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濃い古墳 ②

 濃い古墳を語るにはまず薄い古墳の話から始めねばなるまい。雨水古墳とも呼ばれるこの社(?)を訪れるのは薄い胸元、薄い印象、薄い影の乙女をはじめ、薄いヘアスタイル薄い胸板の殿方、勘違い雲水、同様の臼井義人ファンの小学生などもいる盛況ぶりだ。参詣者はおのれの薄さにコンプレックスや愛着を抱いており、古墳が存在することに満足して帰ってゆく。翻って濃い古墳はどうであろう? なまじ訪れてしまったがために、元々の毛深さに拍車がかかってしまったらどうしよう、濃い顔は昨今の移民騒動と相まって必ずしも褒め言葉ではなかった。仕方なく布で覆って隠そうものなら更なる不興を買うのだった。そんなわけで濃い古墳は圧倒的に不利だと思われていたのだが、あるときを境に状況が一変した。古墳の前に長蛇の列が発生している。
「何のご利益ですか?」
「バタフライエフェクトですって」
根がミーハーなので並んでみた。ご本尊の隣には『殺されたホトトギス塚』があった。

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