PC:13 Plasticsな誕生日
子供の頃、友達のお誕生日会に呼ばれ、プレゼントを渡したり、主役がケーキに立てた蝋燭の炎を吹き消して盛り上がったり、その子のお母さんが作った料理をご馳走になったりした楽しい思い出がある。
しかし、しかしだ。
俺の誕生日会には、友達を呼んでも、ほとんど誰も来てくれなかった。
「行きたいけど、ごめんな。わかるだろ……」
そんなお決まりのセリフが、受話器越しに何度も返ってきた。
「付き合い」でしゃーなしに来てくれた少数の子も、目がうつろで「心ここにあらず」といった様子。お祝いなのかお通夜なのか。まったく盛り上がらない。ウォーキング・デッドか、お前ら!
理由は、俺が不人気だったからではない(たぶん)。
8月31日、という日は小学生の誰もが皆んな、それどころじゃないのだ。
夏休みの宿題をサボったツケが、これでもかと襲いかかってくる恐怖の日。
友達うんぬんの前に、誰よりも俺自身が誕生日どころではなかった!!
誕生日プレゼントとして親に買ってもらった、「プラモデル」の箱を横目に見ながら、涙の味がするケーキを食べ算数のドリルをこなした。
ずっと鉛筆を握り、消したり書いたりしているから手は真っ黒になり、やがて鉛の臭いしかしなくなった。
「あのプラモデル、早く作りてえーー」
思えばあの頃から、プラスチックと縁があったのだろうか。
幼少期の悪夢から目覚めた誕生日の今朝、アラフィフになったおっさんがまず思い浮かべたこと。
「良かった! 俺はもうおっさんだ。宿題しなくて済む」
なんとも平和な令和の8月31日である。
PS--SNSに、本当にたくさんの皆様から、誕生日のお祝いのお言葉をいただき、恐縮です。気にかけていただいていることにただただ感謝。有難うございます(^^)!!!
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