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「結婚式ゾンビ」①

 ある日職場の先輩に言われた。
「次回はキミが新婦な」
はあ? それもしかしてプロポ、? のはずがなかった。
 式とは無縁の私が求人アプリで見つけた職場は結婚式場だ。その名も『結婚式存美』。待遇は悪くない。だがその驚くべきカラクリとは。
 翌日出勤した私はベッタリと白塗りにされ白無垢に身を包んだ。例の先輩はタキシード姿。広告用の写真撮影でもするのだろうか。多少コストかけても本職使った方が良いような気がするんだけど。来賓が続々とやって来た。あっというまにできたお祝儀袋の山を同僚がテキパキと仕分けている。だが次の瞬間私たちはとご祝儀袋とともに一斉にその場を離れた。轟音、そして来賓とともに消え去る式場。

 翌日私たちは『葬式他人』という残り物の社名の斎場で先日の来賓たちのために不祝儀袋の仕分けに追われていた。
『結婚式後は他人、葬式後はゾンビ』というビジネス(なのか?)スタイルを文字通り中抜きしたのが『結婚式ゾンビ』だった。

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