あなたの替わりはいくらでもいる

これは決してネガティブな言葉ではない。

メイプル超合金・カズレーザー氏のこの言葉に、俺はひどく感銘を受けた。

この言葉の意図するところはこうだ。

「あなたがどんな役職であったとしても、どんな立場だったとしても、いなくなった時はいなくなった時なりに会社は回っていきますよ」

そして、カズレーザー氏はアップル社の元CEO、故スティーブ・ジョブズ氏の名前を上げてこう続ける。

「ジョブズほどの人がいなくなった後でも、アップル社は業績伸ばしているじゃないですか。ジョブズで替わりがきくなら絶対大丈夫っすよ」

その発想はなかった。という気持ちになった。

俺はカズ氏のこの言葉に、勝手に2つの意味をくみ取った。

「ジョブズ本人がいなくなっても彼の功績は決して消えず、彼の遺したものを周りが必ず受け継ぐ」

という事。そして、

「ジョブズのような天才を失っても、それに替わる人材は必ず現れる」

という事。

三国志の言葉に「死せる孔明、生ける仲達を走らす」という言葉がある。

諸葛亮孔明(しょかつりょうこうめい)という天才軍師が自分の死期を悟った時、冷静に罠を仕掛けた。ライバルの軍師である司馬懿仲達(しばいちゅうたつ)に対し、自分が死んだ後もしばらく生きていると勘違いさせ、味方の総退却を助けたのである。

この言葉の様に、ジョブズや孔明とまではいかなくとも、真摯に物事に向かい合っていれば、自分の残した者は残る者にとって財産となってくれるのだと思うと、自己嫌悪ばかりの人生がほんの少しだけ救われたような気がした。

そしてもう一つの意味も、実にポジティブに受け取ることが出来る。

例えば、退職を考えている会社員。

「自分がいなくなったら、残った人が困るんじゃ…」

と、なかなか踏ん切りがつかないこともあるだろう。俺がまさにそうだった。

けれど、カズ氏の言葉を借りれば、自分の替わりはいくらでもいるのだ。

「俺は、周りの環境に影響されずに、行きたい場所へ行っていいんだ」

そう思えたことが、俺の背中を強く押した。

配信の話に強引につなげてみよう。

あなたは周囲のバイアスに影響されずに、自分の配信スタイルを決めていいのだ。

なるべき自分ではなく、なりたい自分で生きていっていいのだ。

例えば歌配信者のあなた。

「歌わなきゃ…!私は歌配信者なんだから…!」

そんな風に自分を追い詰め、気分が乗らない時や喉の調子が悪い時に歌った経験はないだろうか。

ファンのために、自分の夢のために努力するその姿は本当に尊い。

しかし、ファンが見たいのはあなたの楽しむ姿で、ファンが聞きたいのは、あなたが楽しく歌う声だ。無理を押してまで歌配信者たらんとする必要はないのだ。

誰と比べるまでもなく、誰かのために、自分の夢のために歌うあなたはそれだけで素晴らしい。

あなたはあなたのペースで歩けばいいし、走ればいい。

時には周囲の意見を取り入れるのも大事な事だ。

けれど、自分の一番芯の部分、一番大事にしている部分を、他人に動かされてはいけない。

あなたが今日歌わなくても、あなたの歌を嫌いになる人はいない。

あなたがたとえ歌うのをやめてしまっても、あなたの歌に救われた人がいたという事実が消える事はない。

すべての歌を愛するⅤライバーのみなさん。

喉は消耗品。若いうちは無茶をしがちかも知れないけれど、今までよりもこれからの人生の方が長いのだから、自分を大切に、一歩ずつ夢に向かって行ってください。

楽しく歌うあなたの声は、最高に輝いています。

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