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【神回】社学が「刑法」をとってみた結果

YOUはどうして刑法に?

法学部科目の中でも難関と言われる「刑法」。法学部生ですら骨を折るこの科目、他学部で取っている人なんか正直見たことがありません。そんなイレギュラーな人は普通はいません。が、澁澤塾にはいるんです。彼女の名は山岡麗奈さん、澁澤塾では副代表を務めています。今回はそんな彼女に、他学部科目として刑法を取るとどうなるのかについて話していただきました。


澁澤塾ってどんな団体なの?と思った方はこちらもご覧ください!


皆さんこんにちは!
イレギュラー(「変人」とは書けず気を遣われた模様)」とのご紹介に与りました、社会学部2年の山岡麗奈です。

ここまでの記事がすべて真面目路線だったのとは打って変わり、今回の記事は、一社会学部生(神奈川県・10代女性)が刑法を取りました‼  という発信の行き場にひたすら困るテーマです。
ずっと楽しみにしていた執筆依頼。まさか自分の学生生活を切り売りすることになるとは、夢にも思いませんでした。

でも折角いただいた執筆機会なので、学部の垣根を越えてきた2年間、特に刑法とともにあった3か月間を、ゆるく綴ろうかと思います。
「ふーん、そんな物好きもいるもんだなぁ」くらいの気持ちで、読んであげてください笑


他学部科目ってたくさん取るべきなの?

本題に移る前に、そもそも学部の垣根は積極的に超えるべきなのかについて、ここはちょっと真面目にお話ししますね。
結論としては、「どっちでもいいんじゃない?」というのが正直なところです。投げやりな回答のように聞こえますが、私は、「大学」という研究・教育システムの使い方は色々あって良いと思っているからです。一つの専攻領域に力を注ぐもよし、私のように学部の垣根を越えて色々つまみ食いするもよし、途中で違うと思ったら転学部するもよし、この大学の強みである留学制度の恩恵に与るもよし。

一橋大学での過ごし方は、一橋生の数だけあって良いんじゃないでしょうか。
その数千分の一を、急拡大する大学公認団体のメディアを使って一方的に発信していることのおこがましさには目をつぶっていただいて笑、あくまで一例だという認識のもと、これ以降を読み進めていただけると幸いです!


どうして他学部科目を多くとろうと思ったの?

このパート、一言で終わりそうです笑

知的好奇心。

ただ、わたしは最初から法学部領域に興味が強かったわけでは全くないんです。自分でも面白いなと思うのが、社会学部しか眼中になかった受験生時代からの変化です。受験生の頃、モチベの源は、大学公式HPにある社会学部の研究領域リストを眺めること&オープンキャンパスの社学・模擬講義で取ったノートを見返すこと。冷静に「イレギュラー」ですね。(そんな高校生やだ…)
こういった感じで、「社学」の二文字だけを携えて入学した私が、その年の夏には憲法(他学部)の勉強に熱を注ぎ、いつか履修する時のために刑法の教科書をフライング購入したのですから、本当に人間って不思議です。
記憶が曖昧ですが、他学部科目を数単位とらなければいけないという履修規定上の必要に迫られたことが、学部の垣根を超える大きなきっかけの一つだったと思います。試しに履修してみたら、意外と面白くてハマっちゃったというやつですね。

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具体的にどんな授業を取ったの?

やや抽象的な話が続きましたが、これ以降はもっと切り込んだ話をしようかと思います。
まず、私が法学部領域で履修した授業は下記の通りです。全部で10単位ですね。最後の刑法4単位が圧倒的に重かったんですが笑、順番にお話ししていきましょう。

〇憲法(他学部)2単位

はじめてのほうりつかもく。はじめてのろっぽう。
(実は私が法律科目を取り続けているのには、せっかく購入した六法の元を取りたいとかいう不純な理由もあることを、ここで白状します。)
この授業は本当に興味深かったんですが、私には二つの試練がありました。

まず最初の壁にぶち当たったのは、教科書を開いたときです。
難解すぎて、何回読んでもワカラナイ。(狙ってないですよ?)
私は、思いました。

これは、日本語ではないんじゃないか。
それとも、私の見聞きしてきた言語が実は日本語じゃなかったのか。

とはいえ、分からないところがあってもとりあえず先まで読んでから、もう一回前のページに戻り、用語の概念や学説の立場を整理するという作業を繰り返すようになると、この試練はしだいに解決していきました。法律科目の難解さへの耐性は、恐らくここでついたと思います。途中からは、むしろそれを楽しめるくらいの余裕が出始めました。

さて、もう一つの試練は。これが本当に、辛かった。
一限。
教授には本当に申し訳ないのですが、たぶん教場試験日を除いて、時間通りに席に着いたことは一度もありません…
知的好奇心も、私の睡魔には大敗北です。
出席している時間中は熱心にノートを取っていたのが幸いして、中間の論述試験は最高点を取った学生として授業中に名前を呼ばれたらしいんですが、きっとその時、私はまだ教室に到着していなかったのでしょう…汗
あとから友人伝いで知りました。

教授に届くこともなさそうな謝罪をここでしておきます。
ごめんなさい。

〇法学入門2単位

気を取り直して、憲法の次に私が履修したのは、法学入門でした。ちなみにこれより先は、オンライン授業移行後に履修した科目たちなので、先ほどのような馬鹿みたいな失敗はせずに済んでいます。
この科目は、他学部の人にとってはかなりハードルが低い方なんじゃないかと思います。本当に入門的な概念、考え方から入って下さるので、法律を学んでみたい他学部生は、まずこの授業を視野に入れてみると良いと思います!少なくとも、先ほどの憲法(他学部)よりかは圧倒的にとっつきやすいはずです。

〇知的財産法2単位

さて、二年生の夏学期に履修したのは、意匠法・商標法・不正競争防止法を学ぶ知的財産法の授業です。(ちなみに二年生の一年間は毎学期、法学部科目を履修しました笑)
細かい説明書をひたすら頭に入れていくような地道な勉強は求められますが、きちんと先生の話を追っていれば確実に理解できる授業構成になっています。
向き不向きとしては、知的財産法に限った話ではないように思いますが、過不足なく、緻密に論理を組み立てていくのが好きな人は向いているのではないでしょうか。
あとは扱うテーマに、商品・ブランドに付されているロゴやマーク、キャッチコピーなどが多く含まれるので、そのあたりに興味のある人や将来的に何らかの形で関わってみたいと思っている方も、履修を視野に入れてみると良いかもしれません!
判例にも、誰でも知っているようなブランドの騒動が出てきたりして、なかなか興味深い領域です。

〇刑法4単位

やっと本題に来ました。笑
先ほども書きましたが、なぜか在学中に絶対履修しようと意気込んで、なぜか一年次に分厚い教科書をフライング購入した、あの刑法です。
刑法に特に興味を持ったきっかけは、もう思い出せません。
法学部の友達は、口を揃えて「他学部がとる科目じゃない」「あいつだけはやめとけ」と言ってきましたが、その助言に立ち止まることもなく、暴風のように突っ込んでいったのが、私です。
その後の色々は次のパートで詳しくお話しするので、ここではあと一つだけ。
実際ほんとうに「他学部がとるべきでない」科目なのかという点についてなんですが、耐性と、難しさを楽しめるマインドがあればいけるかなという感じです!耐性の方を詳しく説明すると、法律分野独特の難解な文章や、論理的かつ緻密な思考スタイルにどれくらい慣れているか・あるいは慣れようと努めることを苦痛に感じないか、といったところでしょうか。
なので、少なくとも刑法を履修する前に、もっと軽めの入門的な科目をとっておくことは強くおすすめします笑


私と刑法、ともに歩んだ三か月。

ということでこの記事、先に進めば進むほど需要のなさが凄まじくなっております笑
秋冬学期、週二で付き合った刑法と、個人的に色々あったあんなことやこんなことを綴ってみましょうか。(念のため確認ですが、この記事は依頼です。)

〇実は一回、フラれてた

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一年生の頃、刑法の授業を受ける日が待ち遠しすぎて、フライング購入した教科書と六法を手に、大学近くの喫茶店で自主勉を始めようとしたことがあります。今から考えると、あまりに無謀でした。刑法典の中のほんの数行に目を通しただけでも、「この犯罪は予備も罰されるのに、似てるこっちの犯罪はなんで予備が不可罰なんだろう?」とか、「例えば~というケースがあるとしたら、両方の犯罪に該当してしまわないか?」とか、無数の疑問が湧いてきて、“?”の生じるスピードに対して頭の処理スピードが全く追いつかず、混乱状態に陥ったことを今でも覚えています。
「ちょっと自分でやってみようかな♪」という私の気持ちを、刑法はバッサリと斬ったのでした。

〇でも、諦めきれなかった

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一度フラれようが、やっぱり諦められないものは諦められませんよね。
ということで、法学部の友人が引いた目で見ているのを気にもかけず、二年の秋冬学期、再アタックしました。
でも、一行読むごとに無数の疑問に見舞われるという私の体質は変わっているわけもなく、教科書の該当箇所を読んでおくという予習に、最初の方はめちゃくちゃ時間と労力がかかったのを覚えています。

〇関係持続のコツは、妥協すること。

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そんな私も授業の回数を重ねていくごとに、次第に“勉強効率”というものを学んでいきます。知的好奇心を満たすためとはいえ、授業である以上、成績をとるというゴールは欠かせません。
そこで、ある妥協を覚えました。
無数に出続ける疑問をいちいち拾わず、とりあえずは教科書に書かれている既存の学説を、その前提的な規範に基づいて理解すること。そして議論の穴を見つけるという自分の得意技は、先生が授業で特に強調していた論点(特定の学説対立など)に対してのみ、発揮することにしたんです。

〇一緒に行った箱根旅行

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履修し続ける中で、ちょっとしたアクシデントが起きたこともあります。
小テストが授業時間中に行われる回があったんですが、その日時が友人との箱根旅行にがっつり被ってしまったのです。
結局、その友人にはごめんなさいと言って、朝っぱらから箱根近くのカフェでテストを受けました。
友達と、刑法とダブルデート(?)した箱根旅行なのでした。


本命にはできないけど、やっぱり好き

身の程知らずなアタックをして、一度フラれ、それでも忘れられなくて再アタックし…

何の話ですか。笑
(再度確認ですが、本記事は「こんな感じで」と依頼されて書いています。)

とにかく、刑法が他学部生の履修科目として難しすぎることは事実です。
でも私個人としては、時間と労力をかけて勉強したことを全く後悔はしていませんし、むしろ知的好奇心を回収しながら単位も取得できるという好都合な機会だったと思っています!もし、私と同じように「イレギュラー」な暴挙に出ようとしている方がいましたら、ぜひお友達になってください。

それと、ここまで書いておいてなんですが、
法学部に片足突っ込んだ今も、やっぱり本命は社学です。

最後までご精読いただき、ありがとうございました!!


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