初動安定性と爆発力の両立を目指すアルセウスジュラルドンのデッキ構築【全文無料】
はじめまして。シビレ(@shibihacchan)と申します。2022年5月に競技ポケカを始めて、先日初めての大会に参加したので、その記録用にnote記事を書きたいと思います。ちなみに戦績はBO3・9ラウンドで4勝5敗0分(23ゲーム11勝12敗)だったので、特に強いリストというわけではないです。
また、自分は海外在住なので、日本とはカードプールがやや異なります(日本は現在パラダイムトリガー環境ですが、先日参加したワルシャワリージョナルはロストアビス環境でした)。少し時期を外した内容となりますが、初動の安定性の確率や中盤以降の立ち回りの再現性も考慮しながらデッキを組んだので、読む人にも何か得られるものがあれば幸いです(上級者の方には今更な内容かもしれませんが、お目こぼしください^^)。あと、何分文系の確率計算なので、もし間違いがあればご容赦ください笑
アルセウスジュラルドンとの出会い
ポケカを始めて間もないころ、私は無課金でPTCGO(オンラインでポケカ対人戦ができる神プラットフォームです)の対戦を楽しんでいました。当時使っていたのはれんげきのヨワシデッキ。モスノウと組み合わせて青天井火力がだせるすごいデッキです。
ヨワシでポケモンV主体のデッキにもそれなりに勝てるようになったころに出会ったのがアルセウスジュラルドン。訳が分からないうちにスターバース→マスタード→トリニティノヴァでVMAX2体を立てられ、ヨワシで殴っても回復され、裏を取ろうにも他のポケモンはいない。そびえたつ2基の巨塔を前に、私は目の前で蹴散らされていくヨワシやユキハミをただ眺めていることしかできませんでした。ポケカで初めて味わう絶望でした。
ということで、そんなにすごいデッキなら自分で使えばいいじゃん!と思ったのがアルジュラを使うようになったきっかけです。
デッキリスト(ロストアビス環境)
前置きはこれくらいにして、早速デッキリストです。2022年11月に行われたワルシャワリージョナルに参加した時のデッキで、日本でいうところのロストアビス環境だったので、ギラティナ・パルキアキュレム・ミュウ・レジ・ロストバレット(ヤミラミ+かがやくリザードン)あたりを調整の対象にしています。
初動の安定性~”事故”の確率の把握~
アルジュラの理想の序盤とは
各採用カードの詳細については後で触れるとして、まず初手の安定性について考えていきたいと思います。
アルセウスジュラルドンは言うまでもなく、最初にアルセウスV・VSTARを立て、スターバースを絡めつつジュラルドンにエネ加速をしながら盤面を作り、回復札やカリンの信念などのいちげきカードによる火力上昇を利用してサイドレースの有利を得て勝利することを目指すデッキです(これに加えて特性まてんろうと、ダメージ軽減無効のキョダイフンサイまであるのが凄いところ!)。
したがって、このデッキで戦ううえで大切なのは、如何に1ターン目でアルセウスVにエネを貼り、2ターン目でVSTARに進化してスターバースを使えるようにするか、ということになります(全てのアルセウス軸デッキに共通しますが)。
”合格点の初手”を再現できる確率
上に書いた通り、序盤からしっかり盤面を作っていくためには、1ターン目でアルセウスVとエネルギーに触ることが必須になります。サポート権が絡むとややこしいので、シンプルに先攻の場合の確率を考えてみます(相手のマリガンは考慮しません)。
<1ターン目でアルセウスVに触れる確率>
初手7枚+ドローの8枚でアルセウスVに触れる確率ですが、↑のデッキレシピにはアルセウスVになるカードが計10枚あるので、約79%となります。ただし、残りの21%には、「初手7枚にたねポケモンがいない場合」も含みます。これを考慮すると、「ジュラルドンVでバトル場スタートして、かつ1ターン目のドローでアルセウスVに触れない確率」はわずか4.6%ということになります。つまり、95.4%の確率で1ターン目にアルセウスVを場に出せるということです。
<1ターン目でエネルギーに触れる確率>
初手7枚+ドローの8枚でエネルギーに触れる確率は、↑のエネルギー14枚構成のデッキの場合89.8%です。
以上から、”1ターン目にアルセウスVにエネルギーを手貼りできる確率”は、95.4% * 89.8% = 85.6% と考えることができます。20回中17回は”合格点の初手”を実現できるのは、十分に高い確率と言えるでしょうか?ここは人によって意見が分かれるところだと思いますが、私としてはもう一声、という感じ。そこでスタジアム「あくの塔」の出番です。
↑のデッキには、あくの塔4枚と、その他いちげきのカードが5枚(しんかのおこうがVMAXになることを考えると実質6枚)の計10枚あり、1ターン目にあくの塔の効果を使って2枚ドローできる確率が約33%あります。細かい計算は省略しますが、あくの塔の採用によって”1ターン目にアルセウスVにエネルギーを手貼りできる確率”は約90%まで上昇します。
BO3の大会において、90%の確率で合格点の初動が確保できればまぁOKかな、というのが私の判断でした。合格点の動きができないことを”事故”と呼ぶのであれば、10回に1回(1日に3回くらい)は事故を起こすのがこのデッキの実力、と考えることができます。
アルセウスVに触れるカード(クイックボールの4枚目や冒険家の発見、キャプチャーエネルギー等)やエネの枚数をさらに増やすことで事故の確率は下げることができますが、そうすると他のカードが入るスペースが無くなるためこの枚数構成としました。
2ターン目の安定性について
アルジュラで2ターン目に考えることは、如何にアルセウスVSTARを立ててトリニティノヴァに繋げるか、という点です。そのためには何としてもアルセウスVSTARに触り、スターバースを絡めながらダブルターボ(1ターン目に貼れていれば他のエネでもOK)を付ける必要があります。
この点を考慮し、VSTARになるカードは現物3枚含め7枚採用、ドローサポートは博士-マリィーアクロマを3-2-1+ポケギア2枚採用としています。2ターン目になると分岐が多すぎて確率計算は私にはできませんが、相手にマリィ等を撃たれない限りかなりの高確率でVSTARに触れます。現物3枚にしているのは、アルセウスを2体立てて戦うケースも結構あるのが理由です。
もう一つ考えないといけないのが、スターバースとまてんろうの天敵である頂への雪道。これを剥がすため、スタジアム4枚+ロストスイーパーを採用しています。雪道が搭載されている可能性があるデッキに対しては、あくの塔は安易にドローコストにせず温存するのも重要です。
マリガンについて
アルジュラで避けられないのがマリガンの問題。上述の理由からたねポケモンが6枚しか入っていないため、1回以上マリガンする確率が約46%あります。私は先日のリージョナルで最大6マリガンしました(6マリガンする確率は0.93%です)。考え方次第ですが、ジュラルドンV3枚にすると”事故”率が1.5%くらい上がるので、これに関しては割り切るしかありません。
中盤以降の再現性向上のために
アルジュラで中盤~後半にかけて目指したい動きとして、すごいキズぐすりの使用と、カリン(+ベルト)の使用によるVSTAR/VMAXワンパンというものがあります。この動きの再現性を上げるためのポイントは以下です。
山の圧縮とやまびこ・ツツジケア
まずは中盤以降不必要なカードを山から無くすために、山の圧縮が第一です。余ったボールや使う予定のないVMAX・カリン・あくの塔はどんどんコストにして山を減らしていきましょう。やまびこホーンが入っている可能性が高い相手に対しては、たねポケモンは極力トラッシュせず、よきタイミングでつりざおを使って山に戻します。また、ツツジが撃たれそうなタイミングには、お祈り程度にあくの塔を貼っておくようにしましょう。
キバナ・カリン2枚・ポケギア2枚
キバナはこのデッキのキーカードの1枚です。中盤以降唯一の確定サーチカードであり、手札にキズぐすりかエネが1枚あれば回復札にもなるので、有効に使いましょう。相手が後1/先 2でエネ付きのアルセウスVを倒してきた場合も、キバナがあれば2ターン目にトリニティノヴァまで持っていけます。
カリンは前半に手札に来ると腐りがちですが、2枚あれば序盤はドローコスト、もう1枚を切り札にできるので2枚採用としています。ポケギアも、序盤ならドローサポート、終盤ならカリンやボスを探しに行くことができるため2枚採用。ツツジ後のリカバーにもなりやすいため、できれば終盤まで山に温存しておきたいカードです。
その他採用カード
<ドローサポート>
博士-マリィ‐アクロマ+ポケギア2枚を3-2-1+2で採用。私の計算が間違っていなければ、後1/先2で7割以上の確率でいずれかのドローサポートに触ることができます(相手のマリィやジャッジマンは考慮せず)。手札に固まったエネルギーや序盤に不要なカードを山に戻したい場面も多いためマリィ2枚、一方で必要札を抱えながら山を掘りたい時に便利なアクロマも1枚採用。セレナがあれば、博士・ボス・アクロマの3枚をセレナ2枚にまとめてしまってデッキの枠を1つ空けることができると思います。
<その他サポート>
相手のシステムポケモンやワンパン可能なVをしっかり仕留めたいためボス3枚の採用。カリン・キバナについては上述の通り。
<大きなおまもり 1枚>
地味に良い働きをしてくれるカード。アルセウスVSTARに付ければHP310となり、ウッウ+カビゴンを耐えたり、ギラティナのロストインパクトを耐えるため相手にロストスイーパーかスターレクイエムを強要することができます(ツールジャマ―は別の話)。
<ビッグパラソル 1枚>
スターレクイエムやヤミラミを意識したカード。大体ロストスイーパーで剥がされるので2枚入れたいところですが、全く必要無い対面では腐るのでそれも難しいところ。つまりは、ロストギラティナ相手は厳しいです。レジ対面でもレジアイスのブリザードバインドをケアして詰み回避するために必須の1枚。
<こだわりベルト 1枚>
相手残りサイド4枚の時にカリンと組み合わせてVSTARをワンパンするために必要なカード。アルセウスに付ければHP210(パワフル無色も付いていればHP230)のVまでワンパンできるようになるので、相手のペースを崩せます。
<ロストスイーパー 1枚>
上述の通り、雪道を剥がす5枚目のカードとして。初手7枚+最初の2ドローで特定のカードを素引きする確率は、4枚採用だと49%、5枚採用だと57%なので、1枚の差は大きいです。それ以外にも、相手のおまもり・マントやベルトを剥がして耐久や火力を削いだり、ふうせんを剥がして妨害したり、何かと役に立ちます。
<パワフル無色エネルギー 1枚>
アルジュラのエネルギー構成はダブルターボ4枚に闘エネ3枚、鋼エネ6枚の計13枚(オプションでいちげきエネルギーの採用)が一般的だと思いますが、14枚に増やすと初手8枚でエネルギーが手札に来る確率が2%程度上がるので、14枚目として採用。本デッキの上振れ担当枠でもあります。1ターン 目にアルセウスにダブルターボを手貼りできた場合、2ターン目にスターバースでパワフル無色とベルトを持ってきて相手のHP220のV(アルセウス・パルキア・ギラティナ等)ワンパンを狙います。ただ、この動きは結構警戒されていたのか、大会ではかがやくサーナイトを採用したアルセウス軸デッキにたくさん遭遇しました。
不採用カード
<マスタード いちげきのかた>
「アルジュラと言えばマスタードでしょ!」という方も多いと思います。私もそう思います。ミュウ・レジギガス・ヒスイゾロアークなど、一刻も早くVMAXを立てたい対面でうまく使えれば相当強く、ジュラルドンVのサイド落ちもケアでき、あくの塔とも噛み合うためできれば採用したいカードですが、私の場合マスタードの活用を考えるあまりスターバースの最善手を見落としがちになる傾向があったので、思考を簡易化するために不採用としました。上手い人が使えば絶対強いカードだと思います。
<結晶の洞窟>
スタジアムの候補でしたが、結晶の洞窟でダメージラインをずらしたい主な仮想敵がロストバレットくらいしか思いつかず、ロストバレットに対してはキズぐすりをうまく使えれば有利に立ち回れるため不採用としました。上述の通り、あくの塔採用による初動安定性を優先しています。
<ロストシティ>
ロストバレットやレジに使えれば強いですが、それらのデッキには元々有利なため不採用。ピン刺しも検討しましたが、デッキの安定性を損なうと考えやめました。
<エイチ湖>
相手ターンに効果を発揮するスタジアムであり、相手に剥がされると何もできないため不採用。
<やまびこホーン>
ジュラルドンの220ダメージを生かして相手のたねVを呼び出しサイドを2枚取る、という動きは強いのですが、終盤にボス+やまびこを手元に揃えるのが難しいと感じたので不採用。同じサイド2枚を取るのであれば、1枚で仕事をするカリンの方が優先度高いと考えました。
<いちげきエネルギー>
いちげき+相手残りサイド4のカリンでジュラルドンが280ダメージ出せたり、いちげき+ベルトで270ダメージ出せてヒスイヌメルゴンをワンパンできたりするのは魅力なんですが、アルセウスには付けられず、初動の安定には貢献しないため不採用としました。
<ギフトエネルギー>
ツツジケアや、中盤以降の手札を厚くする目的で採用を検討しました。パワフル無色の代わりや追加の14・15枚目のエネルギーとしての採用はアリかもしれません。
<キャプチャーエネルギー>
アルセウスに付けてクイックボールの4枚目になるエネルギー。こちらも14・15枚目のエネルギーとしての採用はアリかも。
<ポケモンセンターのお姉さん>
結晶の洞窟2回分のHP回復と状態異常回復を同時にできる便利カード。LOやレジギガスにたまに入っているおうえんYホーンの対策にもなるので結構真面目に採用を考えましたが、そこまで環境に多くなさそうだしポケモンいれかえでも対応できるので不採用としました。パラダイムトリガー環境だとマヒ戦法も増えているようなので、あると便利かもしれません。
終わりに
さて、最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。もし質問やコメント、アドバイス等があれば、twitter(@shibihacchan)までいただければと思います。
このデッキで実際に大会に参加してみた感想ですが、10%の事故は結構起こると感じました。まぁりゅうせいぐんも結構外れますしねぇ。事故の確率がもっと低い、あるいは事故ってもリカバリーが効きやすいデッキが「本当に強いデッキ」と言えるのかもなぁ、と思いました。
それともう一つ、余談ですが、大会参加を通して新たな友人が4人もできました!海外の人とも繋がれるポケカ・ポケモンは素晴らしいコンテンツだと改めて感じた次第です。
それでは、次なるパラダイムトリガー環境に向けて、修行を続けていきたいと思います。さようなら。
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