「告白雨雲」
勧められて告白レーダーというアプリを入れてみた。
通知が来る。
ピロリン♪「告白の気配が接近中です」
例えばあなたがマスメディアの関係者なら近々重大な記者会見があると真っ先ににわかってしまって便利だ。例えばあなたがモテ過ぎてコクられまくって困っているのなら上空から告白の恐れのない地域を見極めて避難することだってできる。そんな事情と無関係そうな友だちが、「あれスゲー役に立ったよ、ありがとうな」と言う。ミエはってるのかしらと思ったら、予備校の模試の国語でなんとかいう作家の「告白」が出題されたとか。いや漢検三級の読み方問題だったかも?
そのとき電車の隣の席の乗客のスマホと私のから
ピロリン♪
と告白アプリの通知音がハモった。
「やだもう、何かしら」
だが見たところは男性だ。
「何よ、悪かったわね、私はこう見えて虹色の人よ」
つまりカミングアウト?
「ではお先に失礼します。私、雨雲女なの」
彼の言葉につられて私もつい告白してしまった。
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