「ジュリエット釣り」

 ジュリエットは釣りが大好きでした。(お金持ちの男性だけでなく実際の釣りもです)
その日も一人で釣り舟を漕いで湖に出ていました。オヤ?何かが引いています。
「やった!」
大物がかかったようです。しかもそれは魚ではありませんでした。何かをヨットの帆布で包んで水中に沈めて隠していたのです。その日ジュリエットはヴェローナ公の親戚のパリスと会うことになっていました。
「この紋章は紛れもなくあの家のものだわ。パリス、もうこんなところでくたばっていたとは」
 ところが何食わぬ顔で見合いの席に現れた男は別人でした。
「あなた誰? 偽物でしょ」
すると相手はつられて
「バレたか。アイツに成りすますつもりだったのさ」
ところがそのとき、仮死状態から目を覚ましたパリスが二人の間に乱入してきました。
「ちょうど良かった。お前らまとめて消えてもらう」
 結局魚の餌となった二人。心中という届けは受理されヴェローナの観光地としての知名度はつり上がったのです。

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