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渋谷の柳瀬博一研究室 220615

2022年6月15日(水) 10:05-11:00放送
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【パーソナリティ】
柳瀬博一さん(東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授)

【ゲスト】
仲俣暁生さん(編集者、文芸評論家)
http://nakamata.net/solar/
https://twitter.com/solar1964

藤谷治さん(小説家)
https://twitter.com/yuntachura

(Web会議システムを使用したリモート収録でお送りしました)

今回は、「ハードボイルドの話」。
同世代のゲストと3人で、ハードボイルドだけの話をするという、濃厚な時間となりました。

なぜ今「ハードボイルド」?
キッカケは、仲俣さんがレイモンド・チャンドラーの『The Long Goodbye』を田口俊樹さんが新たに翻訳した『長い別れ』(創元推理文庫)を読んで、それをFacebookに投稿したらすごい反応があったことから。その中に藤谷さん、柳瀬さんもいらして、急遽この場が決まったのだそうです。

お三方が10代だった70年代後半は、アメリカンニューシネマや松田優作、ルパン三世など、日本でもハードボイルドティストが流行っていましたが、当時の仲俣さんは「チャンドラーに偏見があって読まなかった」そうですし、藤谷さんは「乗り切らなかった」と言います。
そんな仲俣さんは今回の田口訳で初めて読んで強く興味をそそられ、藤谷さんは「今、読んだ方がいい」と言います。

番組では、お三方のそれぞれの視点から、
・チャンドラーのこと
・主人公、私立探偵フィリップ・マーロウのこと
・『The Long Goodbye』を過去に翻訳した清水俊二、村上春樹のバージョンと今回の田口俊樹訳の比較
・日本におけるハードボイルド
・村上春樹の小説とチャンドラー
・ハードボイルドというジャンルの発生
・チャンドラーとダシール・ハメット
・チャンドラーの長編に見られる戦争の影
・マーロウは実はケアの人?
等々、多岐にわたってお話が展開していきました。

藤谷さんは、「いつか戦争は終わる。そのとき我々は荒廃する。」「覚悟としてチャンドラーを読んでおいた方がいい」と言います。
ウクライナで戦争が起きている今、『長い別れ』田口訳が出たのは偶然とは思うけれど意味は深いと。

この話題、1時間では全く足りませんでした。
仲俣さんが「まだ勉強中」とのことなので、少し時間を空けて「仲俣、藤谷、柳瀬のハードボイルド文学論」として続きをお届けできそうです。


📖レイモンド・チャンドラー著、田口俊樹訳『長い別れ』(創元推理文庫)
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488131074

📚今回登場した“主な”参考文献
・レイモンド・チャンドラー 著、清水俊二 訳『長いお別れ』(早川書房)
 https://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/40701.html
・レイモンド・チャンドラー 著、村上春樹 訳『ロング・グッドバイ』(早川書房)
 https://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/40711.html

・仲俣さんと藤谷さんの連載「往復書簡:創作と批評と編集のあいだで」
 ハードボイルドの話は第31信から
 https://magazine-k.jp/2022/05/07/fujitani-to-nakamata-31/
 
・藤谷治 著『世界でいちばん美しい』(小学館文庫)
 https://www.shogakukan.co.jp/books/09406344

・ダシール・ハメット 著、大久保康雄 訳『ガラスの鍵』(創元推理文庫)
 http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488130039
・ダシール・ハメット 著、小鷹信光 訳『ガラスの鍵』(ハヤカワミステリ文庫)
・ダシール・ハメット 著、池田真紀子 訳『ガラスの鍵』(光文社古典新訳文庫)
 https://www.kotensinyaku.jp/books/book108/


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📖柳瀬さんの著書『国道16号線:「日本」を創った道』(新潮社)
https://www.shinchosha.co.jp/book/353771/

(note編集:清水)

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