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メキシコ青年海外協力隊活動記録Vol.4~Xcalakサンゴ礁国立公園で海藻と海ごみの清掃

新卒で環境コンサルタントとして7年勤務したのち、JICA青年海外協力隊(2023-4次隊)の「環境教育」隊員として、2024年5月7日からメキシコで活動しています。
8月12日、Xcalak礁国立公園にて海藻(サルガッサム/和名ホンダワラ)と海ごみの清掃活動を行いました。日本ではあまりなじみのない話ですが、カリブ海で起きている環境問題を紹介します。


Xcalak礁国立公園

キンタナ・ロー州の南の海岸地域に位置し、マングローブとサンゴ礁を保護している。マングローブ林はラムサール湿地に登録されたラグーンがある。Chetumal市からは車で3時間半ほど。
携帯の電波は無く、キャンプサイトと各家のWi-Fiでのみ通信ができる状況。しかしよく停電するので、その時は外界と連絡できません。

サルガッサム問題の原因と被害

カリブ海のサルガッサムは、アメリカ東海岸やブラジル北東部の河川排水が北大西洋に流入し、循環流にのって滞留しサルガッサムが親善発生する海域(サルガッソー海)から供給されます。

参照:JICA報告書

サルガッソー海では2011年に大量繁茂が発生し、2022年では4年前に比べ40%増加し、今後も増加傾向とのこと。この大量繁茂の原因はわかっていません。メキシコのユカタン半島東海岸には2014年から漂着し、海岸の被害は継続しています。

具体的な被害としては、観光資源である白い砂浜、青い海が失われることでしょう。打ち上げられたサルガッサムからは腐敗臭がしますし、フロントリーフ(前礁)と砂浜間のタイドプールに茶色い水がたまり、サンゴの減少の原因になりうるという論文もありました。

サルガッサムが無ければ綺麗な砂浜だっただろうに

サルガッサム問題の対策

国家自然保護区委員会(CONANP)では、保護区内住民の生計支援を目的に、清掃活動参加者に対して賃金を支払っています。
海岸から100m以上にわたって続くサルガッサムの影響は、幾ら回収しても終わりが見えないものでした。回収したサルガッサムは乾燥させたのち、集積所に野積みされます。

清掃活動の様子、きりがない

また近隣でリゾート地になっているMahahual市ではサルガッサム回収船と防護ネットが設置され、白い砂浜を何とか維持しようという努力が垣間見えます。
 

黒いのが防護ネット、青い建物が回収船

 
企業活動として、キンタナ・ロー州の企業であるEnsol CaribeとSargapakがサルガッサムを加工し、化粧品、塗料、建築用ブロックへの商品化と販売を行っており、また新たに2社がサルガッサムの利用許可を州政府に申請したというNewsがありました。(リベリアマヤNews記事2024年6月)
https://riviera-maya-news.com/companies-looking-for-permits-to-utilize-states-unwanted-sargassum/2024.html
 
加えてスペインやオランダの外国企業がサルガッサムを使ったバイオガスプロジェクトに注目しているようです。
https://noticias.canal10.tv/nota/medio-ambiente/empresas-en-quintana-roo-transforman-sargazo-en-pintura-y-maquillaje-2024-06-07

サルガッサム問題の日本とのかかわり

JICAは机上調査プロジェクトとして、2023年度にカリブ海サルガッサムに対する本邦技術の活用調査を行いましたが、サルガッサムには有毒成分が含まれているようで、有効な解決策は見つかっていないようです。 

個人的な感想ですが、保護区内では商業活動(工業活動)が制限され、また市の中心から離れて停電等も起こりやすいため、企業活動によって少しでも収入向上や電力の安定化につながると望ましいと思っています。
 

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