残り物には懺悔がある ②
「ザンギの館? 北海道の方ですか? 父もそうです。今はパン職人ですがね」
夜市の一角で見つけた出店だ。
「生憎と鶏唐揚げのザンギじゃなくて懺悔の館だよ」
懺悔を聴いてくれるという。
「こんなことがありました。
看板商品はザンギサンドでカリっと揚げたチキンを濃いめに味付けしたっぷりのマヨネーズと挟むのです。
クリスマスの晩、手伝いをすればサンタさんが来ると言われた私は街中でケーキや他店のチキン部隊と軒を並べたのです。
子どもですからだんだんと飽きてきました。
あと一つ。
いっそ、自分で食おうか?
眼前に赤い服の人物が立っています。
ひとつくれんかな
空耳?
お召し上がり下さいサンタさん!
私は残り物を彼の口に押し込みました」
店主はフッと息を吐き出した。
「ポストにはワシが全てを注ぎ込んだ応募原稿と締め切り直前の莫大な負債の相続放棄書類があったのだ」
「御免なさい!」
「ちなみにこれはうちの家内なんだが、そこでマッチを売っていたのだよ」
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残り物懺悔にAIのお手本に倣ってパン屋さんも投入してみました。
たらはかに様のお題に参加しています。