまり
『この「逆方向」が文字通り地球規模の「逆方向」であるのではないか』
ということである.
ついでにもう一つ言っておくと, この直後にサイクスの
『
この日から『銀剣に愛された少女レオニカ』は
ラグナとは違う滅竜の道を歩きはじめる
オレはその歩みを長く傍で見続けることになる
』
という独白も, ある意味それ以上に意味深である. 明らかにこれはラグナでも, クリムゾン様でもない, サイクス視点の未来回想であり, 今のところ, この場面意外にそういうシーンは無いように思う. 恐らくこのサイクスの未来回想をしているシーンというのも, この予想2と関連する重要な場面になると考えている.
4. その他の考察
まず, ギャグ要素として, 例の
「カルラ20人ネタ(とっ 時の聖女以外でお願いします!!!)」
を拾っておこう. 普通の「ゴミなろう系」だとオロロロロロロロロロ不可避のハーレム展開フラグだが, これをこんなに面白いギャグ要素に変えてしまうのは「流石小林大樹」と言うべきだろう.
次いでクリムゾン様の言う
「私はこれからの5か月間で例の計画を実行に移す」
である. これに関しては気になるが如何とも判断しがたい. つまり対ゲヘナ攻略戦用の計画なのか, もっとその先の何かの仕込みなのか.
私の考えではその両方である. つまり
「
お前(ラグナ)にも協力してもらうぞ
」
というセリフから推察すると,「第3話 物語の始まり」(大分昔に!)でクリムゾン様が語っていた
「
個の力だけにとどまらない
幅広い奥深い強さ!
この剣は一つの可能性を提示している
同様の武具を大量に用意したとする
それを装備した部隊を作る
その部隊を私が動かしたなら
」
を遂に実行に移すのかなと.
実際, 今はこの計画を実行に移せる環境と時間が整っている. そしてこれはゲヘナ攻略戦にも, その後の大聖伐にも役に立つだろう. 前回は
・10名に満たない二流狩竜人の即席チーム
・グロッキー状態のラグナ
・わずか2日
だけでトロワを狩った. 今回は
・太陽神教の本部 (恐らく銀装兵団よりも質の高い兵士を万 order)
・未来よりも強くなった(?)ラグナ
・5ヶ月間
でクリムゾン様がみっちり仕込むのだ. ゲヘナ攻略や大聖伐の露払い(如何にラグナを竜王等の絶対強者と1対1でぶつけるかが鍵なので実は結構大事)要因としては十二分以上になるだろう.
ついでだから言っておくと, あの時の長いトロワの独白には太陽神教と(滅竜)導士が既に登場しており, 実はかなり意味深なものになっている. そして太陽神教編が始まった今なお, あのセリフの中で解けていない謎が一つある. それは
「まあ中には太陽神教の導士のような厄介な連中もいるけれど, あれはもう厳密には人間と呼べないしね」
である. 手短に予測を述べると
「人間ではない」という点において竜も滅竜導士も同種であり, 共に「『神』のしもべ」なのではないか
ということで, この辺も太陽神教や世界の謎と色々と関わっている気がする.
あと何と言ってもリ・ルオシー関連の話である. 一番気になるのは前回の世界におけるラグナと彼女との関係であろう.
『なるほど. この幼女がアルテマティア様やスターリアに代わる, ラグナクリムゾン第二部のヒロイン枠か』
とは思ったが,
「世話になってばかりでこっちからは何も返せなかった」
という口ぶりから察するに, 未来のどこかの段階(それこそ太陽神教崩壊の時?)で(ラグナが死神になる前に)死亡している可能性が高いような気がする.
その辺もおいおい明らかになっていくだろう. それと関連することとして
「
たしか神教圏の出身のだったはずだ
」
にも少し引っかかる. つまり未来でラグナがルオシーに出会った時, 彼女は太陽神教に居なかったのか? あるいは既に内部分裂して抜けていたか, 太陽神教とは関係ない形で出会っていたのか. この辺は「太陽の聖者殺人事件」の真相とも絡みそうなので, 細かいようだが何気に重要な気がする.
最後に, 細かいことではあるが, 滅竜導士達も, 「竜を滅ぼす」とは言っても「『神』を狩る(殺す, 滅ぼす)」とは言っていない点はやはり, 太陽神教黒幕説の可能性がまだまだ十分残っていることを示唆していると感じる.