新卒入社2日目で退職を決意して5年半働いてみた
5年半前、僕は新卒入社した会社のグループ研修に参加していた。
当社は、4000社以上あるこの業界で圧倒的No.1の大企業である。
僕が入社した会社は、その大企業のグループ会社で、親会社の新入社員と共に1週間のグループ研修を行うこととなった。
親会社の同期は、超が付くほどのエリート揃いで、僕が仲良くなった同期は揃って東大院卒だった。
マナー研修やグループワークは、親会社の新入社員に混ざって行った。
熱意、人柄、賢さ、頭の回転、コミュニケーション力など全てにおいて次元が違った。
「僕は彼らには敵わない」
1週間のグループ研修を終えた最初の感想は、疲れたとか、楽しかったとかではなく、壮大な劣等感だった。
翌週から各部署へ配属された。
僕は、本社でも超が付くほど忙しい部署に配属となった。(歴代の役員や社長が輩出されている部署である)
ここからがさらに地獄で、
先輩方が高学歴で超優秀だった。
正直、親会社の同期は大半が海外事業部で国外に配属されるため、二度と会うことも、比べられることもないが、同じ部署の先輩方が皆優秀だと色々と困った。
1年後、3年後、5年後、、、こんな先輩に自分はなれないと思った。
毎日劣等感と格闘しては落ち込み、そもそもあまり持ち合わせていないプライドなんて、配属から半日で吹き飛んだ。
この会社で自分は活躍できない。
そう思うようになるまでに時間はかからなかった。
2年目、僕は新支店の立ち上げメンバーとして地元から遠くの地へ転勤になった。
当時は最悪だと思っていたが、これが思わぬ転機となった。
新支店の部署はたったの4人。
部署の売上・責任の内、25%は自分にかかっていた。
本社のあの部署から来た若いやつ、ということもありものすごく期待された。
僕も最大限期待に応えられるように、がむしゃらに働いた。
僕は初めて会社に貢献できていることを実感した。
数ヶ月後、精神が崩壊した。
自分では理由は分からなかった。
朝、目が覚めると昼の12時を指すアナログ時計が目に入った。
最初は壊れているのかと思ったが、充電が満タンのiPhoneも同時刻を指していた。
夜更かしした訳でもないのに、朝起きられなくなり、会社に行けない日々が続いた。
数ヶ月後、咳が止まらなくなった。
医師からはストレス性の喘息であると言われた。
もちろん上司には相談できずに、隠れて薬漬けの生活をした。
数ヶ月後、腹を抱えて自宅で意識を失った。
医師からはストレス性の胃腸炎であると言われた。
僕は、期待に応えようとすればするほど、自分を追い込み、とっくに限界を突破していたようだ。
4年目、本社に異動になった。
2年ぶりに先輩たちと再開したが、新卒の頃に感じた実力差がさらに離されていた。
僕の2年間の頑張りは無意味だったんじゃないか?と自分を信じられなくなった。
またしても劣等感に押し潰された。
気が付けば自分は、新卒の頃に追いつけないと確信した「先輩」の年齢になっていたし、新しい後輩もたくさんいた。
僕は2年後の退職を決意した。
退職しようかな?という時に3つの選択肢が存在する。
即退職する
ダラダラと続けてみる
実績を残して転職する
僕は3番を選択した。
後輩教育に注力
大規模案件での高得点獲得・表彰
プレゼン大会での表彰
社内外の信頼関係構築
新卒採用活動への積極的参加
膨大なステークホルダーの調整・折衝
自分が得意なことに照準を合わせて、できる限り多くのことにチャレンジさせてもらい、できる限り目立つ実績を残すことを意識した。
6年目、ついに退職する日が来た。
長い間悩み続けた劣等感、苦手意識、プレッシャー、誰にも言えなかった想い、、、全てから解放された。
***
僕は今、3ヶ月間の欧州周遊を終えようとしている。
そして、帰国したら転職活動が始まる。
企業選びで大切にしていることは「自分が活躍できそうか」。
もう苦手なことはしたくないし、劣等感で潰れたくはないから。